2025年10〜12月期の決算シーズンが到来し、Apple、Meta、Microsoft、Alphabet(Google)、Amazonの大手ビッグテック5社の業績が出揃った。
AI投資競争が一段と激化する中、各社の決算内容を「数字」と「ストーリー」の両面から詳しく振り返ります。


1. Apple(AAPL)|FY2026 Q1(2025年10-12月期)|決算発表日:2026年1月29日

主要業績

指標

前年同期(Q1 FY2025)

今期実績(Q1 FY2026)

市場予想

判定

売上高

$1,243億

$1,438億(+15.7%)

$1,382〜1,413億

✅ Beat

営業利益

$428億

$509億(+18.7%)

$474億

✅ Beat

純利益

$363億

$421億(+15.9%)

EPS(GAAP)

$2.40

$2.84(+18.3%)

$2.67〜2.73

✅ Beat

粗利率

46.9%

48.2%

47〜48%

✅ 上限超え

セグメント別売上

セグメント

売上高

前年同期比

iPhone

$853億

+23%(過去最高)

Services

$300億

+14%(過去最高)

Mac

$84億

-7%

iPad

$86億

+6%

Wearables/Home

-2%

決算の要約

Appleは「史上最高の四半期」を達成した。
売上高$1,438億、純利益$421億、EPS $2.84はすべて過去最高記録。
特にiPhoneの$853億は前年比+23%という驚異的な伸びで、iPhone 17シリーズの需要をTim Cook CEOは「ただただ圧倒的だった(simply staggering)」と表現した。

中華圏の売上が前年比+38%と急回復したことも大きなサプライズです。
中国都市部でのスマートフォン売上トップ3をiPhoneが独占し、インストールベースは過去最高を更新した。

見通し

来期(FY2026 Q2、1-3月期)は前年比+13〜16%の売上成長を見込み、これは市場予想の$1,048億を大幅に上回る$1,078〜1,107億に相当します。
iPhoneの供給制約が続く見通しだが、サービス部門は12月期と同水準の14%成長を予想。
粗利率ガイダンスは48〜49%で、メモリ価格上昇の影響が今後の注意点。

評価:◎ 文句なしの好決算

iPhone 17の需要爆発と中国市場の復調が最大の勝因。4年ぶり最大の増収率を記録し、AI時代におけるAppleの「ハードウェア×エコシステム」モデルの強さを改めて証明した。
サービス粗利率76.5%という高収益体質も健在。懸念点はメモリ価格の上昇と、AI戦略でのキャッチアップの遅れ。

引用:


2. Meta Platforms(META)|2025年Q4(2025年10-12月期)|決算発表日:2026年1月28日

主要業績

指標

前年同期(Q4 2024)

今期実績(Q4 2025)

市場予想

判定

売上高

$484億

$599億(+24%)

$584〜586億

✅ Beat

営業利益

$234億

$247億(+6%)

純利益

$208億

$228億(+9%)

EPS(GAAP)

$8.02

$8.88(+11%)

$8.19〜8.23

✅ Beat

営業利益率

48%

41%

▼ 低下

補足指標

指標

実績

DAP(全アプリ日次アクティブユーザー)

35.8億人(+7% YoY)

広告インプレッション

+18% YoY

広告単価

+6% YoY

FY2025 設備投資額

$722億(前年$373億、+94%)

FY2026 設備投資ガイダンス

$1,150〜1,350億

Reality Labs 営業損失(通期)

▲$192億

決算の要約

Metaは売上高・純利益ともに四半期過去最高を更新しました。
売上高$599億は前年比+24%で、広告事業が引き続き成長エンジンです。
AIによるレコメンデーション改善でInstagram Reelsの視聴時間は米国で+30%以上、Facebookの動画視聴時間も2桁成長を記録しました。

Mark Zuckerberg CEOは「2025年は強力な事業成績だった。
2026年は世界中の人々にパーソナル超知能を届ける」と宣言。AIコーディングツールによりエンジニア生産性が30%向上したことも明かしました。

ただし、営業利益率は48%→41%に低下。コスト増加率(+40%)が売上増加率(+24%)を上回っており、AI投資の負担が収益性を圧迫し始めています。

見通し

来期(2026年Q1)の売上ガイダンスは$535〜565億で、市場予想$514億を大幅に上回ります。
2026年通期の総費用は$1,620〜1,690億を見込み、設備投資は$1,150〜1,350億と2025年からほぼ倍増。
「この大幅な投資増にもかかわらず、2026年の営業利益は2025年を上回る」とCFO Susan Liは断言。
Reality Labsの損失は2026年がピークとなり、以降は段階的に縮小する見通しです。

評価:◎ 好決算だが、利益率低下と巨額投資に要注意

トップラインの成長力は5社中トップの+24%で文句なし。
ただし営業利益率の7ポイント低下は見過ごせない。
$1,350億のCapExが本当にリターンを生むのか、株主還元(自社株買い)の停止も含め、投資家にとっては「信じて待つ」フェーズに入っている。

引用:


3. Microsoft(MSFT)|FY2026 Q2(2025年10-12月期)|決算発表日:2026年1月28日

主要業績

指標

前年同期(Q2 FY2025)

今期実績(Q2 FY2026)

市場予想

判定

売上高

$696億

$813億(+17%)

$803億

✅ Beat

営業利益

$317億

$383億(+21%)

✅ Beat

純利益(Non-GAAP)

$251億

$309億(+23%)

純利益(GAAP)

$241億

$385億(+60%)

EPS(Non-GAAP)

$3.34

$4.14(+24%)

$3.97

✅ Beat

EPS(GAAP)

$3.23

$5.16(+60%)

粗利率

70.8%

68.6%

▼ 低下

※GAAP純利益・EPSにはOpenAI投資に関連する約$76億の利益が含まれる。

クラウド・AI関連指標

指標

実績

Microsoft Cloud売上

$515億(+26% YoY、初の$500億超え)

Azure成長率

+39%(定額ベース+38%)

商業RPO(受注残)

$6,250億(+110% YoY)

設備投資額(四半期)

$375億(前年同期$226億、+66%)

セグメント別売上

セグメント

売上高

前年同期比

Productivity & Business Processes

$341億

+16%

Intelligent Cloud

$329億

+29%

More Personal Computing

$143億

-3%

決算の要約

Microsoftは売上・利益ともに市場予想を上回る好決算を発表。
Microsoft Cloud売上が初めて$500億を突破し、Azure成長率は+39%を維持しました。
Satya Nadella CEOは「AIの普及はまだ初期段階だが、すでにMicrosoftは最大級のフランチャイズに匹敵するAIビジネスを構築した」と自信を見せた。
商業RPOが$6,250億と前年比2倍以上に膨らんだことは、長期的な収益の可視性が極めて高いことを示している(うち約45%はOpenAI関連)。

見通し

来期(FY2026 Q3)の売上ガイダンスは$806〜818億(中央値$812億)で、市場予想$812億とほぼ一致。
Azureは定額ベースで37〜38%成長を見込むが、需要が供給を大幅に上回る「キャパシティ制約」が少なくとも会計年度末まで続く見通し。

評価:○ 業績は好調だが、株価は-10%の逆反応

数字だけ見れば好決算ですが。
しかし発表後に株価は約10%下落した。
原因は3つ:
①Azure成長率39%がコンセンサス39.4%を0.4pt下回ったこと
②四半期CapEx $375億(+66% YoY)という巨額投資
③粗利率の220bp低下。

しかしより本質的な問題は、「Azureの成長=OpenAI依存」というナラティブが市場に浸透し始めたことだ。
RPO商業向けの受注残)の45%がOpenAI関連、Copilot有料転換率3.3%、AI収益の内訳非開示
これらが重なり、「MicrosoftのAI戦略は本当に自律的に成長できるのか」という疑問が投資家の間で広がっている。
短期的にはAI CapExのROI可視化、中長期的にはOpenAI以外のAzure顧客基盤の拡大とCopilotの本格的な収益貢献が、株価回復の鍵となる。

AI投資のROIが可視化されるまで、株価は重い展開が続く可能性がある。

引用:


4. Alphabet / Google(GOOGL)|2025年Q4(2025年10-12月期)|決算発表日:2026年2月4日

主要業績

指標

前年同期(Q4 2024)

今期実績(Q4 2025)

市場予想

判定

売上高

$965億

$1,138億(+18%)

$1,113〜1,114億

✅ Beat

営業利益

$310億

$359億(+16%)

✅ Beat

純利益

$265億

$345億(+30%)

EPS(GAAP)

$2.15

$2.82(+31%)

$2.63〜2.64

✅ Beat

営業利益率

32.1%

31.6%

▼ 微低下

セグメント別売上

セグメント

売上高

前年同期比

営業利益

Google Services

$959億

+14%

$401億(利益率41.9%)

├ Google Search

$631億

+17%

├ YouTube広告

$114億

+9%

├ Google Network

$78億

-2%

Google Cloud

$177億

+48%

$53億(利益率30.1%)

Other Bets

$3.7億

-8%

▲$36億

補足指標

指標

実績

年間売上高

$4,028億(初の$4,000億超え)

Q4 設備投資額

$279億(前年同期のほぼ2倍)

FY2026 設備投資ガイダンス

$1,750〜1,850億

Geminiアプリ MAU

7.5億人

YouTube年間売上(広告+サブスク)

$600億超

Google Cloud受注残

$2,400億(前四半期比+55%)

決算の要約

Alphabetは年間売上$4,000億を初めて突破し、Q4も売上・利益ともに市場予想を大幅に上回りました。
最大のハイライトはGoogle Cloudです。
売上$177億(前年比+48%)、営業利益$53億(前年の$21億から2.5倍以上)、営業利益率は30%を突破。
年間ランレートは$700億を超え、クラウドがAlphabetの「本業」の一つに成長したことを印象づけました。
Gemini 3のローンチが牽引役となり、エンタープライズAIの需要が爆発的に伸びている。

検索事業も健在で、Google Search売上$631億(+17%)は「AIが検索を脅かす」という懸念を払拭する数字。
AI OverviewsやAI Modeの展開で検索利用は過去最高を記録しました。

見通し

2026年の設備投資ガイダンス$1,750〜1,850億は、アナリスト予想の$1,150〜1,200億を大幅に超え、市場に衝撃を与えた。
Anat Ashkenazi CFOは「Google DeepMindのAIコンピュート能力拡大と、クラウド顧客の旺盛な需要に対応するため」と説明。
好決算にもかかわらず、発表直後は株価が一時下落するなど市場の反応は割れました。

評価:◎ Cloud+48%は衝撃的、ただし$1,850億CapExの消化が課題

Google Cloud +48%の成長率は5社のクラウド事業で最速。
過去12ヶ月で株価が60%以上上昇した最大の理由がここにある。検索のAI統合も順調で、ビジネスモデルの転換に最も成功しているビッグテックと言える。
ただし、$1,850億のCapExは「小国の国家予算に匹敵する」規模であり、投資対効果の証明は注視していく必要がありそうです。


引用:


5. Amazon(AMZN)|2025年Q4(2025年10-12月期)|決算発表日:2026年2月5日

主要業績

指標

前年同期(Q4 2024)

今期実績(Q4 2025)

市場予想

判定

売上高

$1,878億

$2,134億(+14%)

$2,114〜2,115億

✅ Beat

営業利益

$212億

$250億(+18%)

純利益

$200億

$212億(+6%)

EPS(GAAP)

$1.86

$1.95(+5%)

$1.96〜1.97

❌ Miss

営業利益率

11.3%

11.7%

△ 微改善

※Q4には特別費用(イタリア税務問題$11億、リストラ費用$7.3億、EU罰金$8.4億)が含まれる。

セグメント別売上

セグメント

売上高

前年同期比

営業利益

North America

$1,271億

+10%

$85億

International

$507億

+17%

$15億

AWS

$356億

+24%

$121億

補足指標

指標

実績

広告サービス売上

$213億(+23%)

サブスクリプション売上

$131億(+14%)

FY2025 営業CF

$1,395億(+20% YoY)

FY2025 FCF

$112億(前年$382億から大幅減)

FY2026 設備投資ガイダンス

約$2,000億

決算の要約

Amazonは売上高$2,134億と市場予想を上回ったが、EPS $1.95が予想$1.97をわずかに下回り、5社で唯一のEPSミスとなった。

AWS売上は+24%と13四半期ぶりの最速成長を達成。Andy Jassy CEOは「AWS、広告、店舗ビジネスのすべてが好調に成長しており、自社チップ事業は前年比3桁成長」と強調しました。
広告事業の$213億(+23%)も引き続き力強い。

一方で、FCF(フリーキャッシュフロー)は$382億→$112億と大幅に縮小しており、これは設備投資が前年比$507億増加したことが主因。
16,000人の追加レイオフやAmazon Fresh/Go店舗の閉鎖など、コスト最適化の動きも目立ます。

見通し

来期(2026年Q1)の売上ガイダンスは$1,735〜1,785億(前年比+11〜15%)、営業利益ガイダンスは$165〜215億。
営業利益ガイダンスには「Amazon Leo」(AI関連サービス)のコスト増約$10億やクイックコマースへの投資が含まれる。

最大のインパクトは2026年の設備投資として約$2,000億を表明したことです。
Jassy CEOは「AI、チップ、ロボティクス、低軌道衛星など画期的な機会」への投資と説明。
2025年の$1,250億から+60%の増加で、ビッグテック最大規模のCapEx計画となる。

評価:△ AWS復調は好材料だが、EPSミスと$2,000億CapExが重荷

AWSの成長加速は評価できるが、EPSを僅差でミスしたことと、$2,000億というCapExガイダンスが投資家心理を冷やしました。
過去12ヶ月の株価は-1.8%とMagnificent Sevenの中で最も低調。
FCFの急減も示す通り、「成長のために利益を犠牲にしている」段階にある。

引用:


全体比較:5社横断サマリー

業績比較(2025年10-12月期)

企業

売上高

売上成長率

営業利益

純利益

EPS

判定

Apple

$1,438億

+15.7%

$509億

$421億

$2.84

Meta

$599億

+24.0%

$247億

$228億

$8.88

Microsoft

$813億

+17.0%

$383億

$309億*

$4.14*

Alphabet

$1,138億

+18.0%

$359億

$345億

$2.82

Amazon

$2,134億

+13.6%

$250億

$212億

$1.95

*Microsoft:Non-GAAP基準

設備投資比較

企業

FY2025 CapEx

FY2026 CapExガイダンス

増加率

Alphabet

約$580億

$1,750〜1,850億

約3倍

Amazon

約$1,250億

約$2,000億

+60%

Meta

$722億

$1,150〜1,350億

約2倍

Microsoft

約$900億/年ペース

$1,500億/年ペース

+66%

Apple

ハイブリッドモデル

非開示

クラウド事業成長率比較

クラウドサービス

Q4成長率

Google Cloud

+48%

Azure

+39%

AWS

+24%


総括:3つの投資テーマ

テーマ①:AI CapEx戦争は「第二幕」へ

上位4社(Apple除く)の2026年CapEx合計は推定$6,000〜7,000億に達する。
この規模感は2025年の約2倍であり、NVIDIA、AMD、TSMCなど半導体サプライチェーン全体にとっては強力な追い風だ。
一方、この巨額投資がいつリターンを生むかという「ROIの問い」が、2026年の株式市場を左右する最大のテーマとなる。

テーマ②:「売上は好調、利益率は圧迫」の二面性

5社すべてが売上で市場予想を上回ったが、Microsoft(粗利率-220bp)やMeta(営業利益率-7pt)のように、AI投資が利益率を圧迫するケースが目立つ。
「成長と収益性の両立」ができているのは、現時点ではAppleとAlphabetに限られる。

テーマ③:クラウド覇権争いの構図変化

Google Cloudの+48%成長は、Azure(+39%)やAWS(+24%)を大きく引き離した。
Gemini 3の投入とエンタープライズAIの爆発的需要がAlphabetのクラウド事業を一変させており、過去12ヶ月でGoogle株が60%上昇した最大の理由がここにある。
AWSも13四半期ぶり最速成長で復調傾向だが、Azureはわずかな減速でも厳しい評価を受ける段階に入っている。


本記事は2026年2月6日時点の公開情報に基づいて作成されています。投資判断はご自身の責任で行ってください。