2026年1〜3月期の決算シーズンが到来し、Apple、Meta、Microsoft、Alphabet(Google)、Amazonの大手ビッグテック5社の業績が出揃った。 前四半期(2025年10-12月期)に提示された巨額CapEx計画への懸念が広がる中、各社は「投資はリターンを生み始めている」というメッセージを数字で示しに来た形となった。各社の決算内容を「数字」と「ストーリー」の両面から詳しく振り返ります。


1. Apple(AAPL)|FY2026 Q2(2026年1-3月期)|決算発表日:2026年4月30日

主要業績

指標

前年同期(Q2 2025)

今期実績(Q2 2026)

市場予想

判定

売上高

$954億

$1,112億(+17%)

$1,087〜1,097億

✅ Beat

営業利益

$296億

$359億(+21%)

純利益

$248億

$296億(+19%)

EPS(GAAP)

$1.65

$2.01(+22%)

$1.93〜1.94

✅ Beat

粗利率

47.1%

49.3%

✅ 上振れ

セグメント別売上

セグメント

売上高

前年同期比

iPhone

$570億

+22%(3月期過去最高)

Services

$310億

+16%(過去最高)

Mac

$84億

+6%

iPad

$69億

+8%

決算の要約

Appleは「3月期過去最高」を更新した。売上高$1,112億・EPS $2.01はいずれも3月期の過去最高記録で、すべての地域セグメントで二桁成長を達成した。特にiPhoneは$570億(+22%)と再び牽引役となり、Tim Cook CEOは決算コールで「iPhone 17シリーズへの需要は驚異的(extraordinary demand)」と表現し、「iPhone 17ファミリーは当社史上もっとも人気のあるラインアップ」とも述べた。

iPhoneについては需要超過による供給制約が依然として続いており、A19およびA19 ProチップをTSMCの3nm(N3P)プロセスで製造していることが直接の制約要因と説明された。同プロセスはAIアクセラレータと共有されており、AI需要の急拡大により Appleでも十分な製造キャパシティを確保しきれない状況になっている。 サービス事業は$310億(+16%)と過去最高を更新。Mac(+6%)は新製品MacBook Neoが想定を大幅に上回る反響を呼び、Cookは「顧客の反応は文字通り規格外(off the charts)だった」と発言。Mac mini・Mac Studio・MacBook Neoの3製品で供給制約が発生しており、Q3(6月期)はMac側の制約が中心になる見通しが示された。

Kansas City Public SchoolsがWindowsノート・ChromebookからMacBook Neoへ全面移行するなど、教育分野での新規顧客獲得も進んでいる。iPadは+8%と堅調に成長した。 粗利率は49.3%と前年同期比+220bp、ガイダンスレンジ上限を超える水準となった。四半期営業キャッシュフローは$280億超と3月期過去最高を記録。

取締役会は$1,000億の自社株買い枠の追加承認と配当4%引き上げ($0.27/株)を決定した。 なお、Cookは2026年9月1日付けでJohn TernusがCEOに就任することにも触れ、Ternus自身も決算コールに初登壇。後継者への移行プロセスが本格化していることが確認された。

見通し

来期(FY2026 Q3、4-6月期)について、Appleは売上高が前年比+14〜17%成長すると見込んでいる。アナリスト予想(LSEG集計)が約+9.5%($103億)にとどまっていたことを踏まえると、ガイダンスは予想を大きく上回る強気水準となった。 注目すべきはCookが繰り返し言及したメモリコスト上昇の影響で、12月期は「軽微(minimal)」、3月期は「やや影響あり」、6月期は「significantly higher(大幅な上昇)」を見込み、6月期以降はさらに「increasing impact」が続くとした。これが粗利率に下押し圧力をかける見通し。 供給制約の主軸は、Q2のiPhone中心から、Q3はMac(Mac mini・Mac Studio・MacBook Neo)中心へとシフトする見込み。 関税については、IEEPA関税率の引き下げと第122条による世界関税率の低下により、Q1からQ2にかけて影響が緩和。ただし不確実性は依然として残る。

評価:◎ 3月期過去最高更新、ただしメモリ価格上昇が次の試練

iPhone 17の需要は供給を上回る水準で継続し、新製品MacBook Neoが想定外のヒットでMacの新規顧客を取り込んだ。サービス事業も過去最高を更新し、全方位での好決算となった。Q3ガイダンス+14〜17%は市場コンセンサスを大幅に上回る強気水準で、需要の強さを示している。 $1,000億の自社株買い枠追加と配当増は、AIキャッチアップへの投資余力を保ちつつ株主還元を継続する姿勢を示すもの。ただし、メモリ価格上昇という外部要因が今後数四半期の収益性に影響を及ぼす可能性が高く、HBM/DRAM需給の動向は引き続き注視が必要。AI戦略でのキャッチアップが遅れている点も、競合と比べた場合の構造的な弱点として残る。

引用:

プレスリリース(Apple Newsroom / 公式)
https://www.apple.com/newsroom/2026/04/apple-reports-second-quarter-results/

決算カンファレンスコール(公式:音声/配信ページ)
https://www.apple.com/investor/earnings-call/

SEC提出書類(Form 8-K:EDGAR HTML版) https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/0000320193/000032019326000005/a8-kex991q1202612272025.htm


2.Meta Platforms(META)|2026年Q1(2026年1-3月期)|決算発表日:2026年4月29日

主要業績

指標

前年同期(Q1 2025)

今期実績(Q1 2026)

市場予想

判定

売上高

$423億

$563億(+33%)

$554〜555億

✅ Beat

総費用

$248億

$334億(+35%)

営業利益

$176億

$229億(+30%)

営業利益率

41%

41%

〜41%

─ 横ばい

純利益(GAAP)

$166億

$268億(+61%)

EPS(GAAP)

$6.43

$10.44(+62%)

$6.65〜6.79

✅ Beat

EPS(税控除除く調整後)

$7.31

✅ Beat

※GAAP純利益・EPSには$80億の一時的税控除(tax benefit)が含まれる。

補足指標

指標 実績 DAP(全アプリ日次アクティブユーザー) 35.6億人(+4% YoY、QoQでは微減) 広告インプレッション +19% YoY 広告単価 +12% YoY Family of Apps売上 $559億 広告売上 $550億(前年$414億) FY2026 設備投資ガイダンス(修正) $1,250〜1,450億(前回$1,150〜1,350億から再上方修正)

決算の要約

Metaは売上高$563億・前年比+33%という驚異的なトップライン成長を達成した。広告単価+12%・インプレッション+19%という二桁の量・価格両面の成長は、AIによるレコメンデーション改善とReelsの収益化加速が背景にある。Q1のランキング改善でInstagramのReels滞在時間が+10%、Facebookでは動画視聴時間が4年ぶりの大幅成長で+8%超を記録した。

Mark Zuckerberg CEOは「Meta Superintelligence Labsから最初のモデルをリリースした節目の四半期」と述べ、AI人材獲得とインフラ投資が本格的な成果を出しつつあることを強調。「個人向け超知能を数十億人に届ける軌道に乗っている」と宣言した。 また、Broadcomと共同開発する1GW超の自社カスタムシリコン(MTIA)の大規模展開にも言及があり、推論ワークロードの内製化が進んでいることが明かされた。

懸念材料はDAPの伸び鈍化。35.6億人は前年比+4%にとどまり、前四半期(35.8億人)から微減した。Metaは主因として、イランでのインターネット障害とロシアでのWhatsAppアクセス制限を挙げている。

見通し

来期(2026年Q2)の売上ガイダンスは$580〜610億(中央値+25%)で、市場予想($595億)とほぼ同水準。 注目はCapExガイダンスで、FY2026を$1,250〜1,450億に再上方修正(前回ガイダンス$1,150〜1,350億から+$100億)。Q1単独のCapExはファイナンスリース元本返済を含めて約$198億に達し、前年同期から大幅な増加で、AIインフラ投資のペースが想定以上に加速していることを示す。

評価:◎ +33%成長は5社中最速、ただしCapExの再上方修正は警戒材料

トップライン成長率+33%は5社中で再びトップ。AIによる広告事業のリパフォーマンス改善が明確な数字となって現れており、「投資が早期にリターンを生み始めている」典型例と言える。 ただし、CapExガイダンスの再上方修正は市場の警戒感を強めた。決算発表後、株価はアフターアワーズで下落しており、「いつまでこのCapEx拡大が続くのか」という不安が払拭されていない。営業利益率41%の維持は健闘だが、四半期コスト+35%増は売上成長率+33%を上回り続けており、2027年以降の利益率トレンドが次の焦点となる。

引用:

プレスリリース(Meta Investor Relations / 公式)
https://investor.atmeta.com/investor-news/press-release-details/2026/Meta-Reports-First-Quarter-2026-Results/default.aspx

SEC提出書類(決算リリース相当:8-K添付のEX-99.1 / EDGAR HTML版) https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/0001326801/000162828026028364/meta-03312026xexhibit991.htm


3. Microsoft(MSFT)|FY2026 Q3(2026年1-3月期)|決算発表日:2026年4月29日

主要業績

指標

前年同期(Q3 FY2025)

今期実績(Q3 FY2026)

市場予想

判定

売上高

$701億

$829億(+18%)

$806〜818億

✅ Beat

営業利益

$320億

$384億(+20%)

✅ Beat

純利益(GAAP)

$258億

$318億(+23%)

EPS(GAAP)

$3.46

$4.27(+23%)

$4.04〜4.07

✅ Beat

クラウド・AI関連指標

指標

実績

Microsoft Cloud売上

$545億(+29% YoY)

Azure成長率

+40%(為替一定ベース+39%)

AI事業の年換算ランレート

$370億(+123% YoY)

商業RPO(受注残)

$6,270億(+99% YoY)

設備投資額(四半期)

$319億(ファイナンスリース込み、前年同期比+49%)

暦年2026年 CapEx見通し

約$1,900億(うち約$250億はメモリ等部材価格上昇の影響)

セグメント別売上

セグメント

売上高

前年同期比

Productivity & Business Processes

$350億

+17%

Intelligent Cloud

$347億

+30%

More Personal Computing

$132億

-1%

決算の要約

Microsoftは Azureが前年比+40%(為替一定ベースでは+39%)と、市場のコンセンサス(+37〜38%)を大きく上回る成長を維持した。為替一定ベースで前四半期(+39%)から+39%と高止まりしており、会社側は「四半期の早い段階で追加データセンターキャパシティを投入できたことが、AI・非AI双方の消費拡大につながった」と説明している。GPU供給制約が緩和されつつある中で、データセンター稼働拡大が需要に追いついてきたことを示すデータと言える。

最大のサプライズはAI事業の年換算ランレート$370億・前年同期比+123%成長の開示。Satya Nadella CEOは「すでにMicrosoftは、最大級のフランチャイズに匹敵するAIビジネスを構築した」と前回の主張を実数値で裏付けた形となった。商業RPOは$6,270億と引き続き高水準を維持し、長期収益の可視性が極めて高いことが確認された。

決算発表の48時間前(4月27日)に発表されたOpenAIとの提携条件変更も重要なポイント。MicrosoftのOpenAI IPライセンスは排他的から非独占に変更され、OpenAIは他クラウド上でも製品提供が可能になった。一方、MicrosoftはOpenAIの主要クラウドパートナーであり続け、OpenAIからMicrosoftへの支払いは2030年まで継続する。この契約変更は、前回決算で問題視された「Azureの成長=OpenAI依存」というナラティブを整理する材料になる一方、Microsoftの独占的優位性は相対的に薄まる可能性があり、評価は今後のAzure全体の成長持続性で答え合わせされていく構図となる。

見通し

来期(FY2026 Q4)の売上ガイダンスは$867〜878億(中央値$872億)で、市場予想$875億とほぼ同水準(やや下回る程度)。Azureは為替一定ベースで+39〜40%成長を見込むとしており、減速懸念を払拭する強気のガイダンスを提示。 ただしAmy Hood CFOは「暦年2026年(calendar year 2026)のCapExを約$1,900億と見込む」と説明。これは市場想定の$1,550〜1,600億前後を大きく上回る水準で、会社側はこのうち約$250億がメモリなど部材価格上昇の影響と説明している。

評価:○ Azure +40%維持とAI $370億の達成は称賛に値するが、$1,900億CapExが重し

数字だけ見れば前回より明らかに良い決算だ。Azure +40%維持、AI事業ランレート$370億・前年同期比+123%、RPO $6,270億維持と、AIのマネタイズが加速している証拠が揃った。 それにもかかわらず、決算発表後にMicrosoft株は下落した。背景には、暦年2026年のCapEx見通しが約$1,900億に達し、AI投資の回収時期に対する市場の警戒感が強まったこと、決算翌日にも続落して合計で-3〜5%程度の調整となったことがある。「投資が回収できる時期はいつなのか」という根本的な問いに、市場は依然として答えを求めている状態が続いている。 中長期的には、4月27日に発表されたOpenAIとの提携条件変更が、「OpenAI依存抜きでもAzureが自律的に成長できるか」を可視化する転機になり得るかが鍵となる。

引用:

プレスリリース(Microsoft Investor Relations / 公式)
https://www.microsoft.com/en-us/investor/earnings/fy-2026-q3/press-release-webcast

SEC提出書類(決算リリース相当:8-K添付のEX-99.1 / EDGAR HTML版) https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/0000789019/000119312526191457/msft-ex99_1.htm


4. Alphabet / Google(GOOGL)|2026年Q1(2026年1-3月期)|決算発表日:2026年4月29日

主要業績

指標

前年同期(Q1 2025)

今期実績(Q1 2026)

市場予想

判定

売上高

$902億

$1,099億(+22%、為替一定ベース+19%)

$1,068〜1,072億

✅ Beat

営業利益

$305億

$397億(+30%)

✅ Beat

営業利益率

34%

36.1%(+2.1pt)

✅ 拡大

純利益

$345億

$626億(+81%)

EPS(GAAP)

$2.81

$5.11(+82%)*

$2.62〜2.64

✅ 大幅Beat

EPS $5.11には非上場株式等の評価益(その他収益$377億)が含まれ、税引後で純利益$287億・希薄化EPS $2.35の押し上げ要因となっている。営業利益ベースでは前年比+30%の増益。

セグメント別売上

セグメント

売上高

前年同期比

営業利益

Google Services

$896億

+16%(前四半期+14%から加速)

├ Google Search & other

$604億

+19%(前四半期+17%から再加速)

├ YouTube広告

$98.8億

+11%

├ Subscriptions, platforms, devices

$123.8億

+19%

Google Cloud

$200億

+63%(前四半期+48%から急加速)

$66億(営業利益率32.9%)

補足指標

指標

実績

Q1 設備投資額

$357億(過去最高)

FY2026 CapEx見通し(再上方修正)

$1,800〜1,900億(前回ガイダンス$1,750〜1,850億からレンジ全体を$50億引き上げ)

Geminiトークン処理量

API直接で16B+トークン/分

Gemini Enterprise 有料MAU

+40% QoQ

総有料サブスクリプション

3.5億人

Google Cloud受注残

$4,600億超(前四半期$2,400億からほぼ倍増)

決算の要約

Alphabetは5社中で最大のサプライズを放った。Q1売上$1,099億は前年比+22%成長で、Alphabetとして11四半期連続の二桁成長。営業利益率は36.1%へ拡大し、純利益は前年同期比+81%の$626億・EPS $5.11と、コンセンサス予想(EPS $2.62)を約2倍上回る大幅Beatとなった。 ただし、EPS $5.11には非上場株式等の評価益(その他収益$377億、税引後でEPS $2.35押し上げ)という一時的要因が含まれる点は注意が必要。これを除いた営業利益ベースでは前年比+30%の増益で、それでも力強い成長を維持している。

最大のハイライトはGoogle Cloudの+63%成長だ。前四半期+48%からの再加速で、Q4 2025の$177億から一気に$200億の大台を突破。営業利益$66億・営業利益率32.9%と、AWS(37.7%)とAzure(推定30%台後半)に肉薄する収益性となった。 さらにCloud受注残は$4,600億超に倍増しており、Sundar Pichai CEOは「我々はコンピュート(計算資源)が制約となっている。供給が需要に追いついていれば、Cloud売上はさらに高かった」と需要超過の状態を明言した。

検索事業も健在で、Google Search & other売上は+19%と前四半期(+17%)からも再加速。AI Overviews/AI Modeの展開が進む中で検索クエリは過去最高を記録し、「AIが検索を直ちに毀損する」という懸念は少なくとも今四半期の数字では後退した形だ(長期的なカニバリゼーションについては引き続き検証が必要)。Google Services全体でも+16%と前四半期(+14%)から加速している。Geminiアプリは消費者向けAI事業の四半期過去最高を記録し、API経由で毎分16B(160億)トークン処理という規模に到達している。

戦略面では、Sundar Pichai CEOが決算コールで自社設計AIチップTPUを選別したサードパーティ顧客のデータセンターに直接販売開始したことを明らかにした。これはNVIDIAのGPUへの依存を軽減すると同時に、AnthropicがTPUへのコミットを大幅拡大したこととも整合する動きである。ただしAshkenazi CFOは、TPU販売契約からの収益認識は2026年内は限定的で、大部分は2027年以降になる見通しを示しており、本格的な業績寄与は来年以降となる。

見通し

CapExガイダンスはFY2026 $1,800〜1,900億へ再上方修正された。前回時点の$1,750〜1,850億からレンジ全体を$50億引き上げた形で、Anat Ashkenazi CFOは「AIコンピュート能力拡大とCloud顧客の旺盛な需要」を理由として説明。

評価:◎◎ 5社最強の決算、AI時代の覇者として独走モードへ

Google Cloud +63%、検索 +19%再加速、TPU外販開始、Cloud受注残倍増──どこを切り取っても文句なしの決算で、過去12ヶ月の株価上昇の裏付けが完璧に揃った形となった。営業利益率拡大と「コンピュート制約」の発言は、Alphabetが事実上「AIインフラの売り手」と「需要の最大の受け手」を兼ねる構造になっていることを示している。 $1,800〜1,900億CapExの規模感は依然として議論の的だが、この四半期の数字を見る限り「投資→売上→受注残」のサイクルが機能している証左が出揃った。ビッグテック5社で最も明確にAI投資のリターンが見える企業となった。ただしEPSの大幅Beatの相当部分が株式評価益という一時要因によるものである点と、TPU販売の本格的な収益寄与が2027年以降になる点は、株価評価において割り引いて考える必要がある。

引用:


5. Amazon(AMZN)|2026年Q1(2026年1-3月期)|決算発表日:2026年4月29日

主要業績

指標

前年同期(Q1 2025)

今期実績(Q1 2026)

市場予想

判定

売上高

$1,557億

$1,815億(+17%、為替除く+15%)

$1,773〜1,778億

✅ Beat

営業利益

$184億

$239億(+30%)

✅ 会社ガイダンス上限超

純利益

$171億

$303億(+77%)

EPS(GAAP)

$1.59

$2.78(+75%)

$1.61〜1.64

✅ 大幅Beat

※純利益にはAnthropic投資に関連する税前$168億の評価益(非営業利益として計上)が含まれる。 ※営業利益$239億は、Amazonの前回会社ガイダンス$165〜215億(Q1向け会社見通し)の上限を上回る水準。

セグメント別売上

セグメント

売上高

前年同期比

営業利益

North America

$1,041億

+12%

$83億(前年$58億)

International

$398億

+19%(為替除く+11%)

$14億

AWS

$376億

+28%(過去15四半期で最速)

$142億(営業利益率37.7%)

補足指標

指標

実績

広告サービス売上

$172億(+24%、TTM $700億超)

サブスクリプション売上

$134億(+15%)

自社チップ事業(Graviton/Trainium/Nitro)

年換算$200億超ランレート(3桁成長)

Q1 設備投資額

$442億

FY2026 CapEx見通し(実質)

約$2,000億(前回ガイダンス踏襲)

TTM 営業CF

$1,485億(+30% YoY)

TTM FCF

$12億(前年大幅減、CapEx急増による)

決算の要約

Amazonは前四半期のEPSミス(5社で唯一)から立ち直り、5社の中で最大のEPSサプライズ(コンセンサス$1.64に対し$2.78)を出した。ただしこのうちかなりの部分はAnthropic投資の再評価益(税前$168億)による会計上のブーストである点には注意が必要。

事業面の最大ニュースはAWS +28%成長で、これは過去15四半期(約4年ぶり)の最速成長率である。前四半期+24%からの再加速は、Andy Jassy CEOが「すべての事業(AWS、広告、ストア)が好調」と述べた根拠となった。AWS営業利益$142億・利益率37.7%は引き続き極めて高い水準を維持。

特筆すべきは自社設計チップ事業(Graviton、Trainium、Nitro)が年換算$200億超のランレート・3桁成長を達成したこと。これはAIインフラの内製化戦略が大きな成果を上げていることを示し、AWSの構造的な収益性を支える。

AIインフラ需要は実数値でも明らかで、AWS Bedrockプラットフォームを経由したトークン処理量はQ1単独で過去全期間の合計を上回った。さらに顧客支出は前四半期比+170%増という急拡大ぶり。

広告事業も$172億(+24%)と力強く、TTM(過去12ヶ月)売上は$700億超に到達。EC事業のユニット成長率15%はコロナ後最高水準で、Prime Day前のEC基盤の健全性を示している。

戦略提携面では、Anthropicについては、Amazonが既存の$8B投資に加え、即時$5B、将来的に最大$20B(コマーシャルマイルストーン達成時)を追加投資する計画を発表。Anthropicは今後10年間で$100B超をAWSに支出し、最大5GWのTrainium容量を確保する(4月20日発表)。OpenAIとAWSも、既存の$38Bの複数年契約に加え、さらに$100B・8年の契約拡大を発表(合計$138B規模)しており、AWSはOpenAI向けにTrainiumを含む大規模AIインフラを提供する。AWSが「AIラボの主要ホスト」というポジションを確立しつつある。

見通し

来期(2026年Q2)の売上ガイダンスは$1,940〜1,990億(前年比+16〜19%)で、市場予想を上回る水準。Prime Dayが当該四半期に含まれる前提となっている。一方、営業利益ガイダンスは$200〜240億で、中央値$220億ベースではアナリスト予想$226.5億に対してやや慎重な見方と受け止められた。Amazon LEO(衛星)関連で約$10億のコスト増加見通しが要因として挙げられている。

FY2026のCapExは引き続き約$2,000億水準を維持しており、「AI、チップ、ロボティクス、低軌道衛星(Project Kuiper含む)への画期的な機会」への投資と説明されている。

評価:◎ AWS過去最速とチップ事業3桁成長で巻き返し、ただしFCF急減は要注視

前四半期の評価△から大きく改善した。AWS再加速、自社チップ事業の急成長、広告事業の好調と、すべての成長エンジンが同時に点火した形となった。

ただしFCFが$12億まで急減(CapEx急増の影響)した点は構造的なリスクとして残る。営業CFは$1,485億と健全だが、$2,000億CapEx計画はAmazonの過去最大規模であり、ROI可視化までの道のりは長い。株価は決算発表直後に一時下落したものの、その後はAWS再加速やTrainium関連の大型契約が評価され、時間外で反発する場面もあった。翌4月30日の通常取引では一時記録的高値$273.88を付けた後に$260台へ反落しており、市場は好決算を評価しつつも、$2,000億規模のCapExとFCF急減を引き続き注視している。

引用:

プレスリリース(Amazon Investor Relations / 公式)
https://ir.aboutamazon.com/news-release/news-release-details/2026/Amazon-com-Announces-First-Quarter-Results/

SEC提出書類(決算リリース相当:8-K添付のEX-99.1 / EDGAR HTML版) https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/0001018724/000101872426000012/amzn-20260331xex991.htm


全体比較:5社横断サマリー

業績比較(2026年1-3月期)

企業

売上高

売上成長率

営業利益

純利益

EPS

判定

Apple

$1,112億

+17%

$359億

$296億

$2.01

Meta

$563億

+33%

$229億

$268億

$10.44*

Microsoft

$829億

+18%

$384億

$318億

$4.27

Alphabet

$1,099億

+22%

$397億

$626億

$5.11***

◎◎

Amazon

$1,815億

+17%

$239億

$303億

$2.78**

*Meta:$80億の税控除を含む。除けば$7.31
**Amazon:Anthropic投資再評価益(税前$168億)を含む
***Alphabet:非上場株式等の評価益(その他収益$377億、税引後でEPS $2.35押し上げ)を含む

設備投資(CapEx)見通し比較

企業

前回見通し

最新見通し

変更幅・備考

Alphabet

$1,750〜1,850億(FY2026)

$1,800〜1,900億(FY2026)

レンジ全体を+50億上方

Amazon

約$2,000億(FY2026)

約$2,000億(FY2026)

据え置き

Microsoft

市場想定$1,550〜1,600億

約$1,900億(暦年2026年)

市場想定を$300億超上回る

Meta

$1,150〜1,350億(FY2026)

$1,250〜1,450億(FY2026)

+100億上方

Apple

非開示

非開示

※Microsoftのみ「暦年(calendar year)2026年」ベースでの開示。他4社はFY2026(多くは1〜12月の暦年と一致)。

クラウド事業成長率比較

クラウドサービス

Q1 2026成長率

前四半期成長率

変化

Google Cloud

+63%

+48%

+15pt 急加速

Microsoft Azure

+40%(為替一定+39%)

+39%(為替一定+38%)

+1pt 微加速

AWS

+28%

+24%

+4pt 加速

※AWSはドル建て契約が中心で、Amazonはセグメント別の為替一定ベースを開示していない。


総括:3つの投資テーマ

テーマ①:AI CapEx戦争は「第三幕」へ──$7,000億時代の到来

ビッグテック4社(Apple除く)の2026年CapEx合計は、最新ガイダンスの中央値ベースで約$7,100億規模(レンジでは約$6,950〜7,250億)に達する。前四半期決算時点の推定($6,000〜7,000億)から再び上振れた形となり、特にMicrosoftが暦年2026年のCapExを約$1,900億と提示し、市場想定($1,550〜1,600億前後)を大きく超えたことが衝撃を与えた。 要因の一つは、Tim Cookも繰り返し言及したメモリコスト(HBM、DRAM)の急上昇で、サプライチェーン全体に影響が波及している。Microsoft自身も$1,900億のうち約$250億は部材価格上昇分と説明している。NVIDIA、AMD、TSMC、SKハイニックス、サムスンなど半導体・メモリ供給網にとっては引き続き強力な追い風だが、CapEx計画の規模そのものが「いつ回収できるのか」という根本的な問いを再度大きく浮上させている。

テーマ②:「AI投資のリターン」が初めて可視化された四半期

前四半期は「売上は好調だが利益率は圧迫」というネガティブな構図だったが、Q1 2026では構図が変わった。

  • Alphabet:Google Cloud +63%、営業利益率36.1%(+2.1pt)、Cloud受注残$4,600億超、Google Services +16%加速
  • Microsoft:AI事業年換算$370億・前年同期比+123%、Azure +40%(為替一定+39%)の高水準維持
  • Amazon:自社チップ事業$200億ランレート3桁成長、Bedrockトークン量が過去全期間超え
  • Meta:広告単価+12%・インプレッション+19%、Reels滞在時間+10%

これらは「AI投資→収益化」のサイクルが特定の領域で機能し始めていることの定量的証拠だ。 ただし、CapExの拡大ペース(4社合計で前年比+$3,500〜3,800億の純増**)は売上成長を上回り続けており、「いつまでこの先行投資が続くのか」という構造的な問いには依然として明確な答えがない。

テーマ③:クラウド3強の構図が「Google優位」へ大きく傾いた

Google Cloud +63%という成長率は、Azure +40%とAWS +28%を完全に引き離した。Cloud受注残$4,600億への倍増、TPUのサードパーティ販売開始(本格的な収益寄与は2027年以降)、Geminiトークン処理量16B/分という規模感は、AlphabetがAIインフラ市場で「需要の最大の受け手」となっていることを示している。 AzureはOpenAIとの契約再構築で「依存度ナラティブ」が変わるか注目される段階に入った。AWSは13四半期ぶり最速の+28%で復調を確認したが、相対的にはGoogle Cloudの伸びの方が際立っている。 「クラウド3強の中でAlphabetが頭一つ抜け出した」──この構図変化が、向こう数四半期の株価パフォーマンスを左右する最大のテーマとなる。


本記事は2026年5月1日時点の公開情報に基づいて作成されています。投資判断はご自身の責任で行ってください。