Intel(INTC)のQ2 FY2026は、売上高161.3億ドル(前年同期比+25%)、非GAAP EPS0.42ドルと、市場予想を大幅に上回る決算だった。次のQ3ガイダンスも予想を上回っている。それでも株価は、発表直後こそ時間外で約10%上昇したものの、翌7月24日には▲7.89%の92.32ドルで引けた

好決算がなぜ売られたのか。本記事では、DCAI(データセンター・AI)+59%成長と非GAAP粗利率41.8%への改善という「実績の強さ」と、200億ドル超へ引き上げられた設備投資計画という「これから先の負担」を分けて整理する。

1. 決算サマリー:本業回復で予想・ガイダンスをそろって上回るも、株価は翌日に急反落

Q2 FY2026(2026年6月27日終了四半期)のIntelは、(a)前年同期比、(b)市場コンセンサス比、(c)会社の前回ガイダンス比という3つの物差しのいずれでも、売上・非GAAP EPS・非GAAP粗利率が上振れした。会社は前四半期(Q1 FY2026)決算時に、Q2の売上を138〜148億ドル、非GAAP EPSを0.20ドルと見込んでいたが、実績はその上限すら上回っている。一方で株価は翌営業日に急反落しており、決算内容と株価反応が逆方向に動いた四半期でもある。

指標

Q2 FY2026実績

前年同期(Q2 FY2025)

前年比

コンセンサス

対コンセンサス

売上高

161.3億ドル(16,128百万ドル)

128.6億ドル

+25.4%

144.2億ドル

+11.8%ビート

非GAAP EPS(希薄化後)

0.42ドル

▲0.10ドル

黒字転換

0.21ドル

+100%ビート

GAAP EPS(希薄化後)

▲2.16ドル

▲0.67ドル

赤字拡大

---

---(一過性損失を含む)

非GAAP粗利率

41.8%

29.7%

+12.1pt

---

---(信頼できる集計値を取得できず)

非GAAP営業利益率

17.2%

▲3.9%

+21.1pt

---

---

調整後FCF

▲84.2億ドル(▲8,419百万ドル)

▲10.5億ドル

マイナス拡大

---

---

引用:Intel Q2 2026 決算プレスリリース(Form 8-K / Exhibit 99.1として提出)。売上・非GAAP EPSのコンセンサスはCNBC報道ほか報道ベース。売上予想は集計元により142.9億〜144.5億ドルと差があり、ビート幅も+11.6%〜+12.8%の幅を持つ点は押さえておきたい(非GAAP EPS予想0.21ドルは複数の報道で一致)。粗利率については、同一時点・同一基準の信頼できるコンセンサス集計値を確認できなかったため記載しない。GAAP EPSの▲2.16ドルには、米政府とのCHIPS法「Secure Enclave」契約に関連するEscrowed Shares(エスクロー株式)の時価評価損125.29億ドル(非現金)が含まれる。pt(ポイント)は率の変化幅、bp(ベーシスポイント、=0.01%)は以下同様に用いる。なお本記事では、数値の算出を(筆者計算)、事実からの推論を(筆者分析)、評価・見立てを(筆者の解釈)と区別して表記する。

図1:Intel Q2 FY2026実績とコンセンサスの比較(売上高・非GAAP EPS)(引用:会社決算発表、コンセンサスは報道ベース)

主要ポイント

  • 増収の中身は主力事業の回復。 製品事業(Intel Products)の合計売上は前年同期比+28%で、うちDCAIが+59%、クライアント(CCPG)が+13%。会社は「サーバー需要に生産が追いつかない」と説明し、CFOは歩留まり改善とサイクルタイム短縮による出荷上振れを増収要因に挙げた(会社説明)。
  • 粗利率・営業レバレッジの改善が最大の変化。 非GAAP粗利率は前年の29.7%から41.8%へ、非GAAP営業利益率は▲3.9%から+17.2%へ大きく改善した。工場稼働率の上昇とミックス改善が効いている(会社説明・筆者分析)。
  • Q3ガイダンスも市場予想超え。 Q3 FY2026の売上ガイダンス中心値163億ドルは報道ベースの市場予想151億ドルを上回り、非GAAP EPS0.38ドルも予想0.27ドルを上回る。ただしEPSはQ2実績0.42ドルを下回り、投資増を織り込んだ形である(筆者の解釈)。
  • 好決算にもかかわらず、株価は翌営業日に急落した。 発表直後の時間外では一時約10%高となったが、7月24日は▲7.89%の92.32ドルで終了。報道は、ファウンドリー事業の需要見通し、200億ドル超に引き上げられた2026年の設備投資計画、増資による希薄化懸念を売り材料として挙げている(報道ベース)。

2. Intel Q2決算詳細:売上とセグメント別動向

Q2 FY2026の連結売上高は161.3億ドルで、前年同期の128.6億ドルから+25.4%、前四半期(Q1 FY2026、会社表示で約136億ドル)からも約+19%の増収となった。CEOのLip-Bu Tan氏は「15年超ぶりの高い増収率」とコメントしている(会社説明)。増収は特定分野に偏らず、DCAIを筆頭にクライアント(CCPG)、受託製造まで広く伸びた。

CFOのDave Zinsner氏は、堅調な需要に加え「工場歩留まりの向上とサイクルタイム改善による数量の上振れ」を要因に挙げた。そのうえで、製品・ファウンドリー双方の成長を支えるため、設備・クリーンルーム・基板への投資を大幅に積み増すと述べている(会社説明)。

四半期

連結売上高

非GAAP粗利率

非GAAP EPS

備考

Q2 FY2025

128.6億ドル

29.7%

▲0.10ドル

実績

Q3 FY2025

136.5億ドル

40.0%

0.23ドル

実績

Q4 FY2025

136.7億ドル

37.9%

0.15ドル

実績

Q1 FY2026

約136億ドル

41.0%

0.29ドル

実績(会社表示は$13.6B)

Q2 FY2026

161.3億ドル

41.8%

0.42ドル

実績

Q3 FY2026

158〜168億ドル

42.0%(中心値)

0.38ドル

会社ガイダンス

引用:Q3 FY2025決算発表(SEC提出、売上13,653百万ドル)Q4 FY2025決算発表(同、売上13,674百万ドル)Q1 FY2026決算発表(同)Q2 FY2026決算発表。Q1 FY2026の売上は会社が$13.6 billionと丸めて開示しているため「約136億ドル」と表記した。Q3は会社ガイダンス。

図2:Intel 連結売上高の四半期推移とQ3 FY2026ガイダンス(引用:各四半期の会社決算発表、Q3は会社ガイダンス)

セグメント別動向:DCAIが構成比を押し上げ

セグメント別では、DCAIの伸びが際立つ。DCAI売上は前年同期の39.4億ドルから62.6億ドル(会社発表で+59%)へ拡大し、報告セグメント合計に占める構成比は22.8%から29.0%へ上昇した。クライアント(CCPG=Client Computing and Physical AI Group、旧CCG)は88.8億ドル(同+13%)で最大セグメントを維持。ファウンドリー事業(Intel Foundry)は57.7億ドル(同+31%)と伸びた(大半が社内向けで、連結時に消去される点に留意)。一方「All Other」は7.0億ドル(▲33%)と減少したが、これは2025年9月にAlteraの51%を売却して連結対象から外した影響を含む(会社説明)。

セグメント

Q2 FY2025売上

構成比

Q2 FY2026売上

構成比

前年比(筆者計算)

Q2 FY2026営業損益

CCPG(クライアント)

78.7億ドル

45.5%

88.8億ドル

41.1%

+12.8%

+23.4億ドル

DCAI(データセンター・AI)

39.4億ドル

22.8%

62.6億ドル

29.0%

+59.0%

+24.7億ドル

ファウンドリー事業

44.2億ドル

25.6%

57.7億ドル

26.7%

+30.5%

▲20.9億ドル

All Other(Mobileye等)

10.5億ドル

6.1%

7.0億ドル

3.2%

▲33.4%

+2.3億ドル

引用:Q2 FY2026決算発表(Supplemental Operating Segment Results)。構成比および前年比は4報告セグメント合計に対する筆者計算で、社内取引の消去前ベース。会社発表の成長率はCCPG「+13%」、DCAI「+59%」、ファウンドリー「+31%」と丸め表示されており、本表の小数第1位までの数値は筆者計算による。連結では、セグメント間消去(社内取引の重複計上を除く調整)▲54.8億ドル(前年▲44.2億ドル)を加味し、連結売上161.3億ドルとなる。All Otherの減少はAltera連結除外(2025年9月12日)の影響を含む。営業損益は各セグメントベースで、全社未配賦費用(▲14.2億ドル)は含まない。

図3:Intel セグメント別売上の変化(前年同期比、報告セグメント)(引用:会社決算発表)

3. Intel Q2の収益性とキャッシュフロー

収益性の改善が今回の決算で最も明確な変化である。GAAP粗利率は前年同期の27.5%から40.4%(+12.9pt)へ、非GAAP粗利率は29.7%から41.8%(+12.1pt)へ改善した。営業利益率も、GAAPが▲24.7%から+11.1%(+35.8pt)、非GAAPが▲3.9%から+17.2%(+21.1pt)へと黒字化している。

会社は、数量増に伴う工場稼働率の上昇と歩留まり改善を背景に挙げた。加えて、前年に計上した大型のリストラ費用(前年同期18.9億ドル、当期1.7億ドル)が剥落したことも利益率を押し上げている(会社説明・筆者分析)。GAAP営業利益は17.96億ドルで、前年同期の▲31.76億ドルの営業損失から黒字転換した。

指標

Q2 FY2025

Q3 FY2025

Q4 FY2025

Q2 FY2026

GAAP粗利率

27.5%

38.2%

36.1%

40.4%

非GAAP粗利率

29.7%

40.0%

37.9%

41.8%

GAAP営業利益率

▲24.7%

5.0%

4.2%

11.1%

非GAAP営業利益率

▲3.9%

11.2%

8.8%

17.2%

引用:Q2 FY2026決算発表Q3 FY2025決算発表Q4 FY2025決算発表(いずれもSEC提出のExhibit 99.1)。Q1 FY2026の非GAAP粗利率は41.0%、非GAAP営業利益率は12.3%である。

図4:Intel 非GAAP粗利率・営業利益率のトレンド(引用:各四半期の会社決算発表、Q3 FY2026は会社の粗利率ガイダンス)

EPS:非GAAPは黒字転換、GAAPは一過性損失で大幅赤字

非GAAP希薄化後EPSは0.42ドルで、前年同期の▲0.10ドルから黒字転換し、市場予想0.21ドルの2倍となった。一方、GAAP希薄化後EPSは▲2.16ドル(前年同期▲0.67ドル)で赤字が拡大している。

両者の乖離は、GAAP純損益に含まれる125.29億ドルのEscrowed Shares時価評価損(非現金)が主因である。これは米政府とのCHIPS法「Secure Enclave」契約に基づくもので、Intelが契約を履行し現金を受け取るのに応じて米商務省へ引き渡される株式を、時価で評価し直した損失にあたる。実際の現金流出を伴わないため、非GAAPでは除外されている。なお、希薄化後加重平均株式数は前年同期の43.69億株から51.04億株へ増加しており(政府向け株式発行等を含む)、これはEPSを押し下げる方向に働く点も念頭に置きたい(筆者分析。会社が要因として個別に説明したものではない)。

図5:Intel 非GAAP 希薄化後EPSの四半期推移(引用:各四半期の会社決算発表、Q3 FY2026は会社ガイダンス)

キャッシュフローと財務状況

営業CFは四半期で70.1億ドルと潤沢だった一方、会社定義の調整後FCFは▲84.2億ドルと大幅なマイナスで、前年同期の▲10.5億ドルからマイナス幅が拡大した。

ここで注意したいのが、この「調整後FCF」の定義である。一般的なFCFが営業CFから設備投資を差し引くだけなのに対し、Intelの調整後FCFは政府補助金・パートナー拠出・ファイナンスリース支払いまで調整した独自指標である。つまり、他社の数値とそのまま比べられる指標ではない。会社は決算説明会で2026年の設備投資見通しを200億ドル超へ引き上げると説明しており、マイナス幅の拡大は能力増強の先行投資とパートナー資金の受払いタイミングを映したものである(会社説明)。

バランスシートでは、期末の現金・現金同等物は128.7億ドル(短期投資を含めると297.3億ドル)、有利子負債は合計約505億ドルとなった。前年度末(2025年12月27日)の約466億ドルから増加している。棚卸資産は124.9億ドルへ積み上がり、仕掛品が前年度末の78.4億ドルから86.9億ドルへ増えた。増産に向けた先行投資である一方、需要が鈍化した場合の在庫リスクとしても両面で見る必要がある(筆者分析)。同社は普通株配当を2024年に停止しており(最終支払いは2024年9月1日の1株0.125ドル)、2026年7月時点で再開は確認されていない。

図6:Intel 営業CFと調整後FCF(引用:会社決算発表)

4. 成長ドライバーの深掘り:DCAIとファウンドリー事業

今回の決算の最大トピックは、AIサーバー向けを中心としたデータセンター需要の加速である。DCAI売上は前年同期比+59%の62.6億ドルとなり、四半期の営業利益は24.7億ドル(前年同期6.3億ドル)へ拡大した。営業利益率は16.1%から39.5%へ大きく改善している(営業利益率はいずれもセグメント開示に基づく筆者計算)。会社は「データセンター事業は受注に生産が追いつかず、顧客需要を完全には満たせていない」と説明している(会社説明)。

製品面では、同社の最先端プロセスであるIntel 18Aで製造する初のサーバー向けCPU「Xeon 6+」を投入した。Xeon・ASIC・先端パッケージング・ウェハー受託までを束ね、AIコンピュート需要を取り込む戦略である。さらに、SambaNova・Foxconnと組んだラックスケール推論基盤も公表した。Xeon、SambaNovaのAIプロセッサー「RDU」、NVIDIA Blackwell GPUを組み合わせた「VC2」による分散型エージェント推論クラウドなど、エージェントAI領域での取り組みも進む(会社説明)。こうしたAI関連の設備投資拡大は半導体製造装置にも波及しており、装置側の動向はASML(ASML)Q2 FY2026決算で整理している。

図7:Intel DCAI(データセンター・AI)売上高と営業利益率(引用:各四半期の会社決算発表。営業利益率は同一基準で算出可能な2四半期のみ、筆者計算)

もう一方の柱であるファウンドリー事業(受託製造)は、売上が+31%の57.7億ドルへ伸び、営業損失は前年同期の▲31.7億ドルから▲20.9億ドルへ縮小した。ただし依然として四半期20億ドル超の赤字であり、黒字化には距離がある。会社は決算説明会で、社外顧客向けのファウンドリー売上が2.93億ドルだったと開示している(会社説明。連結売上に占める比率は小さい)。

顧客面では決算発表の2日前にあたる2026年7月21日、サイバーセキュリティ大手のFortinetが次世代セキュリティチップ「SP6」を、1世代前のプロセスであるIntel 4で製造すると公表された。これはLip-Bu Tan氏のCEO就任以降、Intelが社名を明かした初の外部ファウンドリー顧客であり、報道によればこの発表を受けて株価は8%超上昇した。

技術面でも前進があった。Intel 18Aファミリーの改良版「Intel 18A-P」がリスク生産(量産前に少量を試験的に流す段階)へ移行し、Core Ultra Series 3(開発コード名Panther Lake)の一部では、ASMLのHigh NA EUV露光装置「EXE」を用いた量産を開始した(High NA EUVは開口数を高めた次世代の極端紫外線露光技術)。加えて、Intel 3で製造するXeon 6および次世代Xeonの増産に向け50億ユーロの製造能力投資も発表している(会社説明)。投資家目線では、Fortinetに続く社外顧客をどこまで積み上げられるか、そして社外売上2.93億ドルという現状の規模がいつ採算改善に届く水準まで拡大するかが、持続性を判断するうえでの論点になる(筆者の解釈)。

図8:Intel ファウンドリー事業の売上高と営業損益(前年同期比)(引用:会社決算発表)

5. IntelのQ3ガイダンスと見通し

当期実績は、市場コンセンサス(売上+11.8%、非GAAP EPS+100%)だけでなく、会社の前回ガイダンス(売上138〜148億ドル、非GAAP EPS0.20ドル)も明確に上回った。報道では、Intelが市場予想を上回るのはこれで複数四半期連続とされる(Q1 FY2026時点で6四半期連続との報道がある。ただしこれは「市場予想」に対する連続ビートであり、会社ガイダンスの連続超過とは基準が異なる)。そのうえで会社は、Q3 FY2026について売上158〜168億ドル(中心値163億ドル)、非GAAP粗利率42.0%、非GAAP EPS0.38ドルを提示した。

Q3 FY2026指標

会社ガイダンス

市場予想(報道ベース)

前年同期(Q3 FY2025)

前年比・対市場予想

売上高

158〜168億ドル(中心値163億ドル)

151億ドル

136.5億ドル

前年比+19.4%(中心値)/対市場予想+7.9%

非GAAP粗利率

42.0%

---

40.0%

前年比+200bp

GAAP EPS

0.31ドル

---

0.90ドル

---

非GAAP EPS

0.38ドル

0.27ドル

0.23ドル

前年比+65.2%/対市場予想+0.11ドル

引用: IntelQ2 2026 決算プレスリリース(Business Outlook)、前年同期実績はQ3 FY2025決算発表Q3の市場予想(売上151億ドル、非GAAP EPS0.27ドル)は報道ベースの数値で、集計元と集計時点を特定できていないため、参考値として扱いたい。粗利率・EPSガイダンスは売上レンジ中心値に基づく。通期の包括ガイダンスは提示されていない(会社は四半期ガイダンスのみを開示)。なおQ3 FY2025のGAAP EPS0.90ドルには、Altera売却関連等の一過性利益が含まれる。

Q3ガイダンスは市場予想を上回るものの、非GAAP EPSの中心値0.38ドルはQ2実績0.42ドルを下回る。粗利率ガイダンス(42.0%)はQ2実績(41.8%)から小幅改善する一方でEPSが低下する形である。これはCFOが述べた設備・クリーンルーム・基板への投資積み増しや、株式数の増加を織り込んだものと考えられる。増収の勢いを保ちつつ利益をどこまで確保できるかが、次の注目点となる。

図9:インテル Q3 FY2026ガイダンスと市場予想の比較(引用:会社決算発表。市場予想は報道ベース。)

6. Intel Q2決算を踏まえた投資論点への影響

以下の論点整理と判定は、会社開示の事実に基づく筆者の分析である。判定は前回までの見方に対し、強化=確度が上がった、維持=大きな変化なし、後退=懸念が増した、として示す。

論点①:AI・データセンター需要の取り込み

強化。 DCAI売上は前年同期比+59%、営業利益率は39.5%まで改善し、会社は「受注に生産が追いつかない」と需給逼迫を明言した。AIコンピュートの需要がXeon系サーバーCPUの更新・増設に波及していることを示す内容で、当面の売上ドライバーとしての確度は高まった(会社説明)。

論点②:製造・歩留まりの実行力とマージン回復

強化。 非GAAP粗利率は29.7%から41.8%へ改善した。Xeon 6+のIntel 18A量産やPanther LakeのHigh NA EUV量産開始など、プロセス実行の進展が数量・採算の両面で表れている。マージン回復が一過性でなく続くかは、次四半期以降の確認対象である。

論点③:ファウンドリー事業の採算改善と社外顧客

維持(前進だが道半ば)。 7月21日にFortinetが初の実名社外顧客として公表され、社外ファウンドリー売上も2.93億ドルと開示されるなど、これまで不透明だった外部需要の一端が可視化された点は前進である。一方で営業損失は依然として四半期20億ドル超、社外売上の規模も連結対比では小さく、黒字化の時期は不透明なままである。決算翌日の株価下落でもファウンドリーの顧客基盤が売り材料として挙げられており、市場の評価はまだ定まっていない。

論点④:財務体力とキャッシュ創出・政府関与

後退(要注視)。 営業CFは潤沢だが、調整後FCFは▲84.2億ドルとマイナスが拡大した。有利子負債は約505億ドルへ増加し、自己資本(Intel帰属)は前年度末の1,142.8億ドルから875.4億ドルへ減少している。2026年の設備投資見通しは200億ドル超へ引き上げられ、政府とのCHIPS法関連スキームに伴う株式発行は希薄化要因でもある。成長投資の局面ゆえ短期のFCF悪化は必ずしも否定材料ではないが、決算翌日には投資負担と追加資金調達による希薄化が実際に嫌気された。財務体力とのバランスは注視が必要である。

リスク要因

以下は将来起こり得る事象に関する筆者整理のリスクシナリオであり、発生を予測するものではない。

  • バリュエーションと期待値。 株価は年初来で大幅上昇しており、良好な実績でも期待に届かなければ株価は変動し得る。実際、今回の決算では市場予想を上回りながら翌営業日に▲7.89%となった。
  • 設備投資と資金調達。 2026年の設備投資200億ドル超の計画に対し、追加の資金調達が行われれば既存株主の希薄化要因となる。
  • GAAPと非GAAPの乖離。 Escrowed Shares評価損など一過性・非現金項目の規模が大きく、GAAP最終損益のブレが続く可能性がある。
  • ファウンドリー事業の構造赤字。 社外顧客の獲得ペースが想定を下回れば、赤字縮小が停滞し得る。
  • 希薄化。 政府向けEscrowed Shares等により加重平均株式数が43.69億株から51.04億株へ増加しており、1株当たり指標を押し下げる。
  • 需要の持続性・循環性と競合。 AI・データセンター需要やサーバーCPU更新サイクルの反動、AMD・Arm系・NVIDIA等との競争激化。半導体の循環性についてはマイクロン(MU)Q3 FY2026決算でメモリ市況の観点から触れている。
  • 比較の非連続性。 Alteraの連結除外(2025年9月)により前年同期比の解釈に注意を要する。

7. Intel株のバリュエーションと株価反応

今回の決算は、株価反応が二段階に分かれた点が特徴である。発表当日の2026年7月23日、Intel株は通常取引を100.23ドルで終えた。決算後の時間外取引では105.93ドル(+5.69%、同日17時30分時点)まで買われ、一時110ドル近辺(約+10%)に達したと報じられている。ところが翌7月24日は、寄り付き後の高値101.71ドルから売りに転じ、前日比▲7.89%の92.32ドルで取引を終えた。出来高は1億7,910万株と、3カ月平均(1億3,140万株)を約36%上回っている。

下落の理由として報道が挙げるのは、次の4点である。

  • ファウンドリー事業の顧客・需要に対する疑問
  • 2026年の設備投資計画を200億ドル超へ引き上げたことによる負担
  • 追加の資金調達に踏み切った場合の希薄化懸念
  • GAAPベースでは赤字だった点

同日はAMDが▲3.29%、テキサス・インスツルメンツが▲1.90%、ナスダック総合指数が▲0.64%と半導体・ハイテク全体が軟調だった。AI関連投資の拡大に対する市場の警戒感も重なっている(いずれも報道ベース)。決算内容そのものは市場予想を上回っており、今回の下落は業績の弱さではなく、事前の高い期待値と投資負担・希薄化への懸念によるものと考えられる(筆者の解釈)。

引用:Motley Fool(7月24日の終値・出来高・下落理由)Motley Fool(GAAP赤字と株価の関係)FXLeaders(時間外の上昇)GuruFocus(予想PER、2026年7月17日時点)。株価・時価総額・バリュエーション指標は取得時点の値であり、常に変動する。

8. まとめ:Intel Q2決算のポイント

Q2 FY2026のIntelは、実績も次期見通しも市場予想を上回る、いわゆる「beat-and-raise」の決算だった(通期の包括ガイダンスは非提示のため、レイズの対象は次四半期見通しである)。上振れの直接要因は、AI・データセンター需要を取り込んだDCAIの+59%成長と、歩留まり改善・稼働率上昇による粗利率の急回復という「本業の実力回復」であり、期待先行ではなく実績を伴う内容だった。

それにもかかわらず、株価は翌営業日に▲7.89%と急落した。この決算は「好決算=株高とは限らない」典型的なケースといえる。市場が見ていたのは、すでに実現した四半期の数字ではなく、年初来+170%超という織り込みの高さに対して、これから先の投資負担と希薄化がどこまで報われるのかという点だった。

個人的には、製品事業の回復と粗利率改善は明確な進歩だと考える。そのうえで、株価の次の水準を決めるのはFortinetに続く社外ファウンドリー顧客を獲得できるか、そして200億ドル超の投資に見合うキャッシュ創出力を示せるかの2点にあると見ている。この2つが進展しない限り、good newsが株価に反映されにくい状況は続く可能性がある。

そのほか、次回決算に向けて確認したいのは以下の点である。

  • 次回Q3 FY2026決算(2026年10月ごろの見込み。日程は会社の公式発表で要確認)でのガイダンス達成度
  • DCAIの受注消化と供給能力
  • 設備投資の執行状況と調整後FCFの推移
  • 通期の粗利率トレンド

出典

免責

本記事は、決算発表日(2026年7月23日)および2026年7月24日の米国市場終値時点までに公開されている情報に基づく客観的な整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。金額は米ドル建てで、原則として億ドル(1億ドル=100百万ドル)で表記し、会社開示のUS GAAPおよび非GAAP指標に基づいています。Intelの会計年度は12月の最終土曜日に終了する52/53週制で、直近のFY2025は2025年12月27日に終了しています。本記事の対象であるQ2 FY2026は2026年6月27日に締めた四半期です。本文では、会社IR・SEC提出資料の確定値、決算説明会での会社説明、報道ベースの数値(コンセンサス・株価反応・アナリスト評価)、筆者自身の計算・解釈を区別して記載しました。市場コンセンサスは集計元により差があり、株価・時価総額・バリュエーション指標は取得時点から変動します。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。