Alphabet(NASDAQ: GOOGL/GOOG)のQ2 FY2026(2026年6月30日終了四半期)は、連結売上高が1,197.96億ドル(前年比+24.2%)、GAAP希薄化後EPSが9.11ドル(同+294%)となった。売上高は報道ベースの市場コンセンサス約1,170億ドルを+2.4%上回った一方、GAAP EPS 9.11ドルには非現金の株式評価益(税引後6.26ドル/株)が含まれ、これを除く本業ベースのEPS2.85ドルはコンセンサス約2.90ドルを▲1.7%下回った。同社最大のトピックは、2026年通期の設備投資(CapEx)見通しを従来の1,800〜1,900億ドルから1,950〜2,050億ドルへ上方修正した点で、フリーキャッシュフローが四半期ベースで▲58.6億ドルの赤字に転じたこともあり、好決算にもかかわらず株価は発表後に下落した。数値は米ドル建て、特記なき限り会社のUS GAAPベースである(非GAAPはフリーCFと恒常為替ベース売上のみ開示。非GAAP EPSは非開示)。

Alphabet(NASDAQ: GOOGL/GOOG)のQ2 FY2026(2026年6月30日終了四半期)は、連結売上高が1,197.96億ドル(前年比+24.2%)、GAAP希薄化後EPSが9.11ドル(同+294%)となった。売上高は報道ベースの市場予想(コンセンサス)約1,170億ドルを+2.4%上回った。ただしGAAP EPS 9.11ドルには非現金の株式評価益(税引後6.26ドル/株)が含まれる。これを除いた本業EPS2.85ドル(株式評価益の税後EPS影響を控除した筆者計算)は、市場予想(集計元により約2.89〜2.90ドル)を▲1.4〜1.7%下回った。同社最大のトピックは、2026年通期の設備投資(CapEx)見通しを従来の1,800〜1,900億ドルから1,950〜2,050億ドルへ上方修正した点である。フリーキャッシュフローが四半期ベースで▲58.6億ドルの赤字に転じたこともあり、好決算にもかかわらず株価は発表後に下落した。数値は米ドル建て、特記なき限り会社のUS GAAPベースである(非GAAPはフリーCFと恒常為替ベース売上のみ開示。非GAAP EPSは非開示)。

決算サマリー:Cloud加速と過去最高益、しかしAI設備投資の膨張が株価の重しに

指標

Q2 FY2026実績

前年同期(25Q2)

前年比

コンセンサス

対コンセンサス

売上高

1,197.96億ドル

964.28億ドル

+24.2%

約1,170億ドル

+2.4%ビート

Google Cloud売上高

247.68億ドル

136.24億ドル

+81.8%

約223〜246億ドル

ビート(集計元で差)

GAAP希薄化後EPS

9.11ドル

2.31ドル

+294%

(直接比較不可)

株式評価益で大幅押し上げ

EPS(株式評価益除く、筆者計算)

2.85ドル

約2.22ドル(筆者概算)

約+28%(筆者概算)

約2.89〜2.90ドル

▲1.4〜1.7%ミス

営業利益率(GAAP)

34.0%

32.4%

+160bp

---

---

フリーキャッシュフロー

▲58.6億ドル

+53.0億ドル

赤字転換

---

---

引用:Alphabet Q2 2026 決算プレスリリース(Form 8-K/Exhibit 99.1)。売上・EPSのコンセンサスはYahoo FinanceCNBCなど報道ベース(LSEG系集計)で、集計元・取得時点により異なる。GAAP EPS 9.11ドルには株式評価益6.26ドル/株が含まれ、市場予想(本業EPSベース)とは基準が異なるため直接比較できない点に留意されたい。本業EPS 2.85ドルは、会社が開示した株式評価益の押し上げ額(+6.26ドル)をGAAP EPSから機械的に差し引いて算出した筆者計算であり、Alphabetが正式な非GAAP指標として開示したものではない。市場予想(本業EPS)はZacks・Alphastreet等のアナリスト集計で約2.89ドル、一部報道で2.90ドルとされ、集計元・取得時点により異なる。bp(ベーシスポイント)は0.01%を表す単位で、以下同様に用いる。営業利益率の前年比は会社公表では「+2ポイント」(四捨五入)だが、厳密には+1.6pt(+160bp、筆者計算)。

主要ポイント

  • 売上・成長の中身:AI需要でCloudが加速、広告も二桁成長を維持。 連結売上は前年比+24.2%・前四半期比+9.0%。牽引役はGoogle Cloudで、売上+81.8%は4四半期連続の伸び率加速(+34%→+48%→+63%→+82%)となった。中核のGoogle Search & other(+16.8%)、YouTube広告(+12.9%)も堅調で、地域別では米国売上が+32%と最も伸びた(会社開示)。
  • 利益率・営業レバレッジ:Cloudの黒字拡大が全社利益率を押し上げ。 全社営業利益率は34.0%(+160bp)。とくにGoogle Cloudの営業利益は88.14億ドルへ約3.1倍化し、営業利益率は前年の20.7%から35.6%へ急改善した(筆者計算、会社開示データより)。規模拡大に伴う稼働率改善が効いている。
  • ガイダンス評価:主要な通期定量ガイダンスであるCapExを大幅上方修正。 Alphabetは売上高・EPSのガイダンスを提供しない。今回の焦点は2026年通期CapExで、従来1,800〜1,900億ドルから1,950〜2,050億ドルへ引き上げられた。中心値2,000億ドルは市場予想約1,860億ドルを+7.5%上回り、会社は2027年もCapExを「大幅に増やす」と説明した(会社説明)。
  • 株価反応:好決算でも株価は下落。実績の強さより投資規律への懸念が優先された。 GAAP EPS 9.11ドルは株式評価益6.26ドル/株を含み、本業EPSは2.85ドル。設備投資の膨張でフリーCFが四半期赤字(▲58.6億ドル)に転じたこともあり、株価は決算発表後の時間外で下落し、翌7月23日には約7%下落した(報道ベース。終値ベースの下落率は提供元により約▲6.8〜7.7%)。

1. Alphabet Q2決算詳細:売上とセグメント別動向

Q2連結売上高は1,197.96億ドルで、前年同期比+24.2%(恒常為替ベース+23%)、前四半期比+9.0%となった。これで12四半期連続の二桁増収である。増収の主因はGoogle Cloudの加速と、Search・YouTubeを中心とする広告の底堅さで、会社はAI機能がSearchのクエリ成長を後押ししていると説明した(会社説明)。地域別では米国が前年比+32%と全社を上回り、成長のけん引役が米国のAI・クラウド需要にあることを示している。

四半期

連結売上高

Google Cloud売上

営業利益率(GAAP)

設備投資(CapEx)

25Q2

964.28億ドル

136.24億ドル

32.4%

224.46億ドル

25Q3

1,023.46億ドル

約152億ドル

30.5%※

239.53億ドル

25Q4

1,138.28億ドル

約177億ドル

31.6%

278.51億ドル

26Q1

1,098.96億ドル

約200億ドル

36.1%

356.74億ドル

26Q2

1,197.96億ドル

247.68億ドル

34.0%

449.24億ドル

引用:Alphabet 各四半期決算プレスリリース(8-K/Exhibit 99.1)。Cloud売上の25Q3〜26Q1は会社公表の概数(約)。Alphabetは売上高の四半期ガイダンスを提供していないため、次Qの売上見通し欄は設けていない。※25Q3の営業利益率30.5%は欧州委員会(EC)制裁金35億ドルを含むベースで、これを除くと33.9%(会社説明)。

図1:Alphabet 連結売上高の四半期推移(引用:会社決算発表。Alphabetは売上高の四半期ガイダンスを提供していない)

セグメント別:Google ServicesとGoogle Cloud

Alphabetは売上区分としてGoogle Services(広告・サブスク・デバイス等)、Google Cloud、Other Bets(自動運転Waymo等)を開示している。Q2はServicesが+14.5%と堅調だった一方、Cloudが+81.8%と突出し、全社売上に占めるCloud比率は前年の14.1%から20.7%へ上昇した。広告の内訳では、Google Search & otherが+16.8%と最大の増収額を稼ぎ、YouTube広告は+12.9%、対照的にGoogle Network(外部サイト向け広告)は▲0.7%と唯一の減収だった。

セグメント/区分

25Q2

構成比

26Q2

構成比

前年比

Google Search & other

541.90億ドル

56.2%

632.71億ドル

52.8%

+16.8%

YouTube広告

97.96億ドル

10.2%

110.55億ドル

9.2%

+12.9%

Google Network

73.54億ドル

7.6%

73.03億ドル

6.1%

▲0.7%

Google広告 合計(上記3セグメント)

713.40億ドル

74.0%

816.29億ドル

68.1%

+14.4%

サブスク・プラットフォーム・デバイス

112.03億ドル

11.6%

129.11億ドル

10.8%

+15.2%

Google Services (上記3セグメント+サブスク・プラットフォーム・デバイス)

825.43億ドル

85.6%

945.40億ドル

78.9%

+14.5%

Google Cloud

136.24億ドル

14.1%

247.68億ドル

20.7%

+81.8%

Other Bets

3.73億ドル

0.4%

3.82億ドル

0.3%

+2.4%

ヘッジ損益

▲1.12億ドル

---

1.06億ドル

---

---

合計

964.28億ドル

100%

1,197.96億ドル

100%

+24.2%

引用:Alphabet Q2 2026 決算プレスリリース(Supplemental Information)。構成比(各区分÷連結売上高)と前年比は同資料の数値から筆者算出。ヘッジ損益は連結レベルで認識される調整項目で、構成比の分母には含めた。

図2:セグメント別売上構成の変化(引用:会社決算発表。Cloud比率が14.1%→20.7%へ上昇。「その他」にはOther Betsとヘッジ損益を含む)

2. Alphabet Q2の収益性とキャッシュフロー

GAAP粗利率(=(売上高−売上原価)÷売上高、筆者計算)は61.6%で前年同期の59.5%から+210bp、GAAP営業利益率は34.0%で前年の32.4%から+160bp改善した。改善の主因は、規模拡大に伴うGoogle Cloudの採算改善と広告事業の営業レバレッジとみられる(筆者分析。会社は全社利益率への寄与度の内訳を開示していない)。営業費用ではR&D費が前年比+32%(182.19億ドル)と伸び、AIモデル開発などの共有研究開発を主に含むAlphabet-level activities(各セグメントに配分しない全社共通費用)の損失が約57.9億ドルへ拡大した(会社は主に共有AI研究開発費と説明)。なお純利益率やGAAP EPSは、後述の株式評価益(非現金)によって大きく歪むため、収益性は粗利・営業段階で評価するのが妥当である(筆者の解釈)。

指標

25Q2

26Q1

26Q2

GAAP粗利率

59.5%

62.4%

61.6%

GAAP営業利益率

32.4%

36.1%

34.0%

Google Services営業利益率

40.1%

45.3%

41.8%

Google Cloud営業利益率

20.7%

32.9%

35.6%

非GAAP粗利率・営業利益率

Alphabetは非GAAPの利益率・EPSを定例開示していない

引用:Alphabet Q2 2026 決算プレスリリースおよびQ1 2026 決算プレスリリースほか各四半期決算。粗利率・セグメント営業利益率は開示数値(26Q1はGoogle Services営業利益405.89億ドル÷売上896.37億ドル)から筆者算出。

図3:粗利率・営業利益率の四半期トレンド(引用:会社決算発表。25Q3はEC制裁金の影響を含む)

EPS:GAAPの9.11ドルは「見かけ」、本業は2.85ドル

GAAP希薄化後EPSは9.11ドルで前年の2.31ドルから+294%と急増した。ただしこの数字は額面どおりに受け取れない。会社開示によれば、Q2のその他損益(純額)979.83億ドルの大半は保有株式の純評価益(実現・未実現の双方を含む)であり、税引後77.1億ドル・EPS換算で+6.26ドル/株を押し上げた(会社説明。8-Kで銘柄は特定されていないが、報道ではAnthropic・SpaceXなどの非上場株が主因として挙げられる)。この押し上げ分を機械的に除いた本業EPSは2.85ドル(筆者計算)で、市場予想(集計元により約2.89〜2.90ドル)を▲1.4〜1.7%下回った。株式評価益は非現金かつ市場変動で大きくぶれるため、四半期利益の質を評価するうえでは除いて見るのが実務的である(筆者の解釈)。

なお希薄化後株式数は前年の121.98億株から123.09億株へ+0.9%増えた。6月の株式・優先株発行や自社株買いの停止が増加要因になり得る(筆者分析)。この株式数増は計算上、EPSをわずかに押し下げる方向に働いた(筆者分析)。それでも本業EPSは前年同期の約2.22ドル(筆者概算)から約+28%であり、増益基調自体は続いている。

図4:希薄化後EPSの四半期推移(引用:会社決算発表。26Q2は株式評価益6.26ドルを含む=本業EPSは2.85ドル)

キャッシュフローと資本配分:設備投資急増でフリーCFが赤字転換

営業キャッシュフローは390.69億ドル(前年比+40.8%)と好調だった一方、設備投資が449.24億ドル(前年比+100%)へ倍増した結果、会社定義のフリーキャッシュフロー(=営業CF−設備投資)は▲58.6億ドルと四半期ベースで赤字に転じた(前年同期は+53.0億ドル)。過去12カ月のフリーCFはなお532.73億ドルのプラスだが、四半期赤字は今回の決算で最も市場の注目を集めた財務面のポイントである。運転資本では、在庫が24.4億ドルから99.9億ドルへ急増した。会社はCloudの製品売上がTPU(Alphabet独自のAI半導体、テンサー・プロセッシング・ユニット)システム中心と説明しており、AIインフラ関連の前倒し積み増しがうかがえる(在庫の内訳は貸借対照表からは特定できないため筆者分析)。

資本配分では、6月にクラス株と6.25%強制転換優先株の発行で純496億ドルを調達し、加えて社債で純203億ドルを調達、AIインフラ投資の原資を確保した。その一方で当四半期の自社株買いはゼロ(前年同期は132.38億ドル)と停止された。長期有利子負債は2025年末の465億ドルから982億ドルへほぼ倍増している。配当は普通株1株あたり0.22ドル(2026年7月宣言、年換算約0.88ドル。四半期配当は同年4月に0.21ドルから0.22ドルへ5%増配済み)を宣言した。積極調達・負債拡大・買い戻し停止という一連の動きは、AI設備投資を最優先する経営判断を映している(筆者の解釈)。

図5:営業CF・フリーCFの四半期推移(引用:会社決算発表。26Q2のフリーCFは▲58.6億ドル)

3. 成長ドライバーの深掘り:Google CloudとAIインフラ投資

今回の決算の核心は、Google Cloudの需要加速と、それを支えるAIインフラ投資の急拡大という「表裏一体」の関係にある。Cloud売上は247.68億ドル(+81.8%)で、伸び率は+34%(25Q3)→+48%(25Q4)→+63%(26Q1)→+82%(26Q2)と4四半期連続で加速した。会社はエンタープライズ向けAIインフラとAIソリューションの需要を主因に挙げ、Gemini Enterpriseをフォーチュン100の約90%が利用していると説明した(会社説明)。収益性も改善が続き、Cloud営業利益は88.14億ドル(前年の28.26億ドルから約3.1倍)、営業利益率は35.6%に達した。

需要の先行指標であるGoogle Cloudのバックログ(残存履行義務=RPO:契約済みで未計上の履行義務。将来的に売上計上される見込みだが、計上時期は契約内容やキャパシティに依存する)は5,140億ドルまで積み上がり、前四半期末の4,620億ドルから500億ドル超増加した。市場予想の約4,881億ドルも上回った(報道ベース、Visible Alpha/報道集計。取得時点で変動)。会社は「過半が今後24カ月で売上計上される見込み」と説明しており(会社説明)、中期の可視性を高める材料である。AI関連の運用指標も、Geminiが毎分220億APIトークンを処理し、Gemini Appの月間アクティブユーザーは9.5億人に達したと開示された(会社説明)。

投資家視点での論点は、(1) RPOの積み上がりは強いが、供給制約(会社は「supply-constrained」と表現)下で売上認識のペースがキャパシティ次第となること、(2) CFOのAnat Ashkenaziは、Q3に第三者データセンター容量を「つなぎ」として利用し、買収したWizの統合と併せてCloud利益率に「小幅な圧力」が生じ得ると述べたこと(会社説明)、(3) AI投資の回収(ROIC=投下資本利益率)が実際に伴うかは今後の検証課題であること、の3点である(筆者の解釈)。なおBloombergはGemini 3.5 Proの投入遅延を報じ、会社は同報道に反論したうえで、当該モデルを「テスト中」と説明した(いずれも報道ベース)。

図6:Google Cloud 売上高と前年比成長率(引用:会社決算発表。伸び率は4四半期連続で加速)

図7:設備投資(CapEx)の四半期推移(引用:会社決算発表。2026年通期見通しは1,950〜2,050億ドルへ上方修正)

4. Alphabetの次Q・通期ガイダンスと見通し

まず当期実績の位置づけを確認すると、売上高は市場予想を+2.4%、Cloudバックログ(RPO)は約+5.3%上回る一方、本業EPSは約▲1.4〜1.7%と小幅なミスだった(報道ベース)。Alphabetは売上高・EPSの四半期/通期ガイダンスを提供しないため、市場が注視する主要な通期定量ガイダンスは設備投資(CapEx)である。今回、2026年通期CapExは従来の1,800〜1,900億ドルから1,950〜2,050億ドルへ引き上げられた。中心値2,000億ドルは、市場予想の約1,860億ドル(Visible Alpha集計、報道ベース)を+7.5%、2025年実績の約915億ドルを+118%上回る規模である。会社は引き上げの背景を「需要増に応えるための容量供給の前倒し」と説明し、2027年もCapExを大幅に増やすと予告した(会社説明)。

項目(2026年通期)

会社ガイダンス

市場予想

2025年実績(約)

対市場予想・前年比

設備投資(CapEx)

1,950〜2,050億ドル(中心2,000億ドル)

約1,860億ドル

約915億ドル

対予想+7.5%/前年比 約+118%

従来のCapExガイダンス

1,800〜1,900億ドル(中心1,850億ドル)

---

---

中心値で+150億ドルの上方修正

売上高・EPSガイダンス

Alphabetは提供していない(非開示)

定性見通し

減価償却費・データセンター運営費(エネルギー等)のP&L圧迫が継続、2027年もCapEx大幅増、Q3のCloud利益率に小幅な圧力(いずれも会社説明)

引用:CNBCYahoo Finance(CapExガイダンスと市場予想、報道ベース)、Alphabet電話会議(定性見通し、会社説明)。市場予想は集計元・取得時点により異なる。前年比の分母(2025年実績約915億ドル)は四半期CapExの合計に基づく筆者概算。

図8:2026年通期CapExガイダンス vs 市場予想(引用:会社決算発表。市場予想約1,860億ドルはVisible Alpha集計・報道ベースで取得時点により変動。2025年実績約915億ドルは四半期CapEx合計の筆者概算)

図9:26Q2実績 vs 市場予想(引用:会社決算発表、市場予想は報道ベースで集計元・取得時点により変動。Google Cloud・本業EPSの基準値は表1・本文注記を参照)

5. Alphabet株の投資論点への影響

以下の論点整理と判定は、会社開示の事実に基づく筆者の分析である。

論点①:Google Cloud/AIの需要とマネタイズ

強化。 Cloud売上は4四半期連続で伸び率が加速し(+82%)、営業利益率も35.6%へ改善、RPOは5,140億ドルへ積み上がった。AI需要が「話題」から「計上される売上と契約残高」へ転化していることを示す。ただし供給制約下で計上ペースはキャパシティに左右される。

論点②:AI設備投資の重さとキャッシュ創出力

後退(当面の収益性・キャッシュ創出力という観点での判定)。 通期CapExは1,950〜2,050億ドルへ引き上げられ、フリーCFは四半期で赤字化した。2027年も大幅増が予告され、減価償却費の先行負担が今後数四半期の利益率を圧迫し得る(会社説明)。投資規律とリターンの検証が、当面の株価の主戦場になる(筆者の解釈)。

論点③:中核広告(Search・YouTube)のAIレジリエンス

維持。 Search & otherは+16.8%、YouTube広告は+12.9%と二桁成長を維持し、AI OverviewsなどのAI機能がクエリ成長に寄与しているとの説明である(会社説明)。生成AIによる検索代替の懸念に対し、当面は堅調さを保っている。

論点④:資本配分と希薄化リスク

新規(要注視)。 6月に株式・優先株で純496億ドル、社債で純203億ドルを調達し、自社株買いを停止、長期負債はほぼ倍増した。AI投資を最優先する姿勢は明確だが、株式数の増加と負債拡大は、これまでの潤沢なフリーCF・自社株買いという投資家の前提を変えつつある。

リスク要因

以下は将来起こり得る事象に関する筆者整理のリスクシナリオであり、発生を予測するものではない。

  • 年初来の株価上昇で期待値が高く、実績がコンセンサスを上回っても、投資規律やCapExの中身次第で株価が下落し得る点(今回が典型)。
  • AI投資の回収(ROIC)の不確実性と、減価償却費・データセンター運営費の先行負担による利益率圧迫。
  • フリーCFの四半期赤字化、負債拡大、希薄化による財務プロファイルの変化。
  • 独占禁止・規制リスク(過去にはEC制裁金、米国の検索・広告技術を巡る訴訟など)。
  • 供給制約・第三者データセンター依存やWiz統合によるCloud利益率への短期的な圧力(会社説明)。
  • Gemini等のモデル開発競争(投入遅延の報道もあり)と、OpenAI・Anthropic・Microsoft・Amazonとの競合激化。

6. Alphabet株のバリュエーションと株価反応

決算は7月22日の取引終了後に発表された。同日の通常取引でGOOGLは342.09ドル(前日比▲1.46%)で引けていたが、決算発表直後の時間外では一時2%超下落した(Yahoo Finance、東部時間7月22日午後5時時点、報道ベース)。

翌7月23日は寄り付きから軟調で、設備投資拡大とフリーCFの赤字化を嫌気して約7%下落した。日中高値でも324ドル台にとどまり、終値は前日比約▲7%の316〜319ドル前後で着地し、決算前から水準を大きく切り下げた(提供元・取得時点により差があり、Macrotrend系では終値318.54ドル/▲6.84%、別集計では315.88ドル/▲7.66%)。表面上の実績は強かっただけに、売られた理由はCapEx膨張と投資回収への懸念、すなわち「期待値・投資規律」の問題と読むのが自然である(筆者の解釈)。

市場データ(GOOGL、いずれも取得元・時点により変動)では、時価総額は7月22日終値342.09ドルベースで約4.16兆ドル(翌23日の下落で約3.9兆ドルへ低下)、52週レンジは187.82〜408.61ドル、過去1年の騰落率は報道ベースで約+82%とされる。配当利回りは年0.88ドルに対し、株価水準に応じて約0.26〜0.28%である。PER(株価収益率)については、報道ベースのTTM(過去12カ月)PERが当四半期の巨額の株式評価益(税引後77.1億ドル)でTTM利益を大きく歪めるため額面どおりの比較に適さず、同一時点・同一提供元での確定的な値を本稿では特定できなかったため、単一値としては記載しない(公開時に自社データ源の当日値を挿入されたい)。参考として、本業EPSを単純に年率換算した参考指標「ランレートPER」(アナリスト予想EPSに基づく通常のフォワードPERとは異なる、筆者計算の簡便値)を試算すると、本業EPSの年率換算(2.85ドル×4=約11.4ドル)を株価で割って約28〜29倍となる。広告事業は景気敏感、AI投資は資本集約的であり、循環局面では現在の水準を恒常視しない姿勢が求められる(筆者の解釈)。

引用:Yahoo FinanceCNBC市場データ。株価・時価総額・PER・利回りは取得時点の値であり、常に変動する。下落率・株価水準は取得時点・集計時点により異なる。

まとめ:Alphabet Q2決算のポイント

Q2 FY2026のAlphabetは、売上高・Google Cloud・RPO(バックログ)が市場予想を上回る「ビート」だった一方、本業EPSは小幅なミス、そして最大の焦点であるCapExは市場予想を大きく上回る上方修正となった。あえて言えば、売上と投資を同時に膨らませる「beat-and-spend(beat-and-raiseならぬ支出拡大)」の決算と要約できる(筆者の解釈)。この株価下落は業績要因ではなく、設備投資の膨張とフリーCFの赤字化という「投資規律への不安」が先行した結果と総括できる。2027年の一段の投資拡大予告も、この不安を強めた一因だろう(筆者の見解)。

次の焦点は、(1) 次回決算(2026年10月下旬が想定される)でCloudの高成長が持続するか、(2) 第三者容量・Wiz統合を経てCloud利益率がどう動くか、(3) CapExの2027年見通しとフリーCFの軌道、(4) 減価償却費の増加が全社利益率に与える影響、の4点である。個人的には、Cloud成長(+82%)を評価するか、CapEx膨張(1,950〜2,050億ドル)の重さを懸念するかが評価の分かれ目であり、もう1〜2四半期の決算を見て判断したいところである(筆者の見解)。

出典

免責

本記事は2026年7月23日(米国市場終了時点)までに公開された情報に基づく客観的な整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。Alphabetの会計年度は12月31日終了(暦年)であり、本記事の対象Q2 FY2026は2026年6月30日終了四半期です。金額は米ドル建て、会計基準はUS GAAP(非GAAP指標はフリーキャッシュフローと恒常為替ベース売上のみ開示、非GAAP EPSは非開示)を前提としています。本文では、会社IR・SEC提出資料の確定値、電話会議・決算説明での会社説明、コンセンサス・株価反応・アナリスト評価などの報道ベース情報、筆者自身の計算・解釈を区別して記載しました。株価・時価総額・市場予想・評価指標は取得時点から変動します。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。