会社概要

Micron Technology(MU)は、PC・スマホ・データセンターなどに搭載されるメモリ半導体(DRAM / NAND)を手がける米国メーカーです。
1978年創業、本社はアイダホ州ボイシ。米国で“唯一の大手メモリ専業”という立ち位置にあり、Samsung電子・SK hynix(韓国勢)に次ぐ世界上位プレイヤーとして知られます。

メモリ産業の特徴は、需給と価格で業績が大きく振れる「市況産業」であることです。
好況期は高い稼ぐ力を発揮する一方、不況期は赤字まで沈むことも珍しくありません。
Micronもこの波を典型的に受ける企業で、投資判断では「成長テーマ」と「サイクル耐性」をセットで見る必要があります。

ここ数年の最大の見どころは、生成AIの普及に伴うデータセンター需要の急拡大です。
AIサーバーは高速・大容量メモリを大量に搭載するため、単価(ASP)と利益率が上がりやすい領域であり、Micronにとって強い追い風になっています。

中でも注目はHBM(High Bandwidth Memory)です。HBMはAI GPU/アクセラレータ向けに不可欠な高付加価値メモリで、MicronはHBM3Eの供給拡大や、次世代HBM4の量産計画を掲げています。
会社側は2025年〜2026年にかけてデータセンター向け成長を強く打ち出しており、足元の四半期でも勢いが続いていることが決算面から確認できます。

一方で、メモリはコモディティ色が濃く、競合各社の投資スタンスや供給調整で環境が一変します。
AI需要が強くても、供給が増えすぎれば価格が崩れ、利益が急低下するリスクは常に残ります。
よって「AIで構造的に良くなった部分」と「従来からのサイクル要因」を分けて評価したい銘柄です。

セグメント情報

Micronは「製品別」ではなく、需要先別の事業区分で状況を開示しています。主な区分は次の4つです。

  • Cloud Memory Business Unit:クラウド/データセンター向け(AI用途も含む)
  • Core Data Center Business Unit:よりコアなデータセンター領域
  • Mobile and Client Business Unit:スマホ・PCなどクライアント向け
  • Automotive and Embedded Business Unit:車載・組み込み向け

このうち、データセンター関連(Cloud+Core)が全体の中でも大きな比率を占めており、足元の業績や見通しを左右しやすいポイントになっています。

業績推移

(単位:百万ドル、EPS/配当は1株あたりドル。年度はMicronの会計年度=8月期)
出典:Micron Investor Relations 決算リリース(FY2023 / FY2024 / FY2025)

年度

売上高

営業利益

純利益

希薄化EPS

配当(宣言ベース)

FY2023

15,540

-5,745

-5,833

-5.34

0.115/四半期(年0.46)

FY2024

25,111

1,304

778

0.70

0.115/四半期(年0.46)

FY2025

37,378

9,770

8,539

7.59

0.115/四半期(年0.46)

Micronの業績は、メモリ価格と在庫循環の影響が非常に大きく、FY2023〜FY2025は典型的なボトム→回復→急拡大のサイクルでした。
配当は四半期0.115ドルが継続しており、FY2026/Q1でも同水準の配当決議が確認されています。もっとも利回りは低く、Micronは基本的に「配当より投資(設備・R&D)を優先」するタイプです。

株価と指標

株価(終値):362.75 USD(2026-01-016 米国市場終値)
予想PER(Forward P/E):11.45倍
実績PER(Trailing P/E / TTM):34.48倍
PBR(Price/Book, mrq):6.94倍
予想配当利回り(Forward Dividend & Yield):0.46 USD(約0.13〜0.14%)

引用元:Micron Technology, Inc. (MU) Stock Price, News, Quote & History - Yahoo Finance

今後の注目点(カタリスト)とリスク

Micronの成長を左右する最大のカタリストは、生成AIの普及に伴うデータセンター需要の拡大です。
AIサーバーは従来のサーバーと比較して桁違いのメモリ容量と帯域幅を必要とするため、DRAM単価と利益率の両面でMicronに恩恵をもたらしています。
特にHBM(High Bandwidth Memory)領域では、現行のHBM3Eの供給拡大に加え、次世代HBM4の量産計画が順調に進めば、高付加価値製品の比率が高まり、収益構造の質的改善が期待できます。

また、DRAM業界は長年の淘汰を経てSamsung、SK hynix、Micronの3社による寡占構造が確立しました。
各社が需給バランスを意識した慎重な投資姿勢を維持すれば、過去のような激しい価格下落を回避でき、業界全体として健全な利益水準が続く「スーパーサイクル」的な展開も視野に入ります。

一方で、メモリ産業特有のリスクは依然として存在します。
最も警戒すべきは供給過剰による価格崩壊です。AI需要がいかに強くても、競合他社が積極投資に転じれば市場環境は一変し得ます。
SamsungやSK hynixの設備投資判断次第では、価格競争が再燃する可能性は常に念頭に置く必要があります。

加えて、Micronは技術競争力を維持するために巨額の設備投資とR&D支出を継続しており、キャッシュフローの変動幅が大きい点も留意が必要です。さらに、米中間の技術覇権争いが激化する中、中国市場での販売規制や地政学的リスクが業績に影響を及ぼす可能性も排除できません。

まとめ

Micronは「AIサーバーが高性能メモリを大量に必要とする」構造変化のど真ん中にあり、HBMを軸にデータセンターで攻められるかが成長の鍵です。
業績はFY2023の底からFY2025で急回復し、いま市場は“高収益の持続”を強く織り込んでいます。投資観点では、AIの追い風だけでなく、メモリ特有のサイクル(供給増→価格崩れ)の兆候を同時に監視することが重要になります。