「投資を始めたいけど、なんでアメリカの株なの?日本にもいい会社あるじゃん」

——そう思っている方、実はけっこう多いです。

でも考えてみてください。今日あなたが手にしているスマホ、それiPhoneじゃないですか?仕事で使っているパソコン、Windowsですよね?お昼に飲んだコーヒー、もしかしてスタバ?帰りにコンビニで買ったコーラ……全部アメリカの会社です。

しかも、これらの会社の株はたった1株から買えます。コカ・コーラなら約1万4,000円、スタバなら約1万5,000円(2026年9月24日終値ベース)。ランチ数回分の金額で、世界的ブランドの「株主」になれる——それがアメリカ株投資の面白さです。

この記事では、初心者の方にもわかりやすく「なぜアメリカ株なのか?」を7つの視点でまとめました。数字にはできるだけ一次情報の出典と基準日を付けています。

取得時点:株価は2026年9月24日の終値(米国時間)、円換算は1ドル=158円。配当は各社の最新の公式発表(発表日を表に記載)。S&P500のリターンは配当再投資・ドル建てで、税金と手数料は考慮していません(円換算の結果も別に掲載)。最終更新は2026年9月25日で、修正内容は記事末尾の「更新履歴」に記載しています。

主要ポイント

  • 世界最大の市場:2025年末の米国株の時価総額は約68.9兆ドルで、世界全体の43.7%を占める
  • 長期リターン:S&P500は1928〜2025年で年率約10%(配当込み・ドル建て・税引前)。15年保有で年率マイナスになったのは84回中1回
  • 増配の文化:コカ・コーラ64年、P&G70年、マクドナルド50年と、半世紀以上の連続増配を続ける企業がある
  • AI投資の中心地:Amazonは2026年の設備投資見通しを約2,200億ドルに引き上げるなど、ビッグテックの投資計画が拡大している
  • 条件で結果は変わる:円高、課税口座、個別株への集中、短い投資期間では、過去の数字どおりにならない可能性がある

① 実はめちゃくちゃ身近な会社ばかり——しかも1株から買える

アメリカ株と聞くと「自分には縁のない海外の会社」というイメージがあるかもしれません。でも、ちょっと周りを見渡してみてください。

毎日使っているもの:

  • Apple(iPhone、Mac、AirPods)
  • Microsoft(Windows、Excel、Teams)
  • Google / Alphabet(検索、YouTube、Gmail)
  • Amazon(ネット通販、Prime Video)

街で見かけるもの:

  • スターバックス(世界に約4万1,000店舗。2026年6月末時点で41,304店)
  • コカ・コーラ(200カ国以上で販売)
  • マクドナルド(2026年9月に50年連続の増配を発表)
  • NIKE(スポーツシューズの定番)
  • コストコ(日本でも大人気の会員制倉庫型ストア)

エンタメ・SNS:

  • Netflix(動画配信の王者)
  • Disney(映画、テーマパーク、Disney+)
  • Meta(Instagram、Facebook)
  • Tesla(電気自動車の代名詞)

こうして見ると、「知らない外国の会社に投資する」というよりも、「毎日お世話になっている会社のオーナーになる」という感覚のほうが近いですよね。

1株いくらで買えるの?

日本株は「100株単位」が基本なので、トヨタ自動車を買うにも約30万円(1株約2,980円×100株、2026年9月25日終値)が必要です。でもアメリカ株は1株から購入できます。

銘柄

1株の価格(2026年9月24日終値)

日本円換算(1ドル=158円)

コカ・コーラ(KO)

約$88

約13,900円

スターバックス(SBUX)

約$94

約14,800円

NIKE(NKE)

約$36

約5,700円

Apple(AAPL)

約$336

約53,100円

NVIDIA(NVDA)

約$225

約35,500円

※株価は日々変動します。実際の購入時は、証券会社の画面で最新の株価と為替レートを確認してください。

NIKEなら約6,000円弱、コカ・コーラやスタバでも1万円台。お年玉やボーナスの一部でも十分に手が届く金額です。

ただし「安い=お得」ではありません。たとえばNIKEの株価は2026年2月には60ドル台でしたが、9月下旬には36ドル前後と、4割以上下がっています。1株の値段が安く見えるのは、株価が大きく下がった結果である場合もあります。

「いきなり何十万円も投資するのは怖い」——その気持ち、よくわかります。だからこそ、まずは自分がよく知っている会社の株を1株だけ買ってみる。それが一番ハードルの低い始め方です。

自分がよく知っている会社に投資できるというのは、実はとても大事なことです。事業内容がイメージしやすいので、決算ニュースを見ても「あ、iPhoneの売上が伸びたんだな」とすぐに理解できます。投資を続けるうえで、この「納得感」はかなり大きいです。


② 世界最大の株式市場——お金が集まるところに投資する

アメリカの株式市場は、時価総額ベースで世界の4割強を占める世界最大の市場です。

米証券業金融市場協会(SIFMA)の2026年版キャピタル・マーケッツ・ファクトブックによると、2025年末の世界の株式時価総額は約157.8兆ドル。そのうちアメリカは約68.9兆ドル(43.7%)でした。同じデータ(世界取引所連合の集計)を図にしたVisual Capitalistのまとめでは、日本は約7.6兆ドル(約5%)で、アメリカは日本の約9倍の規模です。

「規模が大きいから何?」と思うかもしれませんが、市場が大きいということは、世界中から投資マネーが集まっているということ。お金が集まるところには優秀な企業が上場し、優秀な企業があるからさらにお金が集まる——この好循環がアメリカ市場の強さの源泉です。

日本を代表するトヨタ自動車でも、世界の時価総額ランキングでは80位前後(companiesmarketcap.com、2026年9月時点。集計サイトにより順位は多少異なります)。一方、アメリカのトップ企業はNVIDIAが約5.4兆ドル、Appleが約4.9兆ドル、Alphabetが約4.1兆ドル、Microsoftが約3.7兆ドルと、一社で日本の株式市場全体(約7.6兆ドル)の半分〜7割に相当する規模です。


③ S&P500の実力——長期で年率約10%、直近10年では約3.9倍

「長期で持ったらどうなるの?」——ここが一番気になるところだと思います。ただ、リターンの数字は「いつからいつまで」「配当を含むか」「ドルか円か」で大きく変わります。ここでは条件を明記したうえで、筆者が計算した結果を載せます。

計算の条件

  • データ:ニューヨーク大学のアスワス・ダモダラン教授が公開しているS&P500の年次トータルリターン(2026年1月更新、2025年まで収録)
  • 配当:再投資する前提(トータルリターン)
  • 通貨:ドル建て。円換算は米連邦準備制度理事会(FRED)のドル円レートの各年最終営業日の値で換算
  • 税金・手数料・信託報酬:考慮していません(実際の手取りはこれより少なくなります)
  • インフレ:考慮していません(名目値)

期間別のリターン(年率)

期間

年率リターン

資産の増え方

1928〜2025年(98年間)

約10.0%

—

1957〜2025年(69年間)

約10.6%

—

2016〜2025年(10年間・ドル建て)

約14.7%

約3.9倍

2016〜2025年(10年間・円換算)

約17.8%

約5.1倍

直近10年の円換算の数字が大きいのは、2015年末に約120円だったドル円が2025年末には約157円まで円安になったためです。円高の局面では逆に円換算のリターンが目減りします。

もちろん、毎年きれいに10%ずつ上がるわけではありません(以下も配当込み・ドル建て)。

  • 2008年(リーマンショック):約マイナス37%
  • 2022年:約マイナス18%
  • 2018年:約マイナス4%
  • 2020年(コロナショック):年間ではプラス18%だったが、2月19日から3月23日の約1カ月で指数は約34%下落(FRED、配当を含まない指数値)

何年持てばマイナスを避けられた?(筆者計算)

保有期間ごとに、開始年を1年ずつずらして「年率リターンがマイナスになった回数」を数えました。

保有期間

ドル建て(1928〜2025年)

円換算(1972〜2025年)

1年

98回中26回がマイナス

54回中15回がマイナス

10年

89回中5回がマイナス(最悪は1929〜38年の年率−1.7%)

45回中4回がマイナス(最悪は1999〜2008年の年率−3.5%)

15年

84回中1回だけマイナス(1929〜43年の年率−0.2%)

40回中0回(最悪は1998〜2012年の年率+1.6%)

20年

79回中0回(最悪は1929〜48年の年率+2.4%)

35回中0回(最悪は1992〜2011年の年率+5.2%)

過去のデータでは、15年以上持ち続けた場合にマイナスになったのは大恐慌期を含む1回だけでした。ただし、プラスでも年率1〜2%程度にとどまった期間もあります。また、これは指数全体を配当再投資で持ち続けた場合の結果で、個別株や、途中で売ってしまった場合には当てはまりません。過去の実績は将来の成績を保証するものでもありません。

複利で資産はこう増える(100万円を一括投資した場合)

運用期間

年5%

年8%

年10%

10年後

約163万円

約216万円

約259万円

20年後

約265万円

約466万円

約673万円

30年後

約432万円

約1,006万円

約1,745万円

注:毎年一定の利回りが続くと仮定した単純な複利計算です。税金・手数料・為替の変動は含みません。NISA口座以外では、売却益に約20%の税金がかかります。

利回りが数%違うだけで、30年後の結果は大きく変わります。長期投資では「時間を味方につけること」と「コストや税金を抑えること」の両方が効いてきます。


④ 配当がスゴい——50年以上「毎年増配」する会社が50社以上

アメリカ株のもうひとつの大きな魅力が、株主への配当還元の文化です。

日本企業でも配当を出す会社は増えてきましたが、アメリカには「何十年も毎年配当を増やし続けている企業」がたくさんあります。

「配当貴族」と「配当王」って?

つまり、リーマンショックもコロナショックも乗り越えて、一度も増配を止めなかった会社が50社以上あるということです。

身近な「配当王」たち

企業名

連続増配年数(発表日)

年間配当(1株・年換算)

株価(2026年9月24日終値)

配当利回り(筆者計算)

コカ・コーラ(KO)

64年(2026年2月19日)

$2.12

約$88(約1.4万円)

約2.4%

P&G(PG)

70年(2026年4月14日)

約$4.35

約$146(約2.3万円)

約3.0%

ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)

64年(2026年4月14日)

$5.36

約$271(約4.3万円)

約2.0%

マクドナルド(MCD)

50年(2026年9月17日)

$7.72

約$237(約3.7万円)

約3.3%

注:年間配当は、最新の四半期配当を4倍した年換算額です(P&Gは1.0885ドル×4、マクドナルドは1.93ドル×4)。配当利回りは年換算配当÷上記株価で筆者が計算しました。

たとえばコカ・コーラを1株(約1万4,000円)買うと、年間の配当は2.12ドル、円にして約335円(税引前)です。

ただし、実際に受け取れる金額は口座の種類で変わります。

  • NISA口座:日本の税金はかからず、米国で10%が源泉徴収されるため約300円
  • 特定口座など(課税口座):米国の10%に加えて日本で約20%が課税されるため約240円(確定申告で外国税額控除を使うと一部を取り戻せる場合があります)

「たった300円?」と思うかもしれませんが、これが毎年増えていくのがミソです。コカ・コーラの年間配当は、2016年の1.40ドルから2026年の2.12ドルへ、10年で年平均約4.2%増えています(筆者計算)。

これだけ長く増配を続けられるのは、安定した収益基盤と「利益は株主に還元する」という明確な経営方針があるからです。

配当は株価が下がっても支払われることが多いため、株価の上下に一喜一憂しにくいという精神的な安定感もあります。特に投資初心者にとって、「持っているだけでお金が入ってくる」という体験は、投資を続けるモチベーションになります。

長年の増配企業として知られた3Mは、ヘルスケア部門を分離した2024年に四半期配当を1.51ドルから0.70ドルへ引き下げ、連続増配の記録が途切れました。

このように、増配が永遠に続く保証はありません。「連続増配年数」だけで判断せず、利益やキャッシュフローで配当をまかなえているかも確認しておきたいところです。


⑤ AIという「一生に一度」の成長テーマの中心地

2025〜2026年の今、アメリカ株の最大の成長ドライバーはAI(人工知能)です。

ビッグテック各社は、AI向けのデータセンターや半導体への設備投資をさらに増やしています。2026年7月の決算発表時点の見通しは次のとおりです。

各社の2026年の設備投資見通し(2026年7月時点)

企業

設備投資の見通し

何に使う?

Amazon

約2,200億ドル(従来の約2,000億ドルから引き上げ)

AWS(クラウド)のAIインフラ

Alphabet(Google)

1,950億〜2,050億ドル(4〜6月期決算で引き上げ)

Gemini・検索AI・データセンター

Meta

1,300億〜1,450億ドル(同社決算資料)

AI研究+巨大データセンター建設

Microsoft

2026年7〜9月期だけで500億ドル超の見通し(決算説明より)

Azure+AI向けの計算資源

Amazon・Alphabet・Metaの3社だけで年5,000億ドル台半ば。Microsoftは決算期(6月締め)が異なるため単純には足せませんが、四半期500億ドル超のペースを加えると、4社合計は年7,000億ドル(約110兆円)を超える規模になります(筆者試算)。

Amazonのアンディ・ジャシーCEOは、2024年の株主への手紙で「AIは私たちが知るあらゆるものを再発明する、一生に一度の機会だ」と述べています。

調査会社IDCは2024年9月、AIが2030年までに世界経済へ累計19.9兆ドル(約3,100兆円)の経済効果をもたらすとの予測を発表しました。

各社がこれほどの金額を賭けるのは、AIが既存のビジネスを根本から変える可能性があるからだと筆者は見ています。そしてこの変化の中心にいるのが、NVIDIAの半導体とビッグテックのインフラ投資——つまりアメリカ企業です。

もちろんリスクもあります。これだけの巨額投資が本当に利益として回収できるのかは、まだ答えが出ていません。筆者は、各社の決算で「AI関連の売上がどこまで伸びているか」「投資の増加に対してフリーキャッシュフローがどれだけ減っているか」を注目点として見ています。
インターネットやスマホのときも「投資しすぎだ」と言われながら、最終的には大きな果実を生みました。ただし、その過程では大きな株価調整もありました。歴史が繰り返すかどうかは、これからの数字で確かめていく必要があります。


⑥ 新しい産業が次々と生まれる「新陳代謝」の力

アメリカが他の市場と決定的に違うのは、常に次の成長産業を生み出し続けているという点です。

  • 1990年代:インターネット革命(Google、Amazon)
  • 2000年代:スマートフォン革命(Apple、iPhone)
  • 2010年代:クラウド+SNS革命(AWS、Facebook、Netflix)
  • 2020年代:生成AI革命(NVIDIA、Microsoft、Alphabetなど)

世界を変えるイノベーションは、繰り返しアメリカから生まれてきました。

S&P500は構成銘柄が固定ではなく、成長力を失った企業は除外され、新たな成長企業が入ってくる仕組みです。

平成元年にあたる1989年の世界時価総額ランキングでは、上位10社のうち7社、上位50社のうち32社を日本企業(NTTや大手銀行など)が占めていました(ダイヤモンド・オンライン)。それが2026年9月時点では、上位10社のうち8社がアメリカ企業です(companiesmarketcap.com)。

この約35年間の入れ替わりこそが、アメリカ市場の「新陳代謝」であり、長期的に成長し続ける理由のひとつです。S&P500に投資するだけで、「その時代の勝ち組企業」に自動的に乗り換えられる——これは個人投資家にとって非常にありがたい仕組みです。


⑦ 日本から簡単にアクセスできる——1株数千円から始められる

「でもアメリカ株って、始めるのが大変なんでしょ?」

——いいえ、今はびっくりするくらいカンタンです。

インデックス投資なら月100円から

新NISAでは、S&P500に連動するインデックスファンド(eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)など)を非課税で積立投資できます。証券会社によっては月100円から設定可能です。「銘柄選びとか難しそう…」という方は、まずここからで十分です。

個別株も1株からOK——日本株との違い

日本株は「100株単位」が基本なので、たとえばソニーグループ(1株約3,700円、2026年9月25日終値)でも最低投資額は約37万円。初心者にはなかなかハードルが高いですよね。

一方、アメリカ株は1株から購入できます。手数料も下がっていて、たとえばSBI証券は2023年に新NISA口座での米国株の売買手数料を無料化しました。課税口座では約定代金の0.495%(上限22ドル)が一般的な水準です(SBI証券の手数料表)。ドルと円を交換する為替手数料も別にかかるので、口座を開く前に確認しておきましょう。

目的別「1株投資」の例

最初の一歩として、目的別に1株で買える銘柄の例を挙げます(特定の銘柄をすすめるものではありません)。

やりたいこと

1株の例

必要な金額(概算)

まずは超有名企業の株主になりたい

Apple(AAPL)

約5.3万円

1万円以下で始めたい

NIKE(NKE)

約5,700円

配当をもらう体験をしたい

コカ・コーラ(KO)

約1.4万円

AI成長の中心企業を知りたい

NVIDIA(NVDA)

約3.5万円

毎日使うサービスの株主になりたい

スターバックス(SBUX)

約1.5万円

注:2026年9月24日終値を1ドル=158円で換算した概算。売買手数料・為替手数料は含みません。

「自分がよく使う会社の株を1株買ってみる」——これが最初の一歩としては、一番わかりやすくて楽しいかもしれません。
1株でも配当はちゃんともらえますし、決算シーズンには「自分が株主の会社」のニュースが気になるようになります。それが投資の勉強になっていくんです。


もちろんリスクもある——知っておきたい4つの注意点

いいことばかり書いてきましたが、リスクもちゃんと理解しておきましょう。

① 為替リスク 米国株はドル建て資産です。円高になると、株価が上がっていても円換算ではマイナスになることがあります。③の計算でも、円換算で10年間持って年率マイナスになった期間が4回ありました(最悪は1999〜2008年の年率−3.5%)。逆に円安なら為替差益がプラスに。「ドル資産を持つこと自体が円安へのヘッジになる」という考え方もあります。

② 割高感 FactSetによると、S&P500の予想PER(今後12カ月の予想利益に対する株価の倍率)は19.1倍で、過去5年平均(19.8倍)は下回るものの、過去10年平均(19.0倍)とほぼ同じ水準です(2026年9月18日時点)。

PERは企業の利益見通しが下振れすると一気に高く見えるため、「利益が予想どおり伸びるか」とセットで見る必要があります。

③ 集中リスク マグニフィセント・セブン(Apple、Microsoft、NVIDIA、Alphabet、Amazon、Meta、Tesla)がS&P500の時価総額の約3分の1(約34%、Forbes 2026年9月版)を占めています。たった7社の業績が指数全体を大きく左右する構造には注意が必要です。個別株ならなおさらで、前述のNIKEのように、半年ほどで株価が4割以上下がることもあります。

④ 政治リスク 関税政策や金融政策の変更、2026年11月の中間選挙など、政治イベントが市場を揺らす場面は今後もあるでしょう。FRB(米連邦準備制度理事会)の議長は、2026年5月にパウエル氏からウォーシュ氏に交代しており、新体制の金融政策も注目点です。


どんな条件なら判断が変わる?

ここまでの数字は「長く持つ」「分散する」ことを前提にしたものです。次のような条件に当てはまる場合は、同じアメリカ株でも結果が大きく変わる可能性があります。

  • 投資期間が10年未満:過去データでも10年保有でマイナスになった期間があります。数年以内に使う予定のお金は、株式以外で持つほうが安心です
  • 円高が進んだ場合:ドル建てでは好成績でも、円換算では目減りします。1998〜2012年の15年間は、円換算で年率+1.6%にとどまりました
  • 課税口座で運用する場合:売却益や配当に約20%(米国株の配当は米国の10%も)課税されるため、手取りのリターンは下がります。NISA枠を使えるかどうかで差が出ます
  • 個別株に集中する場合:③の「15年持てばほぼマイナスなし」はS&P500全体の話です。1社に集中すると、その会社の業績次第で結果が大きくぶれます
  • 下落時に売ってしまう場合:2008年や2020年のような急落で手放すと、その後の回復を取り逃がします。自分が耐えられる下落幅を事前に考えておくことが大切です

まとめ:7つの理由をおさらい

#

理由

ひとこと

①

身近な会社ばかり

iPhone、スタバ、コーラ…全部アメリカ企業。しかも1株から買える

②

世界最大の市場

世界の時価総額の4割強(2025年末で43.7%)を占める

③

長期リターンの実績

S&P500は1928年以降で年率約10%(配当込み・ドル建て・税引前)

④

配当の文化がスゴい

50年以上毎年増配する企業が50社以上

⑤

AI革命の中心地

ビッグテックの設備投資は4社で年7,000億ドル超の規模

⑥

イノベーションの源泉

時代ごとに成長企業が入れ替わる新陳代謝

⑦

1株から始められる

NIKEなら約6,000円、コカ・コーラなら約1.4万円で株主に

もちろん、アメリカ株だけが正解というわけではありません。でも、長期で資産を育てたいなら、世界経済の成長エンジンであるアメリカ株をポートフォリオに組み込むことは、有力な選択肢のひとつだと筆者は考えています。

まずは「いつも飲んでるスタバの株、1株買ってみようかな」くらいの気持ちで、一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。1万円台で、世界的ブランドの株主になれる。これがアメリカ株の一番の入り口です。


出典・参考データ

更新履歴

  • 2026年9月25日:株価・為替・配当データを最新の発表に更新。マクドナルドの連続増配年数と年間配当を訂正(旧記載「52年・7.08ドル」は、公開前の2025年10月22日発表「49年・年換算7.44ドル」とも一致していませんでした。最新は2026年9月17日発表の50年・7.72ドル)。S&P500のリターンに期間・配当再投資・通貨・税金と手数料の条件を明記し、保有期間別・円換算の計算を追加。世界の時価総額シェア(47.8%→43.7%)、1989年の時価総額ランキング(旧記載は1995年)、上位10社の記述、予想PER、FRB議長の記述を訂正。各数値に出典を追加

※本記事は筆者個人の見解であり、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。