「投資を始めたいけど、なんでアメリカの株なの?日本にもいい会社あるじゃん」
——そう思っている方、実はけっこう多いです。
でも考えてみてください。今日あなたが手にしているスマホ、それiPhoneじゃないですか?仕事で使っているパソコン、Windowsですよね?お昼に飲んだコーヒー、もしかしてスタバ?帰りにコンビニで買ったコーラ……全部アメリカの会社です。
しかも、これらの会社の株はたった1株から買えます。スタバなら約1万3,000円、コカ・コーラなら約1万円。ランチ数回分の金額で、世界的ブランドの「株主」になれる——それがアメリカ株投資の面白さです。
この記事では、初心者の方にもわかりやすく「なぜアメリカ株なのか?」を7つの視点でまとめました。
① 実はめちゃくちゃ身近な会社ばかり——しかも1株から買える
アメリカ株と聞くと「自分には縁のない海外の会社」というイメージがあるかもしれません。でも、ちょっと周りを見渡してみてください。
毎日使っているもの:
- Apple(iPhone、Mac、AirPods)
- Microsoft(Windows、Excel、Teams)
- Google / Alphabet(検索、YouTube、Gmail)
- Amazon(ネット通販、Prime Video)
街で見かけるもの:
- スターバックス(世界に約4万店舗)
- コカ・コーラ(200カ国以上で販売)
- マクドナルド(52年連続で配当を増やし続けている)
- NIKE(スポーツシューズの定番)
- コストコ(日本でも大人気の会員制倉庫型ストア)
エンタメ・SNS:
- Netflix(動画配信の王者)
- Disney(映画、テーマパーク、Disney+)
- Meta(Instagram、Facebook)
- Tesla(電気自動車の代名詞)
こうして見ると、「知らない外国の会社に投資する」というよりも、「毎日お世話になっている会社のオーナーになる」という感覚のほうが近いですよね。
1株いくらで買えるの?
日本株だと「100株単位」が基本なので、トヨタ1銘柄を買うだけでも数十万円が必要です。でもアメリカ株は1株から購入できます。
銘柄 | 1株あたりの価格(2026年2月時点) | 日本円換算(1ドル=153円) |
|---|---|---|
コカ・コーラ(KO) | 約$70 | 約10,700円 |
スターバックス(SBUX) | 約$84 | 約12,900円 |
NIKE(NKE) | 約$63 | 約9,600円 |
Apple(AAPL) | 約$265 | 約40,500円 |
NVIDIA(NVDA) | 約$143 | 約21,900円 |
コカ・コーラなら約1万円、NIKEなら約1万円以下。お年玉やボーナスの一部でも十分に手が届く金額です。
「いきなり何十万円も投資するのは怖い」——その気持ち、よくわかります。だからこそ、まずは自分がよく知っている会社の株を1株だけ買ってみる。それが一番ハードルの低い始め方です。
自分がよく知っている会社に投資できるというのは、実はとても大事なことです。事業内容がイメージしやすいので、決算ニュースを見ても「あ、iPhoneの売上が伸びたんだな」とすぐに理解できます。投資を続けるうえで、この「納得感」はかなり大きいです。
② 世界最大の株式市場——お金が集まるところに投資する
アメリカの株式市場は、時価総額ベースで世界の約半分を占めています。
2025年12月末時点の数字で見ると、世界全体の株式時価総額は約151兆ドル。そのうちアメリカは約72兆ドル(47.8%)で、日本の約7.7兆ドル(5.1%)と比べると約9倍の差があります。
「規模が大きいから何?」と思うかもしれませんが、市場が大きいということは、世界中から投資マネーが集まっているということ。お金が集まるところには優秀な企業が上場し、優秀な企業があるからさらにお金が集まる——この好循環がアメリカ市場の強さの源泉です。
日本株のトップであるトヨタでさえ、世界の時価総額ランキングでは46位前後。アメリカのトップ企業(NVIDIA、Apple、Microsoft)は一社で3〜4兆ドル規模ですから、スケールの違いがわかりますよね。
③ S&P500の実力——年平均約10%、10年で約3倍
「長期で持ったらどうなるの?」——ここが一番気になるところだと思います。
S&P500(アメリカを代表する大型株500社の株価指数)は、1957年の算出開始から**年平均約10〜10.5%**のリターンを記録しています。直近10年間(2015〜2025年)に限れば、年率約12.9%。つまり、10年で資産が約3.4倍になった計算です。
もちろん、毎年きれいに10%ずつ上がるわけではありません。
- 2018年:マイナス4%超
- 2008年(リーマンショック):約マイナス37%
- 2020年3月(コロナショック):一時30%以上の急落
こんな怖い年もあります。でも大事なのは、下がった後に必ず回復してきたということ。そして15年以上の長期で保有すると、過去にマイナスになったケースはほぼゼロです。
複利で資産はこう増える(年平均8%で計算した場合)
運用期間 | 100万円が… |
|---|---|
10年後 | 約216万円 |
20年後 | 約466万円 |
30年後 | 約1,006万円 |
コツコツ続けるだけで、時間が資産を育ててくれる。これがアメリカ株の長期投資の最大の魅力です。
④ 配当がスゴい——60年以上「毎年増配」する会社がゴロゴロある
アメリカ株のもうひとつの大きな魅力が、株主への配当還元の文化です。
日本企業でも配当を出す会社は増えてきましたが、アメリカには「何十年も毎年配当を増やし続けている企業」がたくさんあります。
「配当貴族」と「配当王」って?
- 配当貴族:25年以上連続で配当を増やしている企業(S&P500の中に約67社)
- 配当王:50年以上連続で増配している企業(約52〜56社)
つまり、リーマンショックもコロナショックも乗り越えて、一度も配当を減らさなかった会社が50社以上あるということです。日本ではちょっと考えられない数字ですよね。
身近な「配当王」たち
企業名 | 連続増配年数 | 1株の価格(概算) | 年間配当(1株) |
|---|---|---|---|
コカ・コーラ(KO) | 63年 | 約$70(約1万円) | 約$2.04 |
P&G(PG) | 60年以上 | 約$170(約2.6万円) | 約$4.03 |
ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ) | 63年 | 約$160(約2.4万円) | 約$5.08 |
マクドナルド(MCD) | 52年 | 約$310(約4.7万円) | 約$7.08 |
たとえばコカ・コーラを1株(約1万円)買うと、年間で約300円の配当がもらえます。「たった300円?」と思うかもしれませんが、これが毎年増えていくのがミソです。コカ・コーラの配当は過去16年間で年平均約5.9%ずつ増えているので、持ち続けるだけで受け取る金額がどんどん大きくなっていきます。
10株持っていれば年間約3,000円、100株なら約3万円。しかも何もしなくても毎年配当が増えていく——これが連続増配株の醍醐味です。
これだけ長く増配を続けられるのは、安定した収益基盤と「利益は株主に還元する」という明確な経営方針があるからです。
配当は「株価が下がっても受け取れるお金」なので、株価の上下に一喜一憂しなくていいという精神的な安定感もあります。特に投資初心者にとって、「持っているだけでお金が入ってくる」という体験は、投資を続けるモチベーションになります。
ちなみに、配当貴族指数に20年前に100ドルを投資していた場合、2025年8月時点で約567ドルに成長。しかも配当を受け取るだけで元本の100ドル以上が返ってきた計算になります。
⑤ AIという「一生に一度」の成長テーマの中心地
2025〜2026年の今、アメリカ株の最大の成長ドライバーは**AI(人工知能)**です。
ビッグテック4社(Alphabet、Amazon、Meta、Microsoft)が計画する2026年の設備投資額は、なんと合計で約6,500億ドル(約100兆円)。この数字は今世紀で前例のない規模で、そのほぼ全額がAI関連のデータセンターや半導体に向けられています。
各社のAI投資規模(2025年の計画)
企業 | 設備投資額 | 何に使う? |
|---|---|---|
Amazon | 約1,000億ドル | AWS(クラウド)のAIインフラ |
Microsoft | 約800億ドル | Azure+OpenAIとの連携 |
Alphabet(Google) | 約750億ドル | Gemini・検索AI・データセンター |
Meta | 約700〜720億ドル | AI研究+巨大データセンター建設 |
Amazonのジャシー CEOは「AIは一生に一度のチャンスかもしれない」と語っています。各社がこれほどの金額を賭けるのは、AIが既存のビジネスを根本から変える可能性があるからです。
IDCの予測では、AIが2030年までに世界経済に20兆ドル(約3,000兆円)のインパクトをもたらすとされています。そしてこの革命の中心にいるのが、NVIDIAの半導体とビッグテックのインフラ投資——つまりアメリカ企業なのです。
もちろんリスクもあります。これだけの巨額投資が本当にリターンを生むのかは、2026年が「答え合わせの年」と言われています。
でも、インターネット革命のときもスマホ革命のときも、「投資しすぎだ」と言われながら結局は大きな果実を生みました。
歴史は繰り返すのか——少なくともアメリカのテック企業たちは、そう賭けています。
⑥ 新しい産業が次々と生まれる「新陳代謝」の力
アメリカが他の市場と決定的に違うのは、常に次の成長産業を生み出し続けているという点です。
- 1990年代:インターネット革命(Google、Amazon)
- 2000年代:スマートフォン革命(Apple、iPhone)
- 2010年代:クラウド+SNS革命(AWS、Facebook、Netflix)
- 2020年代:生成AI革命(OpenAI、NVIDIA、Anthropic)
世界を変えるイノベーションは、繰り返しアメリカから生まれてきました。
S&P500は構成銘柄が固定ではなく、成長力を失った企業は除外され、新たな成長企業が入ってくる仕組みです。
1995年の世界時価総額ランキング上位には日本の金融機関がずらりと並んでいましたが、2025年現在はアメリカのテック企業がトップ10を独占しています。
この30年間の入れ替わりこそが、アメリカ市場の「自浄作用」であり、長期的に成長し続ける理由のひとつです。S&P500に投資するだけで、「その時代の勝ち組企業」に自動的に乗り換えられる——これは個人投資家にとって非常にありがたい仕組みです。
⑦ 日本から簡単にアクセスできる——1株数千円から始められる
「でもアメリカ株って、始めるのが大変なんでしょ?」
——いいえ、今はびっくりするくらいカンタンです。
インデックス投資なら月100円から
新NISAでは、S&P500に連動するインデックスファンド(eMAXIS Slim 米国株式など)が非課税で積立投資できます。月100円からOK。証券口座さえ開けば、明日からでも始められます。「銘柄選びとか難しそう…」という方は、まずここからで十分です。
個別株も1株からOK——日本株との違い
日本株は「100株単位」が基本なので、たとえばソニー(1株約3,700円)でも最低投資額は約37万円。初心者にはなかなかハードルが高いですよね。
一方、アメリカ株はすべて1株から購入できます。SBI証券や楽天証券では米国株の売買手数料も大幅に下がっていて、気軽に始められる環境が整っています。
「1株投資」のおすすめ活用法
最初の一歩として、こんなやり方はいかがでしょう?
やりたいこと | おすすめの1株 | 必要な金額(概算) |
|---|---|---|
まずは超有名企業の株主になりたい | Apple(AAPL) | 約4万円 |
1万円以下で始めたい | NIKE(NKE) | 約9,600円 |
配当をもらう体験をしたい | コカ・コーラ(KO) | 約1万円 |
AI成長に乗りたい | NVIDIA(NVDA) | 約2.2万円 |
毎日使うサービスの株主になりたい | スターバックス(SBUX) | 約1.3万円 |
※2026年2月時点の株価を基に概算(1ドル≒153円)
「自分がよく使う会社の株を1株買ってみる」——これが最初の一歩としては、一番わかりやすくて楽しいかもしれません。
1株でも配当はちゃんともらえますし、決算シーズンには「自分が株主の会社」のニュースが気になるようになります。それが投資の勉強になっていくんです。
もちろんリスクもある——知っておきたい4つの注意点
いいことばかり書いてきましたが、リスクもちゃんと理解しておきましょう。
① 為替リスク 米国株はドル建て資産です。円高になると、株価が上がっていても円換算ではマイナスになることがあります。逆に円安なら為替差益がプラスに。「ドル資産を持つこと自体が円安へのヘッジになる」という考え方もあります。
② 割高感 S&P500の予想PER(株価収益率)は22〜23倍と、歴史的に見て高い水準にあります。ただし、企業収益の成長が続く限りは、PERが高くても株高が続いてきたのも事実です。
③ 集中リスク マグニフィセント・セブン(Apple、Microsoft、NVIDIA、Alphabet、Amazon、Meta、Tesla)がS&P500の時価総額の約1/3を占めています。たった7社の業績が指数全体を大きく左右する構造には注意が必要です。
④ 政治リスク 関税政策や金融政策の変更、中間選挙(2026年11月)、FRB議長の人事(パウエル議長は2026年5月に任期満了)など、政治イベントが市場を揺らす場面は今後もあるでしょう。
まとめ:7つの理由をおさらい
# | 理由 | ひとこと |
|---|---|---|
① | 身近な会社ばかり | iPhone、スタバ、コーラ…全部アメリカ企業。しかも1株から買える |
② | 世界最大の市場 | 世界の時価総額の約半分を占める |
③ | 長期リターンの実績 | S&P500は年平均約10%、10年で3倍超 |
④ | 配当の文化がスゴい | 60年以上毎年増配する企業が50社以上 |
⑤ | AI革命の中心地 | ビッグテックが100兆円規模のAI投資を推進 |
⑥ | イノベーションの源泉 | 時代ごとに成長企業が入れ替わる新陳代謝 |
⑦ | 1株から始められる | NIKEなら約1万円、コカ・コーラなら約1万円で株主に |
もちろん、アメリカ株だけが正解というわけではありません。でも、長期で資産を育てたいなら、世界経済の成長エンジンであるアメリカ株をポートフォリオに組み込むのは、とても合理的な選択だと思います。
まずは「いつも飲んでるスタバの株、1株買ってみようかな」くらいの気持ちで、一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。1万円ちょっとで、世界的ブランドの株主になれる。これがアメリカ株の一番の入り口です。
※本記事は筆者個人の見解であり、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。