Advanced Micro Devicesは2026年5月5日に2026年第1四半期決算を発表。売上高は前年同期比38%増の102.53億ドル、Non-GAAP EPSは1.37ドルと市場予想を上回った。Q2ガイダンスも売上高112億ドルと市場予想(約105億ドル)を上回り、AIデータセンター需要の強さを示した一方、粗利率は前四半期比で低下し、NVIDIAとの競争やAI需要に対する供給拡大の進捗が引き続き注目点となる。

Advanced Micro Devices(NASDAQ: AMD)は2026年5月5日(米国時間)、2026年第1四半期(期末:2026年3月28日)の決算を発表した。

売上高は102.53億ドル(前年同期比+38%)、Non-GAAP EPSは1.37ドルと、いずれも市場予想(売上高約98.9億ドル、EPS約1.29ドル)を上回った。GAAP粗利率は53%と前年同期の50%から改善し、Non-GAAP粗利率も55%と前年同期の54%を上回った。

Q2ガイダンスは売上高112億ドル(±3億ドル)、Non-GAAP粗利率約56%と、市場予想(売上高約105億ドル)を上回る水準を提示した。

決算発表後の時間外取引では、好決算と強いQ2ガイダンスを受けて株価は上昇した。なお、上昇率は報道媒体・時点により差がある。

今回のポイント

🟢 売上高102.53億ドル(+38% YoY)で市場予想を上回るビート。Non-GAAP EPSも1.37ドルと予想の1.29ドルを上回った。

🟢 データセンター売上は57.75億ドル(+57% YoY、+7% QoQ)。EPYC CPUの強い需要とInstinct GPUの出荷拡大が成長をけん引した。

🟢 Q2ガイダンスの売上高112億ドルは市場予想(約105億ドル)を上回り、前年同期比+46%、前四半期比+9%の成長を見込む。

🟢 フリーキャッシュフローは25.66億ドルで、四半期として記録的な水準。現金・短期投資は123.47億ドルへ増加した。

🟢 Metaが最大6GW規模のAMD Instinct GPU導入計画を発表。AWS、Google Cloud、Microsoft Azure、Tencentも第5世代EPYC搭載インスタンスを展開している。

🟡 Non-GAAP粗利率は55%で前年同期から改善した一方、前四半期の57%からは2pt低下。製品ミックスやHBM・先端パッケージング周辺のコスト要因が今後の確認ポイントとなる。

🟡 Client事業はRyzen需要で前年同期比+26%と好調だが、Client and Gaming全体では前四半期比-9%。PC需要の季節性とセミカスタム売上の変動には注意が必要。

🔴 NVIDIAがAI GPU市場で依然として圧倒的なシェアを持つ中、AMDがMI450シリーズやHeliosをどれだけ大型案件に転換できるかが中期的な焦点となる。

主要業績

指標

前年同期(Q1 2025)

今期実績(Q1 2026)

市場予想

判定

売上高

74.38億ドル

102.53億ドル

約98.9億ドル

✅ Beat

営業利益(GAAP)

8.06億ドル

14.76億ドル

-

-

営業利益(Non-GAAP)

17.79億ドル

25.40億ドル

-

-

純利益(GAAP)

7.09億ドル

13.83億ドル

-

-

純利益(Non-GAAP)

15.66億ドル

22.65億ドル

-

-

EPS(GAAP)

0.44ドル

0.84ドル

-

-

EPS(Non-GAAP)

0.96ドル

1.37ドル

約1.29ドル

✅ Beat

粗利率(GAAP)

50%

53%

-

▲ 改善(+3pt)

粗利率(Non-GAAP)

54%

55%

-

▲ 改善(+1pt)

※市場予想はCNBC報道のコンセンサス。金額はAMD公式プレスリリースおよびSEC提出資料の百万ドル表記を億ドル換算したもの。

AI・データセンター関連指標

指標

実績

データセンター売上高

57.75億ドル(総売上の約56%、+57% YoY、+7% QoQ)

データセンター営業利益

15.99億ドル(前年同期 9.32億ドル)

主な成長要因

AMD EPYCプロセッサーへの強い需要、AMD Instinct GPUの出荷拡大

Meta案件

最大6GW規模のAMD Instinct GPU導入計画。最初の1GWはカスタムAMD Instinct MI450ベースGPUを予定

クラウド展開

AWS、Google Cloud、Microsoft Azure、Tencentが第5世代EPYC搭載インスタンスを発表・拡充

AIアクセラレーター

AMD Instinct MI355XがMLPerfで複数カテゴリにおいて競争力ある性能を示したとAMDが説明

Helios関連

TCSとAMD HeliosベースのラックスケールAIインフラを共同開発

HBM/メモリ協業

SamsungとHBM4供給、次世代AIメモリ・コンピュート技術で協業

フリーキャッシュフロー

25.66億ドル(前年同期 7.27億ドル、前四半期 20.82億ドル)

営業キャッシュフロー

29.55億ドル

現金・短期投資

123.47億ドル(前四半期 105.52億ドル、前年同期 73.10億ドル)

セグメント別売上

セグメント

売上高

前年同期比

前四半期比

営業利益

Data Center

57.75億ドル

+57%

+7%

15.99億ドル

Client

28.85億ドル

+26%

-

-

Gaming

7.20億ドル

+11%

-

-

Client and Gaming(合計)

36.05億ドル

+23%

-9%

5.75億ドル

Embedded

8.73億ドル

+6%

-8%

3.38億ドル

All Other

-

-

-

-10.36億ドル

合計

102.53億ドル

+38%

横ばい

14.76億ドル

※Client and Gamingの内訳は売上のみ開示。All Otherはセグメントに配賦されない費用を含む。

決算の要約

AMDは、AIインフラ需要の拡大を背景に、売上・利益・キャッシュフローのすべてで前年同期から大きく伸びた。売上高は102.53億ドルと前年同期比38%増、Non-GAAP EPSは1.37ドルと前年同期比43%増で、いずれも市場予想を上回った。

最大の成長ドライバーはデータセンター事業である。売上高は57.75億ドルと全社売上の約56%を占め、前年同期比57%増、前四半期比でも7%増となった。AMDは成長要因として、EPYCサーバーCPUへの強い需要と、Instinct GPUの出荷拡大を挙げている。

特に注目されるのは、GPU単体ではなく、CPU・GPU・ネットワーク・ラックスケールAIインフラを組み合わせた大型案件の広がりである。Metaは最大6GW規模のAMD Instinct GPU導入計画を発表し、最初の1GWはカスタムMI450ベースGPUを予定している。さらにTCSとのHeliosベースのラックスケールAIインフラ共同開発、SamsungとのHBM4供給・次世代メモリ協業など、AIインフラ全体でのエコシステム拡大が進んでいる。

一方、Client and Gamingは36.05億ドルで前年同期比23%増と堅調だった。Client単体ではRyzenプロセッサー需要とシェア拡大により28.85億ドル、前年同期比26%増となった。GamingはRadeon GPU需要が寄与し7.20億ドル、前年同期比11%増だったが、セミカスタム売上の減少が一部相殺要因となった。

Embeddedは8.73億ドル、前年同期比6%増。複数のエンドマーケットで需要が改善し、Ryzen AI Embedded P100シリーズやKintex UltraScale+ Gen 2など、産業・エッジAI向け製品の展開も進んでいる。

財務面では、フリーキャッシュフローが25.66億ドルと前年同期の7.27億ドルから大きく改善した。現金・短期投資は123.47億ドルに増加し、総負債32.24億ドルに対して十分な流動性を維持している。CFOのJean Hu氏は、売上成長・利益拡大・記録的な四半期フリーキャッシュフローを達成したと説明している。

ただし、すべてが一直線に好材料というわけではない。Non-GAAP粗利率は前年同期比では改善したものの、前四半期の57%から55%へ低下した。AIアクセラレーターの拡大に伴う製品ミックスや、HBM・先端パッケージングなどのコスト要因が粗利率に与える影響は、今後の確認ポイントとなる。

見通し

2026年第2四半期(2026年4月〜6月期)のガイダンスは以下の通り。

指標

ガイダンス

市場予想

売上高

112億ドル(±3億ドル)

約105億ドル

前年同期比

約+46%

-

前四半期比

約+9%

-

Non-GAAP粗利率

約56%

-

Q2ガイダンスの売上高112億ドルは市場予想を上回る水準であり、前年同期比では約46%増、前四半期比では約9%増となる。Q1で既に全社売上の過半を占めたデータセンター事業が、引き続き成長の中心になる見通しだ。

Non-GAAP粗利率は約56%と、Q1の55%から1pt改善する見込み。データセンター向け高付加価値製品のミックス改善が寄与する可能性がある一方、AIアクセラレーター周辺の部材・パッケージングコストがどこまで吸収されるかが焦点となる。

中期的には、MI450シリーズ、MI455X、Heliosなど次世代AIプラットフォームの商用化が重要になる。Metaやクラウド事業者との案件が売上としてどのタイミングで立ち上がるか、またNVIDIAが支配的なAI GPU市場でどこまでシェアを伸ばせるかが、今後の評価を左右する。AI需要に対してAMDがどこまで供給を拡大できるかも、引き続き重要な観察ポイントとなる。

評価:◎ 好決算だが、粗利率とAI GPU競争の持続性には注意

今回の決算は、売上・EPS・ガイダンスのすべてで市場予想を上回る好決算だった。特にデータセンター売上57%増は、AMDの成長軸がPC・ゲーム中心からAIデータセンター中心へ移っていることを明確に示している。

Q2ガイダンスも市場予想を上回り、短期的な需要の強さは確認できた。Metaの最大6GW規模のInstinct導入計画、主要クラウド各社での第5世代EPYC展開、SamsungとのHBM4協業など、単発の製品サイクルではなく、AIインフラ全体でAMDの存在感が高まりつつある点はポジティブだ。

一方で、株価評価においては粗利率と競争環境が重要になる。Non-GAAP粗利率は前年同期比では改善したが、前四半期比では低下した。AI GPUの出荷拡大が売上を押し上げる一方、製品ミックスやHBM・先端パッケージングなどのコストが利益率に与える影響は、今後の決算で確認していく必要がある。

また、NVIDIAがAI GPU市場で圧倒的な地位を維持する中、AMDが「第2の選択肢」からどこまで本格的なシェア拡大に進めるかはまだ検証途上である。Metaやクラウド事業者との大型案件は大きな前進だが、今後はそれらが継続的な売上・利益成長に変換されるかが問われる。

総合的に見れば、AMDのQ1決算はAIデータセンター成長の確度を一段引き上げる内容だった。短期的にはQ2ガイダンスの達成、中期的にはMI450/MI455X/Heliosの量産・顧客展開、そして粗利率の安定が投資家にとっての主要チェックポイントとなる。

引用

AMD Reports First Quarter 2026 Financial Results(公式プレスリリース)
https://ir.amd.com/news-events/press-releases/detail/1284/amd-reports-first-quarter-2026-financial-results

AMD Reports First Quarter 2026 Financial Results(AMDニュースルーム)
https://www.amd.com/en/newsroom/press-releases/2026-5-5-amd-reports-first-quarter-2026-financial-results.html

SEC Form 8-K(SEC提出資料)
https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/2488/000000248826000072/0000002488-26-000072.txt

AMD Q1 2026 Earnings Slides(決算スライド)
https://ir.amd.com/financial-information/sec-filings/content/0000002488-26-000072/amdq126earningsslidesfin.htm

AMD (AMD) Q1 2026 earnings report — CNBC
https://www.cnbc.com/2026/05/05/amd-q1-2026-earnings-report.html


本記事は2026年5月6日時点の公開情報に基づいて作成されています。投資判断はご自身の責任で行ってください。