Amazon(NASDAQ: AMZN)のQ2 FY2026(2026年6月30日終了四半期)は、連結売上高が2,006.06億ドル(前年同期比+19.6%)、GAAP希薄化後EPSが5.75ドル(同+242.3%)となった。売上高は報道ベースの市場コンセンサス1,964.3億ドルを+2.1%上回り、会社が4月29日に示した前回ガイダンスのレンジ上限1,990億ドルも+0.8%超過した。営業利益274.61億ドルに至っては、前回ガイダンス上限240億ドルを+14.4%上回っている。

市場が最も評価したのは、AWSの成長率である。AWS売上高は422.32億ドル(+36.7%)と会社が「18四半期ぶりの高成長」と説明する水準に達し、事前の市場期待31%程度を約5.7pt上回った。Q3の売上ガイダンス中心値1,995億ドルは市場予想2,039.2億ドルを▲2.2%下回ったものの、株価は発表翌営業日の7月31日に+15.32%の271.58ドルで引けた。数値は米ドル建て、特記なき限り会社のUS GAAPベースである(Amazonは非GAAP EPSおよび非GAAPの粗利率・営業利益率を開示していない)。

決算サマリー:AWSが18四半期ぶりの高成長、営業利益は会社ガイダンス上限を大きく超過

指標

Q2 FY2026実績

前年同期

前年比

コンセンサス

対コンセンサス

売上高

2,006.06億ドル

1,677.02億ドル

+19.6%

1,964.3億ドル

+2.1%ビート

非GAAP EPS

---

---

---

---

Amazonは非GAAP EPSを開示していない

GAAP希薄化後EPS

5.75ドル

1.68ドル

+242.3%

1.82ドル

+215.9%ビート

営業利益

274.61億ドル

191.71億ドル

+43.2%

235.7億ドル

+16.5%ビート

AWS売上高

422.32億ドル

308.73億ドル

+36.7%

405.4億ドル

+4.2%ビート

GAAP営業利益率

13.7%

11.4%

+230bp

---

---

純利益

626.47億ドル

181.64億ドル

+244.9%

---

非営業評価益534.15億ドル(税引前)を含む

引用:Amazon Form 8-K・Exhibit 99.1(2026年7月30日)。売上高・EPSのコンセンサスはTheFly/TipRanks報道(LSEG=英国London Stock Exchange Groupが運営するアナリスト予想集計サービス)、営業利益・AWS売上のコンセンサスはCNBC報道による。売上コンセンサスは集計元により1,964億〜1,970億ドルと差があり、ビート幅も+1.9%〜+2.1%の幅を持つ点は押さえておきたい。前年比・対コンセンサス%は8-K開示の金額からの筆者計算。GAAP EPSのコンセンサス1.82ドルはAnthropic投資に係る評価益を織り込んでいないと考えられ、+215.9%という乖離率は事業の実力を示すものではない(筆者の解釈)。なお営業利益のコンセンサス235.7億ドルは会社ガイダンスのレンジ(200〜240億ドル)の内側にあり、市場は会社の見通しをほぼそのまま織り込んでいた。AWSの前年比は開示金額から計算すると+36.8%、会社説明値は36.7%、開示表の四捨五入値は37%であり、いずれも同一の実績を指す(本文では会社説明値を用いる)。営業利益率の+230bpは会社開示の丸め値ベースで、小数第2位までの精緻値では+226bpとなる。bp(ベーシスポイント)は0.01%、pt(ポイント)は率の変化幅を表す単位で、以下同様に用いる。また本記事では、数値の算出を(筆者計算)、事実からの推論を(筆者分析)、評価・見立てを(筆者の解釈)と区別して表記する。Amazonの会計年度は12月31日終了で、FY2026は2026年12月期、対象四半期の締め日は2026年6月30日である。

主要ポイント

  • 売上は会社ガイダンスのレンジ上限を超え、AWSが加速した。連結売上は前年同期比+19.6%(為替影響を除いても+20%)、前四半期比+10.5%。四半期売上としてはQ4 FY2025の2,133.86億ドルに次ぐ規模である。牽引役はAWSで、売上高422.32億ドル(+36.7%)と会社が「18四半期ぶりの高成長」と説明する水準に達した。AWSの年換算売上ランレート(直近の売上を12カ月換算した事業規模)は1,690億ドル、AI事業とカスタムチップ事業もそれぞれ250億ドル超のランレートに到達している(会社説明)。
  • 営業利益率は+230bp改善し、AWSが連結営業利益の6割を稼いだ。GAAP営業利益率は13.7%で前年同期比+230bp。一方でGAAP粗利率は52.3%と+44bpの改善にとどまっており、利益率の拡大は費用側の規律によるものである。AWSの営業利益率は32.9%から39.4%+650bp改善し、AWS単独で連結営業利益の60.5%(166.21億ドル÷274.61億ドル)を占めた(筆者計算)。北米は7.5%→7.9%と改善幅が限定的である。
  • Q3ガイダンスは市場予想を下回るが、Prime Dayの期ズレを含む。連結売上ガイダンスは1,970億〜2,020億ドルで、中心値1,995億ドルは市場予想2,039.2億ドルを▲2.2%下回る。ただし例年7月に開催されてきたPrime Dayが2026年は6月に前倒しされたため、Q2は前年になかった商戦を1回分抱え、Q3は逆に1回分を失う。会社も「2025年・2026年双方のPrime Dayの影響を除けばQ3の前年比成長率は約400bp高くなる」と注記しており、これを加味すると中心値の成長率は+10.7%ではなく約+14.7%相当となる(筆者計算)。
  • 株価は翌営業日に+15.32%高、一方でフリーキャッシュフローは流出超に転じた。7月30日終値235.50ドル、時間外257.95ドル(+9.53%)を経て、翌7月31日は271.58ドル(+15.32%)で引けた。決算前日比では2営業日で+19.8%である(筆者計算)。他方、過去12カ月のフリーキャッシュフロー(FCF=営業CF−設備投資。以下FCF)は▲76.04億ドルと前年同期の+181.84億ドルからマイナスに転落し、2026年通期の設備投資見通しも約2,000億ドルから約2,200億ドルへ引き上げられた(電話会議での会社説明、報道ベース)。

1. Amazon Q2決算詳細:売上とセグメント別動向

Q2連結売上高は2,006.06億ドルで、前年同期比+19.6%(会社発表の丸め表記では+20%)、前四半期比+10.5%となった。会社は為替の押し上げ効果を1億ドル(=実質ゼロ)としており、増収のほぼ全てが実需とイベント要因によるものである。主因は、売上構成比21.1%まで高まったAWSの加速(+36.7%)と、広告サービスの+26%成長である。加えて、世界の有料出荷ユニット数が前年同期比+17%と過去6四半期で最も高い伸びを示した。ただし2026年のPrime Dayは6月(Q2)、2025年は7月(Q3)に実施されており、この数量の伸びには前年同期比で有利な期ズレ要因が含まれる点は割り引いて読む必要がある(筆者の解釈)。

四半期

連結売上高

AWS売上高

AWS成長率

GAAP営業利益率

備考

Q1 FY2025

1,556.67億ドル

292.67億ドル

+17%

11.8%

実績

Q2 FY2025

1,677.02億ドル

308.73億ドル

+17%

11.4%

実績

Q3 FY2025

1,801.69億ドル

330.06億ドル

+20%

9.7%

実績

Q4 FY2025

2,133.86億ドル

355.79億ドル

+24%

11.7%

実績

Q1 FY2026

1,815.19億ドル

375.87億ドル

+28%

13.1%

実績

Q2 FY2026

2,006.06億ドル

422.32億ドル

+37%

13.7%

実績

Q3 FY2026

1,970〜2,020億ドル

---

---

12.3%(中心値)

会社ガイダンス

引用:Amazon Form 8-K・Exhibit 99.1(Supplemental Financial Information)。AWS成長率は会社開示表の四捨五入値で、Q2 FY2026の会社説明値は36.7%である(決算サマリー表の注を参照)。Q3はいずれも会社ガイダンスで、AWS単独のガイダンスは開示されていない。Q3の営業利益率12.3%は営業利益中心値245億ドル÷売上中心値1,995億ドルによる筆者計算。参考として、Q2 FY2026の会社ガイダンスは売上1,940〜1,990億ドル・営業利益200〜240億ドル(2026年4月29日時点)で、実績はいずれも上限を超過した。なおQ4 FY2025の2,133.86億ドルは年末商戦を含む季節的なピークであり、Q2 FY2026の2,006.06億ドルは非年末四半期としては最大規模である。

図1:Amazon 連結売上高の四半期推移とQ3 FY2026ガイダンス(引用:会社決算発表。Q2の会社ガイダンスはQ1 FY2026決算発表)

セグメント別動向:AWSが構成比21.1%へ、利益貢献では6割超

Amazonは報告セグメントとして北米(Amazon.comの北米事業)、国際(北米以外の事業)、AWS(クラウドインフラ事業)の3つを開示している。Q2は3セグメントすべてが増収だったが、伸び率の差が構成比を動かした。AWSの構成比は前年同期の18.4%から21.1%+270bp上昇し、北米は59.7%から57.9%へ低下している。利益面ではさらに偏りが大きく、AWSの営業利益166.21億ドルは連結営業利益274.61億ドルの60.5%を占めた(筆者計算)。売上構成比が2割の事業が利益の6割を稼ぐ構図である。一方、国際セグメントは営業利益率4.1%と前年同期並みで、増収率も+14.8%と3セグメントで最も低い。

セグメント

Q2 FY2025

構成比

Q2 FY2026

構成比

前年比

営業利益(率)

北米

1,000.68億ドル

59.7%

1,161.77億ドル

57.9%

+16.1%

91.23億ドル(7.9%)

国際

367.61億ドル

21.9%

421.97億ドル

21.0%

+14.8%

17.17億ドル(4.1%)

AWS

308.73億ドル

18.4%

422.32億ドル

21.1%

+36.8%

166.21億ドル(39.4%)

合計

1,677.02億ドル

100%

2,006.06億ドル

100%

+19.6%

274.61億ドル(13.7%)

引用:Amazon Form 8-K・Exhibit 99.1(Segment Information)。構成比・前年比・営業利益率は同資料の金額からの筆者計算。会社発表の丸め表記では前年比がそれぞれ+16%、+15%、+37%、全社+20%となる。セグメント営業利益率の前年同期は順に7.5%、4.1%、32.9%で、AWSは+650bpと改善幅が突出する一方、北米は+40bp、国際は横ばいだった。

図2:Amazon セグメント別売上高と構成比の変化(引用:会社決算発表。AWSの構成比が18.4%→21.1%へ上昇)

Amazonはセグメントとは別に、売上を7つの区分(オンラインストア、実店舗、第三者出品者サービス、広告サービス、サブスクリプションサービス、AWS、その他)に分けて開示している。Q2の売上成長率(前年同期比、為替影響を除く前の報告ベース)は、AWSの+37%が突出して高く、次いで広告サービスが+26%だった。以下、その他+22%、第三者出品者サービス+16%、オンラインストア+15%、サブスクリプションサービス+12%、実店舗+4%と続く(後掲の図7を参照)。

ただし、成長の加速は全区分に及んでいるわけではない。前四半期の成長率と同じ報告ベースで並べると、加速したのは広告サービス(+24%→+26%)、第三者出品者サービス(+14%→+16%)、オンラインストア(+12%→+15%)の3区分である。一方でサブスクリプションサービスは+15%→+12%、その他は+25%→+22%と減速した。AWSと広告、そして小売の取引量が牽引する構図が鮮明になった半面、会費収入型のサブスクリプションは伸びが鈍っている(筆者の解釈)。

2. Amazon Q2の収益性とキャッシュフロー

GAAP粗利率は52.3%で前年同期比+44bp、前四半期比も+44bpと、改善は小幅にとどまった。それでもGAAP営業利益率は13.7%と前年同期比+230bp拡大している。粗利率がほとんど動かないなかで営業利益率が伸びたのは、営業費用の伸びに偏りがあったためである。売上が+19.6%伸びたのに対し、販売・マーケティング費は+2.5%(114.16億ドル→116.98億ドル)、一般管理費は▲6.0%(29.65億ドル→27.88億ドル)とほぼ横ばい以下に抑えられた一方、テクノロジー・インフラ費だけが+22.1%(271.66億ドル→331.58億ドル)と売上を上回るペースで増えている(筆者計算)。同じ期間に減価償却費・償却費(有形固定資産、制作費資産、オペレーティングリース資産等を含む)は152.27億ドルから199.88億ドルへ+31.3%増えており、AI関連の設備投資に伴う償却負担がこの費用項目を押し上げていると考えられる(筆者分析。会社は内訳を開示していない)。

セグメント別では、AWSの営業利益率39.4%が構造的な牽引役である。ただしこの水準はQ1 FY2025の39.5%とほぼ同等であり、直近の底(Q2 FY2025の32.9%)からの回復という側面も持つ。北米の営業利益率7.9%は前四半期と同水準で、増収に対する利益率の追加改善は見られなかった。

指標

Q2 FY2025

Q1 FY2026

Q2 FY2026

前年同期比

GAAP粗利率

51.8%

51.8%

52.3%

+44bp

GAAP営業利益率

11.4%

13.1%

13.7%

+230bp

GAAP純利益率

10.8%

16.7%

31.2%

+2,040bp

AWS営業利益率

32.9%

37.7%

39.4%

+650bp

北米営業利益率

7.5%

7.9%

7.9%

+40bp

非GAAP粗利率・営業利益率

Amazonは非GAAPの粗利率・営業利益率を定例開示していない(非該当)

引用:Amazon Form 8-K・Exhibit 99.1。各利益率は開示金額からの筆者計算(粗利率=(売上高−売上原価)÷売上高)。粗利率の+44bpは小数第2位までの値(51.81%→52.26%)で算出しており、1桁表記から読み取れる+50bpとは丸めの差が生じる。純利益率が営業利益率を大きく上回るのは、営業外損益(Q2は+533.96億ドル)にAnthropicへの出資に係る評価益が含まれるためで、事業の収益性は粗利・営業段階で評価するのが妥当である(筆者の解釈)。

図3:Amazon 全社・セグメント別GAAP営業利益率の四半期トレンド(引用:会社決算発表。AWSはQ2 FY2025の32.9%を底に4四半期連続で改善)

EPS:GAAPは+242.3%、ただし評価益を除くと約1.95ドル

GAAP希薄化後EPSは5.75ドル(+242.3%)で、増益率が営業利益の+43.2%を大きく上回った。要因は「その他の収益(費用)純額」が前年同期の11.17億ドルから534.15億ドルへ膨らんだことで、会社はこれを「主にAnthropicへの投資による」と明記している。同種の要因は前四半期にもあり、Q1 FY2026についても会社は「Anthropic投資からの税引前利益168億ドルが非営業利益に含まれる」と記載していた(会社開示)。

Amazonは非GAAP EPSを開示していないため、他社のようにGAAPと非GAAPを並べて増益率を比べることはできない。そこで参考として、その他の収益534.15億ドルを税引前利益808.57億ドルから除き、当四半期の実効税率22.5%(法人税費用181.99億ドル÷税引前利益808.57億ドル)を一律に適用して機械的に計算してみると、希薄化後EPSは約1.95ドルとなる。コンセンサス1.82ドルを+7.1%上回る水準である(筆者計算)。

図4:Amazon GAAP希薄化後EPSの四半期推移(引用:会社決算発表。評価益控除後の試算値は筆者計算)

キャッシュフローと資本配分:TTM営業CFは過去最高、FCFはマイナスに転落

営業キャッシュフロー(以下、営業CF)は四半期で453.87億ドル(+39.6%)、過去12カ月(TTM=直近4四半期の合計)では1,614.03億ドル(+33.0%)となり、開示されている範囲でTTMベースの過去最高となった。ただし四半期単体では年末商戦を含むQ4が季節的に大きく、2025年Q3・Q4の合計は899.84億ドルである(TTM差分からの筆者計算)。四半期単体の過去最高かどうかは本資料からは判定できない。

一方、四半期の設備投資(有形固定資産取得額)は前年同期の321.83億ドルから542.08億ドルへ約1.7倍に膨らんだ。この結果、四半期ベースのFCFは▲76.89億ドル(前年同期は+11.47億ドル、いずれも筆者計算)、会社定義のTTM FCFも▲76.04億ドルと、前年同期の+181.84億ドルから流出超に転じている。会社はこの反転を「主にAI関連の有形固定資産取得が前年比661億ドル増加したこと」によると説明する(会社開示)。

期末の現金・現金同等物は782.13億ドル、市場性証券447.75億ドルで合計1,229.88億ドル。長期有利子負債は1,288.94億ドルと2025年末の656.48億ドルからほぼ倍増しており、増加分の大半はQ1に発行した534.41億ドルによる(上期の長期債発行額は669.98億ドル)。同社は配当を実施しておらず、自己株式も2025年12月末と同額の▲78.37億ドルで変動がないため、上期を通じて自社株買いも行われていない。運転資本では、売上債権その他が2025年末の677.29億ドルから880.92億ドルへ+30.1%増加し、四半期で82.04億ドルのキャッシュ流出要因となった。売上の伸び(+19.6%)を上回るペースであり、AWSの大型契約や広告の伸長に伴う入金サイトの長期化が背景にある可能性がある一方、回収遅延の兆候としても両面で見る必要がある(筆者分析)。在庫は381.84億ドルと2025年末の383.25億ドルからほぼ横ばいで、特異な積み上がりは見られない。

図5:Amazon 営業CF・設備投資・FCFの推移(いずれも過去12カ月=TTM)(引用:会社決算発表)

3. 成長ドライバーの深掘り:AWSのAI需要とカスタムシリコン

今回の決算の核心は、1,690億ドル規模まで育ったAWSが、その規模にもかかわらず成長を加速させたことである。売上成長率はQ2 FY2025の+17%から、+20%(Q3)、+24%(Q4)、+28%(Q1 FY2026)と4四半期連続で高まり、Q2 FY2026は+36.7%に達した。1年で約20ptの加速である。前四半期に会社がAWSの28%成長を「15四半期ぶりの高成長」と表現していたことと、今回の「18四半期ぶり」という説明は整合する。この規模は「単独企業ならFortune 500の24位に相当する」という(会社説明)。同じAI需要を追い風にしたクラウド各社の動きは、マイクロソフト(MSFT)Q4 FY2026決算およびAlphabet(GOOGL)Q2決算で整理している。

牽引しているのは、会社が挙げる2つのランレート指標である。AWSのAI事業とカスタムチップ事業がそれぞれ年換算250億ドル超に達し、いずれも3桁%の前年比成長を続けている。チップ事業は前四半期発表時点で200億ドル超だったため、1四半期でさらに一段の拡大となった(いずれも決算プレスリリース記載)。

カスタムシリコンでは、AI学習・推論向けのTrainiumに対するAnthropicとOpenAIのコミットメントが継続していると説明された。両社の規模はQ1決算発表時に開示済みで、OpenAIが約2ギガワット(2027年から立ち上がり)、Anthropicが現行・次世代Trainiumで最大5ギガワットである(ギガワットはデータセンターの電力容量の単位で、AI向け計算資源の規模を示す)。

汎用CPUでは、Graviton5が一般提供を開始した。Graviton4比で最大25%の演算性能向上を実現し、EC2上位1,000顧客の98%がGravitonを利用、売上コミットメントは前四半期比で約3倍に増えたという(決算プレスリリース記載)。

需要の先行指標としては、決算説明会でAWSの受注残(backlog=契約済みでまだ売上計上していない残高)が4,960億ドルに達したと述べられた。前四半期の3,640億ドルから四半期で約36%積み上がった計算になる(金額はいずれも報道ベース、増加率は筆者計算)。

図6:AWS売上高と前年比成長率の四半期推移(引用:会社決算発表。Q2 FY2026の36.7%は会社説明値)

投資家視点での論点は、この需要をどれだけの投下資本で取りにいくかという一点に集約される。会社は2026年通期の設備投資を約2,000億ドルから約2,200億ドルへ引き上げ、その理由としてメモリー価格の上昇を挙げた(電話会議での会社説明、報道ベース)AWSの営業利益率39.4%は高水準だが、償却負担とメモリー調達コストの影響は次の数四半期で検証される。

図7:Amazon 売上区分別の前年比成長率(報告ベース)(引用:会社決算発表。会社は為替影響を除くベースも併記しているが、前四半期との比較を可能にするため報告ベースに統一した)

4. Amazonの次Q・通期ガイダンスと見通し

まず当期実績の位置づけを確認すると、売上高は市場予想を+2.1%、会社が4月29日に示した前回ガイダンス(1,940億〜1,990億ドル)の中心値1,965億ドルを+2.1%、レンジ上限1,990億ドルを+0.8%上回った。営業利益は前回ガイダンス(200億〜240億ドル)の中心値220億ドルを+24.8%、レンジ上限240億ドルすら+14.4%超過している(いずれも筆者計算)。営業利益のコンセンサス235.7億ドルが会社ガイダンスのレンジ内に収まっていたことを踏まえると、今回の上振れは市場だけでなく会社自身の想定をも超えた性格が強い(筆者の解釈)。AWS成長率についても、事前の期待値は31%程度だったとされ(報道ベース)、実績36.7%はこれを約5.7pt上回った。

Q3 FY2026指標

会社ガイダンス

市場予想

前年同期

前年比・対市場予想

連結売上高

1,970億〜2,020億ドル
中心値 1,995億ドル

2,039.2億ドル

1,801.69億ドル

前年比+10.7%(中心値)
対市場予想▲2.2%

営業利益

225億〜265億ドル
中心値 245億ドル

249.2億ドル

174.22億ドル

前年比+40.6%(中心値)
対市場予想▲1.7%

GAAP営業利益率(中心値)

12.3%

---

9.7%

前年比+260bp

2026年通期 設備投資

約2,200億ドル

---

---

従来見通し約2,000億ドルから引き上げ

売上・EPSの通期ガイダンス

会社は通期の包括的な売上高・利益ガイダンスを提示していない(非開示)

引用:Amazon Form 8-K・Exhibit 99.1(Financial Guidance)、市場予想はTheFly/TipRanks報道およびCNBC報道(StreetAccount集計)による。市場予想は報道ベースで、集計元・取得時点により異なる。前年比・対市場予想および営業利益率は筆者計算。Q3ガイダンスの売上成長率+10.7%はPrime Dayの期ズレを含んだ数字であり、会社は「両年のPrime Day影響を除けば約400bp高くなる」と注記している。為替は約80bpのマイナス影響を想定しているとされる。営業利益の中心値245億ドルと市場予想249.2億ドルは近接しており、レンジ上限265億ドルは市場予想を上回る点に留意されたい。設備投資の約2,200億ドルは決算説明会での会社説明を報道が伝えたものある。

通期については、Amazonは従来から包括的な売上高・利益のガイダンスを提示していない。したがって「通期見通しの上方修正/下方修正」という論点は存在せず、定量的な通期メッセージは設備投資に関する説明にとどまる。約2,200億ドルへの引き上げは需要の強さを示す一方、FCFと減価償却負担の観点では慎重材料でもあり、市場の受け止めは一様ではなかった(筆者の解釈)。

図8:Q3 FY2026ガイダンスと市場予想の比較(引用:会社決算発表、市場予想は報道ベース)

図9:Q2 FY2026実績とコンセンサス・会社ガイダンスの比較(引用:会社決算発表、コンセンサスは報道ベースで集計元により差がある)

5. Amazon株の投資論点への影響

以下の論点整理と判定は、会社開示の事実に基づく筆者の分析である。

論点①:AWSはAI需要を取り込めているか

AWSの成長率は4四半期連続で加速し、17%から36.7%へ高まった。市場予想の31%を大きく上回り、AI事業とカスタムチップ事業がそれぞれ年換算250億ドル超のランレートに到達したことで、成長の中身が「AI関連の実売上」であることが数字で裏付けられた(会社説明)。受注残4,960億ドル(報道ベース)も中期の可視性を補強する。ただし加速の持続性は、データセンター容量の投入ペースに依存する。

論点②:AI投資局面でもキャッシュ創出力を維持できるか

四半期の設備投資は542.08億ドルと前年同期の約1.7倍、TTMベースでは1,690.07億ドル(+64%)に達し、営業CFがTTMで+33.0%伸びてもTTM FCFは▲76.04億ドルとマイナスに転落した。2026年通期の設備投資見通しも約2,200億ドルへ引き上げられ、その理由としてメモリー価格の上昇が挙げられている(報道ベース)。長期有利子負債が半年で656.48億ドルから1,288.94億ドルへほぼ倍増した点も、投資を借入で賄う局面に入ったことを示す。減価償却費の先行負担は今後も利益率を圧迫し得る。

論点③:小売事業の営業レバレッジは効き続けるか

北米の営業利益率は7.9%で前四半期と同水準、前年同期比では+40bpにとどまった。有料出荷ユニット数+17%に対して配送コストは+19%と、数量とコストがほぼ同ペースで伸びている。しかも当四半期はPrime Dayが含まれる有利な条件下での数字である。一方で販売・マーケティング費が+2.5%、一般管理費が▲6.0%と抑制されており、費用規律そのものは維持されている(筆者計算)。国際の営業利益率4.1%も前年同期並みで、構造的な改善局面には至っていない。

論点④:広告事業は第3の柱として機能しているか

広告サービスは198.09億ドル・前年比+26%と、報告ベースで前四半期の+24%から加速した。四半期売上は200億ドルの大台に接近しており、AWSに次ぐ成長率を維持している。小売の集客資産を収益化する高採算事業であるため、営業利益率の押し上げにも寄与しているとみられる(筆者の解釈)。ただしAmazonは広告単独の営業利益率を開示しておらず、利益貢献額は外部から検証できない。

リスク要因

以下は将来起こり得る事象に関する筆者整理のリスクシナリオであり、発生を予測するものではない。

  • 期待値とバリュエーション。決算後2営業日で株価は+19.8%上昇しており(7月29日終値226.65ドル→7月31日終値271.58ドル、筆者計算)、AI需要の強さは相応に織り込まれた可能性がある。次回決算でAWSの成長率が減速すれば、今回と逆方向の反応が生じ得る。
  • 純利益の質。Q2純利益626.47億ドルのうち534.15億ドル(税引前)は非営業の評価益で、Q1にも168億ドルの同種の利益が計上されている。Anthropicの評価額が下方修正されれば逆方向の評価損が計上され得る。会社はこの投資の評価方法・持分比率を四半期プレスリリースでは開示していない。
  • 顧客・取引先の集中。Trainiumの複数年コミットメントの主要な相手先がAnthropicとOpenAIに集中しており、両社の資金調達環境や戦略変更がAWSの受注残・売上計画に影響し得る。なお決算発表翌日の2026年7月31日には、AmazonがOpenAIへ追加で350億ドルを出資し投資総額500億ドルを完了したと複数のメディアが報じている(報道ベース。本稿執筆時点で会社の一次開示による確認は取れていない)。
  • 入力コストと供給。会社自身がメモリー価格の上昇を設備投資引き上げの理由に挙げており(報道ベース)、決算プレスリリースのリスク要因にも「メモリーチップを含む資源・供給の変動」が明記された。部材価格の高止まりは、AWSの利益率と減価償却負担の双方に影響する。
  • FCFの持続性。TTM FCFがマイナスに転じた状態が長期化すれば、株主還元余力や財務柔軟性に対する市場の評価が変わり得る。
  • マクロ・規制・関税。会社はリスク要因として関税・通商政策、景気後退懸念、規制を明記している。Q2には関税還付6億ドルを計上したとされる(報道ベース)が、通商政策の変更は小売のコスト構造に直接影響する。

6. Amazon株のバリュエーションと株価反応

決算は2026年7月30日の米国市場終了後に発表された。同日の通常取引でAMZNは235.50ドル(前日比+3.90%)で引けており、発表直後の時間外では257.95ドル(+9.53%、同日19時59分ET時点)まで買われた。翌7月31日は265.00ドルで寄り付き、ザラ場高値273.23ドル・安値262.01ドルの後、271.58ドル(前日比+15.32%)で引けた。出来高は1億2,837万株で前日の約1.4倍である(stockanalysis.com掲載の取引所データ)。決算前日の7月29日終値226.65ドルからの2営業日騰落率は+19.8%で、終値ベースでは5月28日(274.00ドル)以来の高値水準となった(筆者計算)。

Q3の売上ガイダンス中心値が市場予想を▲2.2%下回ったにもかかわらず株価が大幅高となった背景として、次の3点が挙げられる(筆者の解釈)。

  • AWSの成長率36.7%が事前期待31%を約5.7pt上回ったこと。投資家が最も重視するKPIで明確な上振れがあった。
  • Q3ガイダンスの弱さがPrime Dayの期ズレを含むこと。会社が「両年のPrime Day影響を除けば約400bp高くなる」と注記したことで、実質的な減速幅は限定的と受け止められた。
  • 営業利益が会社ガイダンスのレンジ上限すら+14.4%上回ったこと。AI投資局面でも収益性を確保できることが示された。

設備投資2,200億ドルへの引き上げは慎重材料になり得たが、AWSの受注残4,960億ドル(報道ベース)が同時に示されたことで、投資が需要に裏付けられているという解釈が優位に立ったとみられる。

株価水準の文脈としては、7月31日終値271.58ドルは52週レンジ196.00〜278.56ドルの上限に近く、52週高値からは▲2.5%の位置にある。決算前日の226.65ドルはレンジ中点237.28ドルを下回っていたため、期待値は相応に低かったと考えられる(筆者の解釈)。時価総額は終値×流通株式数107.83億株の筆者計算で約2.93兆ドルとなる。

バリュエーション指標については、7月31日終値271.58ドルと会社開示のTTM GAAP希薄化後EPS 12.44ドルを用いると実績PERは約21.8倍となる(筆者計算)。ただしこの分母にはQ1の168億ドル・Q2の534.15億ドル(いずれも税引前)という非営業評価益が含まれており、事業の収益力に対する倍率としては読めない点に注意が必要である。予想PER・PEGについては、決算を受けたアナリスト予想の改定が反映された同一時点・同一基準の信頼できる集計値を確認できなかったため、本稿では記載しない(公開時に自社データ源の当日値を挿入されたい)。配当利回りは、同社が配当を実施していないため算出できない。年初来騰落率も、基準となる2025年12月末終値を同一ソースで確認できなかったため記載しない。なお目標株価は7月31日にKeyBanc、Truistなど複数社が引き上げたと報じられており、決算前の集計値は既に更新されている可能性が高い(報道ベース)。

引用:stockanalysis.com(S&P Global Market Intelligence提供の株価データ)StockStory(時間外の株価反応)TipRanks(目標株価の引き上げ)。株価・時価総額・評価指標は取得時点(2026年8月1日)の値であり、常に変動する。

7. まとめ:Amazon Q2 FY2026決算のポイント

Q2 FY2026のAmazonは、売上高・営業利益・AWS売上のいずれも市場予想を上回り、さらに売上と営業利益は会社自身のガイダンスのレンジ上限をも超過した。一方でQ3の売上ガイダンス中心値は市場予想を下回っており、「beat but guide light」(実績は上振れ、次期見通しは市場予想比で弱め)の決算である。実績面ではAWS+36.7%と広告+26%が牽引し、AWSは連結営業利益の6割を稼ぐ存在になった。他方でTTM FCFは▲76.04億ドルとマイナスに転落し、AI投資の負担も数字にはっきり表れている。

株価の15.3%高は、業績要因と期待値要因の両方が働いた結果と考えられる。決算前の株価は52週レンジの中点を下回っており、設備投資の膨張とキャッシュフロー悪化が相応に織り込まれていた。そこにAWS+36.7%とガイダンス上限を14.4%上回る営業利益が出た形である。個人的には、市場が買ったのは成長そのものより「投資が実際に売上と利益へ転換している」という確認だったと考えている。ただし決算の性格として注意したいのは、純利益626.47億ドルの大半がAnthropic投資という非営業要因である点で、事業の実力は営業利益+43.2%の側で評価するのが妥当だろう。

次の焦点は、(1) Q3売上1,970億〜2,020億ドル・営業利益225億〜265億ドルの達成度、(2) AWSの成長率が36.7%からさらに加速するのか鈍化するのか、(3) 受注残4,960億ドルの推移とForm 10-QにおけるRPO開示での確認、(4) 設備投資2,200億ドルの執行ペースとFCFがプラスに戻る時期、(5) メモリー価格がAWSの営業利益率39.4%に与える影響、の5点である。加えて、報じられているOpenAIへの追加出資が事実であれば、非営業損益のボラティリティは一段と高まる。次回のQ3 FY2026決算発表は、例年の傾向では2026年10月下旬が見込まれる(公開前にAmazon公式のイベントカレンダーでの最終確認が必要)。

出典

免責

本記事は、決算発表日(2026年7月30日)および2026年7月31日の米国市場終値時点までに公開されている情報に基づく客観的な整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。金額は米ドル建てで、原則として億ドル(1億ドル=100百万ドル)で表記し、会社開示のUS GAAPに基づいています。Amazonの会計年度は12月31日に終了し、本記事の対象であるQ2 FY2026は2026年6月30日に締めた四半期です。同社は非GAAP EPSおよび非GAAPの粗利率・営業利益率を定例開示していないため、これらの項目は「非該当」と記載しました。本文では、会社IR・SEC提出資料の確定値、決算説明会での会社説明(会社説明)、コンセンサス・株価反応等の報道ベース情報(報道ベース)、筆者自身の計算・解釈(筆者計算・筆者分析・筆者の解釈)を区別して記載しています。受注残や設備投資見通しなど、決算プレスリリースに記載がなく報道を通じて伝えられた数値については、その旨を本文中に明示しました。市場コンセンサスは集計元により差があり、株価・時価総額・バリュエーション指標は取得時点から変動します。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。