広告は表示数と単価がそろって二桁増。それでも営業利益は減少し、訴訟関連費用24.00億ドルと退職金11.80億ドルを除けば増益だった。第3四半期の売上ガイダンスは610〜640億ドルで、中心値は市場予想をわずかに下回る。決算翌営業日の株価は7.95%安。営業キャッシュフローの97.5%を設備投資が消費した点が、当四半期最大の特記事項である。
※金額は米ドル建て、特記なき限り会社のUS GAAPベース。市場予想は報道ベースで、指標ごとに集計元が異なり、同じ指標でも集計元により差がある(各表の引用元を参照)。pt(ポイント)は率の変化幅を表す単位で、以下同様に用いる。本文では、会社IR・SEC提出資料の確定値、決算説明会での会社説明(会社説明)、報道ベースの数値(報道ベース)、筆者自身の計算・解釈(筆者計算・筆者分析・筆者の解釈)を区別して記載する。
1. 決算サマリー:売上は会社ガイダンスの上限近くに着地したが、EPSは市場予想を14.4%下回った
メタ・プラットフォームズ(META)の売上は、LSEG集計の市場予想601.7億ドルを約1.0%上回り、会社が4月に示したガイダンスの上限に近い水準で着地した。一方でGAAP希薄化後EPSは、同じくLSEG集計(決算発表直前時点)の7.22ドルを14.4%下回っている。未達の主因は訴訟と人員削減という二つの一時費用とみられるが、会社は両費用のEPSに対する税効果を開示しておらず、コンセンサスにどこまで織り込まれていたかも確認できない。営業利益も報告ベースでは減益だが、この2項目を除けば増益になる。
表1:メタ・プラットフォームズ 2026年第2四半期 決算サマリー(百万ドル、1株当たりはドル)
指標 | 実績 | 前年同期 | 前年比 | 市場予想 | 対市場予想 |
|---|---|---|---|---|---|
売上高 | 60,801 | 47,516 | +28.0% | 60,170(LSEG集計) | +1.0% |
GAAP希薄化後EPS | 6.18 | 7.14 | ▲13.4% | 7.22(LSEG集計) | ▲14.4% |
営業利益 | 18,775 | 20,441 | ▲8.2% | --- | --- |
参考:営業利益(訴訟費用・退職金を除く) | 22,355 | 20,441 | +9.4% | --- | --- |
純利益 | 15,848 | 18,337 | ▲13.6% | --- | --- |
DAP(アプリ全体の1日当たり利用者、6月平均) | 36.0億人 | 34.8億人 | +3% | 36.1億人(StreetAccount集計、報道ベース) | ▲0.3% |
フリーキャッシュフロー | 784 | 8,549 | ▲90.8% | --- | --- |
引用:メタ「Meta Reports Second Quarter 2026 Results」(2026年7月29日)/市場予想はCNBCが引用したLSEGおよびStreetAccount集計(決算発表直前時点、報道ベース)
注1:メタは非GAAP EPSを開示していない。当該決算リリースで開示している非GAAP指標は、恒常通貨ベースの売上高、恒常通貨ベースの広告収入、フリーキャッシュフローの3つで、EPSはGAAPのみである。会社はフリーキャッシュフローについて、裁量的支出に充当可能な残高を意味するものではないと注記している。
注2:「参考:営業利益(訴訟費用・退職金を除く)」は、報告営業利益18,775に訴訟関連費用2,400と退職金1,180を加算した筆者計算。いずれも税引前の項目であり、営業利益段階の比較である。2025年第2四半期のプレスリリースに同種の一時項目の開示はなく、単純加算で比較可能とした。本文で示す調整後EPS7.36ドルは、この加算後の税引前利益22,336に報告実効税率15.5%(2,908÷18,756。会社開示の16%はその四捨五入値)を適用し、希薄化後株式数2,566で除した筆者試算である。両費用それぞれの損金算入可否や限界税率は開示されておらず、会社が公認する指標でもない。
注3:EPSの前年比は、純利益÷希薄化後株式数の原数値ベースで▲13.44%、開示EPSの丸め値ベース(6.18÷7.14)で▲13.45%。差は0.01ptにとどまるため、本文では原数値ベースの▲13.4%を用いた。
注4:対市場予想はいずれもLSEG集計値に対する筆者計算で、指標ごとに集計元を一本化した。市場予想は集計元により差があり、アナリスト45人の集計としてEPS7.23ドル・売上60,260百万ドルとする報道もある。EPS7.23ドルを基準にすると対市場予想は▲14.5%となる。
注5:DAPの前年同期実数は2025年第2四半期のプレスリリース(3.48十億人)から取得した。市場予想はStreetAccount集計とされる報道値である。
注6:LSEG集計値およびStreetAccount集計値は、これらを引用したCNBC記事の本文を直接取得できておらず、同記事を引用した二次情報を経由している。集計値は取得時点により変動する。
2. 増収額132.85億ドルの96.3%はFamily of Appsの広告が生み、四半期報告書が開示した先行指標は売上ではなく、これから始まるデータセンター賃借契約2,789.9億ドルだった
連結売上高は608.01億ドル、前四半期比では8.0%増。増収額132.85億ドルのうちFamily of Apps(以下FoA)の広告収入の寄与が128.00億ドルで、全体の96.3%を占める。残りはFoAのその他収益が4.24億ドル、Reality Labs(以下RL)が0.61億ドルにとどまり、売上の伸びは実質的に広告一本で説明できる構造になっている(筆者分析)。
広告収入の中身は検算できる。会社開示のインプレッション増加率は14%、広告単価の上昇率は12%で、両者を掛け合わせると1.14×1.12=1.2768、つまり+27.7%になる。実際の広告収入の伸びは+27.5%(593.63億ドル÷465.63億ドル=1.2749)で、開示率の丸めを考えればほぼ一致する(筆者計算)。量と価格が同じ方向に近い幅で伸びている点が当四半期の特徴で、前四半期はインプレッションが+19%、単価が+12%と量に偏っていた。
為替の追い風は縮小した。恒常通貨ベースの成長率は+27%でGAAPベースを1pt下回り、押し上げ額は6.85億ドルと前四半期の17.49億ドルから大きく減った。会社がガイダンス提示時に前提としていた「約2%の追い風」に対し、実額から算出した実際の寄与は約1.4ptである(筆者計算。会社開示の丸め値どうしの差では1pt)。
図1:四半期売上高の推移と2026年第3四半期ガイダンス(引用:メタ各四半期の決算プレスリリース)
非広告の動きも記録しておきたい。FoAのその他収益は10.07億ドルで72.7%増となり、決算説明会でも会社が明言したとおり、四半期として初めて10億ドルを超えた。増加要因はWhatsAppの有料メッセージングとサブスクリプションとされる。RLの売上は4.31億ドルで、AIグラスが伸びる一方でQuestヘッドセットは減少したという(いずれも会社説明。RLの増収率16.5%は実額からの筆者計算で、会社開示は16%)。
受注残についても確認しておく。2026年6月30日期のForm 10-Qに、売上側のバックログにあたる残存履行義務(RPO、契約済みで未計上の売上)の注記は確認できない。開示されている繰延収益は11.6億ドルにとどまり、その大部分は1年以内に実現する見込みとされる。短期契約中心の事業構造の反映である可能性がある。一方で同じ10-Qが開示しているのは支出側のコミットメントだ。未開始リースに係る契約上の支払義務は2,789.9億ドルにのぼり、前四半期末の1,828.8億ドルから52.6%増えた。これとは別建てで、解約不能の契約コミットメントが3,493.1億ドルあり、うち2026年中に期日を迎えるのが535.2億ドル、2027年が816.5億ドルである。7月にもデータセンターのリース約680億ドルを追加契約したことが同10-Qに記載されている。これらは売上ではなく費用と投資の先行指標であり、設備投資ガイダンスと合わせて読む必要がある。
表2:セグメント・製品区分別の売上と営業損益(百万ドル)
区分 | 2026年第2四半期 | 2025年第2四半期 | 前年比 | 連結売上構成比 | 増収額 | 増収寄与率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
広告収入(FoA) | 59,363 | 46,563 | +27.5% | 97.6% | +12,800 | 96.3% |
その他収益(FoA) | 1,007 | 583 | +72.7% | 1.7% | +424 | 3.2% |
Family of Apps 計 | 60,370 | 47,146 | +28.0% | 99.3% | +13,224 | 99.5% |
Reality Labs | 431 | 370 | +16.5% | 0.7% | +61 | 0.5% |
連結売上高 | 60,801 | 47,516 | +28.0% | 100.0% | +13,285 | 100.0% |
Family of Apps 営業利益 | 23,394 | 24,971 | ▲6.3% | --- | --- | --- |
Reality Labs 営業損益 | ▲4,619 | ▲4,530 | 損失拡大 | --- | --- | --- |
連結営業利益 | 18,775 | 20,441 | ▲8.2% | --- | --- | --- |
引用:メタ「Meta Reports Second Quarter 2026 Results」(2026年7月29日)セグメント情報/コミットメントはForm 10-Q(2026年6月30日期、2026年7月30日提出)「Leases and Contractual Commitments」
注1:構成比は連結売上高60,801に対する筆者計算。97.6%+1.7%+0.7%=100.0%で、四捨五入によるずれはない。セグメント間の消去項目はない。
注2:前年比は各区分の実額から算出した筆者計算で、会社開示の丸め値(広告収入+27%等)とは小数点以下で差が出る。
注3:増収寄与率は各区分の増収額を連結増収額13,285で割った筆者計算。合計は100.0%。
注4:Form 10-Qを「performance obligation」で本文検索し、残存履行義務(RPO)に関する注記が確認できないことを確かめた。同10-Qは繰延収益11.6億ドル(2025年12月31日時点は10.8億ドル)を開示している。未開始リースに係る契約上の支払義務2,789.9億ドルはデータセンター・コロケーション・ネットワーク設備に係るもので、2026年内から2036年にかけて開始し、リース期間は1年超から30年。貸借対照表に計上されているリース負債とは別のもので、解約不能の契約コミットメント3,493.1億ドルもこれとは別に開示されている。
3. 営業利益率は31%へ12.1pt低下し、一時費用35.80億ドルを除いた36.8%も報告ベースの過去4四半期を下回る
総費用は420.26億ドルで55%増、売上の伸びの約2倍のペースである。金額でみると費用増加額は149.51億ドルで、増えた売上より増えた費用のほうが16.66億ドル大きい。この差が営業利益の8.2%減に直結している。

図2:増収額を上回った費用増加の内訳(引用:メタ2026年第2四半期決算プレスリリース)
費用増加額の58.3%は研究開発費の87.14億ドルが占める(筆者計算)。次いで一般管理費が29.46億ドルで、うち24.00億ドルは訴訟関連費用だと会社が科目まで明示している。もう一つの一時項目である退職金11.80億ドルは5月の約8,000人規模の人員削減に伴うもので、科目別の配分は開示されていない。
この2項目を除いた営業利益は223.55億ドルで、前年同期比9.4%増になる。メタのCFO、スーザン・リー氏も決算説明会で、両費用を除けば第2四半期の営業利益は前年同期比9%増だった、という趣旨の説明をしている(会社説明)。ただし調整後の営業利益率36.8%は、表3の過去4四半期の報告ベースをいずれも下回る。同じ調整を施していない単純比較ではあるが、一時費用を戻してもなお報告ベースの直近4四半期に届かない(筆者分析)。
表3:利益率と実効税率の推移(%、Reality Labs営業損失は百万ドル)
指標 | 2025年第2四半期 | 2025年第3四半期 | 2025年第4四半期 | 2026年第1四半期 | 2026年第2四半期 |
|---|---|---|---|---|---|
売上総利益率 | 82.1 | 82.0 | 81.8 | 81.9 | 81.4 |
営業利益率(報告ベース) | 43.0 | 40.1 | 41.3 | 40.6 | 30.9 |
営業利益率(一時費用を除く) | --- | --- | --- | --- | 36.8 |
Family of Apps 営業利益率 | 53.0 | 49.2 | 52.2 | 48.1 | 38.8 |
Reality Labs 営業損失 | ▲4,530 | ▲4,432 | ▲6,021 | ▲4,028 | ▲4,619 |
実効税率 | 11 | 87 | 10 | ▲23 | 16 |
引用:メタ各四半期の決算プレスリリース(2025年10月29日、2026年1月28日、4月29日、7月29日)
注1:売上総利益率とFamily of Apps営業利益率は各四半期の実額から算出した筆者計算。営業利益率と実効税率は会社開示の丸め値。過去四半期の数値はいずれも当該四半期のプレスリリースの確定値から取得しており、通期からの逆算は用いていない。
注2:2025年第3四半期の実効税率87%は、One Big Beautiful Bill Act(OBBBA)の施行に伴う159.3億ドルの一時的・非現金の税費用を含む。2026年第1四半期の▲23%は、その一部を戻す80.3億ドルの税ベネフィットを含む。いずれも会社開示。
注3:「一時費用を除く」の営業利益率は当四半期のみ算出した。過去4四半期には同種の開示がないため「---」とした。
EPS:13.4%減は株式数ではなく純利益の減少によるもので、その純利益を削ったのが一時費用である
EPSが13.4%減った理由は、純利益そのものの減少か株式数の増加かに切り分けられる。純利益は前年同期比0.8643倍、希薄化後株式数は25.70億株から25.66億株へ0.9984倍。EPSの倍率0.8656に株式数の倍率を掛けると0.8643となり、純利益の倍率と一致する(筆者計算)。株式数はほぼ動いておらず、EPSの減少は純利益の減少で説明できる。
その純利益を削ったのが一時費用である。訴訟費用と退職金の計35.80億ドルは、営業減益額16.66億ドルの2倍を超える。これを税引前利益187.56億ドルに戻し、報告実効税率15.5%を当てはめると希薄化後EPSは7.36ドルとなる。税効果に仮定を置いた試算値にすぎないが、この水準なら市場予想の7.22ドルを1.9%上回っていた計算になる(筆者試算、計算過程は表1注2)。
一方で、費用増のすべてが一時的なわけではない。株式報酬費用は76.58億ドルで58.4%増、減価償却費は63.56億ドルで46.4%増と、いずれも直近4四半期を通じて増え続けており、当期は規模が突出して大きい。恒常的な費用水準そのものが切り上がっている点は、訴訟費用や退職金と区別して読みたい(筆者分析)。
キャッシュフローと資本配分:営業CFは24.6%増えたが、設備投資は算術上その97.5%に相当した
営業キャッシュフローは318.62億ドルで24.6%増と好調だった。それでもフリーキャッシュフローが7.84億ドルまで縮んだのは、設備投資(ファイナンスリース元本返済を含む)が310.78億ドルと82.7%増えたためである。会社定義の計算(318.62−301.16−9.62=7.84)がそのまま成り立ち、設備投資は算術上、営業キャッシュフローの97.5%に相当する。
図3:営業キャッシュフロー・設備投資・フリーキャッシュフローの推移(引用:メタ各四半期の決算プレスリリース)
資本配分の姿も変わった。配当・配当同等物の支払いは13.53億ドルで、フリーキャッシュフローを5.69億ドル上回る。自社株買いは当四半期も上期通算もゼロ、前年同期の101.67億ドルから完全に止まった。一方で249.10億ドルの長期債務を純額で発行し、期末の長期債務は836.64億ドルへ膨らんだ。現金・現金同等物・市場性有価証券は902.62億ドルへ増えた。増加分を起債だけに帰することはできないが、起債が残高の維持に大きく寄与したとみられる(筆者分析)。
運転資本では売上債権が目立つ。217.52億ドルへ前四半期末から42.82億ドル増え、売上の伸びを上回るペースで積み上がった点は、先行指標としてもリスクとしても見ておきたい(筆者分析)。
4. 第3四半期の売上ガイダンスは中心値625億ドルで市場予想を約1%下回り、通期設備投資は下限のみ50億ドル引き上げられた
まず当四半期の実績を会社の前回ガイダンスと突き合わせる。4月29日時点で示された第2四半期の売上見通しは580〜610億ドル、中心値595億ドルだった。実績はこの中心値を2.2%上回り、上限に近い着地である。しかも為替の追い風は前提を下回っていた。会社ガイダンスに対しては、市場予想に対する上振れよりも明確な超過だったことになる(筆者計算)。
次期ガイダンスは方向が異なる。第3四半期の売上レンジ610〜640億ドルの中心値625.00億ドルは、前年同期512.42億ドルに対して+22.0%。当四半期の実績+28.0%からの鈍化である。前四半期比でみても+2.8%で、前年の同じ局面(2025年第2四半期→第3四半期)の+7.8%を下回る。前年同期比と前四半期比のどちらで見ても減速方向という点で、判断は割れない(筆者分析)。
表4:会社ガイダンスの一覧(2026年7月29日時点)
項目 | ガイダンス | 中心値 | 市場予想 | 対市場予想 | 前年同期・従来見通し | 前年比 |
|---|---|---|---|---|---|---|
2026年第3四半期 売上高 | 610〜640億ドル | 625.00億ドル | 約631.5億ドル | ▲1.0% | 512.42億ドル(2025年第3四半期) | +22.0% |
2026年通期 総費用 | 1,650〜1,690億ドル | 1,670億ドル | --- | --- | 従来1,620〜1,690億ドル | +41.9% |
2026年通期 設備投資 | 1,300〜1,450億ドル | 1,375億ドル | --- | --- | 従来1,250〜1,450億ドル | +90.4% |
2026年 残り四半期の税率 | 15〜17% | 16% | --- | --- | 従来13〜16% | --- |
参考:2026年第3四半期EPS(筆者のシナリオ試算、会社見通しではない) | --- | 約6.49ドル | --- | --- | 1.05ドル(2025年第3四半期) | --- |
引用:メタ2026年第2四半期決算プレスリリース「CFO Outlook Commentary」/従来見通しは2026年第1四半期決算プレスリリース(Form 8-K Exhibit 99.1、4月29日)/市場予想は決算当時の報道が引用した集計値(報道ベース)
注1:総費用の前年比は2025年通期実績1,176.90億ドル、設備投資の前年比は同722.15億ドル(有形固定資産の取得696.91億ドルとファイナンスリース元本返済25.24億ドルの合算。会社開示の丸め値は722.2億ドル)に対する中心値ベースの筆者計算。
注2:メタは通期売上ガイダンスを出さないため、通期売上に関する上方修正・下方修正という論点はそもそも存在しない。
注3:EPS試算は、費用の四半期配分・税率・株式数・営業外損益に仮定を置いたシナリオ計算であり、検証済みの事実ではない。手順は次のとおり(筆者試算)。(1) 売上をレンジ中心値625.00億ドルとする。(2) 費用は通期中心値1,670億ドルから上期実績754.64億ドルを引いた下期915.36億ドルを、2025年下期の第3・第4四半期実績比(307.07:351.48)で按分し426.82億ドルとする。(3) 営業利益198.18億ドル。(4) 営業外損益はゼロと仮定(当四半期実績は▲0.19億ドル)。(5) 税率はガイダンス中心値16%。(6) 希薄化後株式数は当四半期実績25.66億株を据え置き、EPSは6.49ドルとなる。
注4:同じ手順を当四半期に当てはめると試算EPSは7.01ドルとなり、報告実績6.18ドルを11.8%上回る。ただし乖離の大半は想定外の一時費用によるもので、一時費用を戻した実績7.36ドルとの比較では試算が4.8%低い水準にとどまる。この試算は保守的に振れる傾向があると理解されたい。
注5:第3四半期売上ガイダンスの市場予想631.5億ドルはLSEG集計とされる報道値だが、引用元のCNBC記事本文を直接取得できておらず、二次情報を経由している。
費用と設備投資の見通しはいずれも下限だけが切り上がった。通期総費用の下限は訴訟費用を織り込む形で30億ドル、設備投資の下限は50億ドル引き上げられている。設備投資の通期見通しは2026年1月時点の1,150〜1,350億ドルから、2四半期で下限が150億ドル、上限が100億ドル上がった計算になる(筆者計算)。会社は通期営業利益が2025年の832.76億ドルを上回るとの見方を維持しているが、これを検算すると、上期営業利益416.47億ドルと費用ガイダンス中心値を前提にした場合、下期売上が1,331.65億ドルを超える必要がある。第3四半期を中心値どおりとすれば第4四半期は706.65億ドル超、前年同期比+18.0%超が条件になる(筆者計算)。第3四半期ガイダンスが示す伸び率より低い水準であり、無理のある設定ではない。
5. 広告エンジンの加速と、投資コミットメントの膨張および訴訟リスクの顕在化が、同じ四半期の開示に同居した
以下は当四半期の開示から筆者が整理したポイントである。判断の材料を有利・不利に分けて並べたもので、優劣を採点したものではない。
ポジティブ要因
- 広告の量と価格が近い幅で伸びている。インプレッション+14%に対して単価+12%。在庫を増やして量で稼ぐ形ではなく、単価が量にほぼ追随している。前四半期は+19%対+12%で量に偏っていた。
- 一時費用を戻せば営業利益もEPSも増加していた。両費用を除いた営業利益は223.55億ドルで9.4%増。同じ調整をEPSに施すと7.36ドルとなり、市場予想を上回る。
- Family of Appsのその他収益が四半期として初めて10億ドルを超えた。広告以外の収益ラインが、金額として認識できる規模に育ってきた。
- 現金ベースの納税額が大きく減っている。当四半期の法人税支払額は14.58億ドルで前年同期の50.96億ドルから減少した。損益上の実効税率は11%から16%へ上がったが、現金の流出は逆に減っている(筆者分析)。
- 人員は前年同期比で減少に転じた。期末人員は75,472人で1%減。5月の削減対象の大半は第3四半期末までに人員から外れる見込みである。
リスク要因
以下は筆者が整理したリスクシナリオであり、発生を予測するものではない。
- フリーキャッシュフローが配当支払額を下回った。差額5.69億ドルは手元資金か負債で賄う構図で、自社株買いは上期を通じてゼロだった。
- オフバランスのコミットメントが一四半期で5割増えた。開始前のリース債務は前四半期末から52.6%増。7月にも約680億ドルを追加契約しており、将来の費用と現金流出が積み上がっている(報道ベース)。
- 設備投資ガイダンスの下限が2四半期連続で切り上がった。下限が上がるということは、投資を絞る選択肢が狭まったことを意味する。
- 訴訟費用が四半期利益を左右する規模になった。会社は米国で予定される未成年関連の裁判が「重大な損失」につながりうると明記している。オークランドの連邦地裁では2026年8月12日に陪審選任が始まり、18日にカリフォルニア州など4州の冒頭陳述が行われた。争点は民事制裁金と原状回復である。1.4兆ドルという数字は州側の算定方法からMetaが導いた理論上の最大額で確定請求額ではなく、州司法長官ロブ・ボンタ氏も「1.4兆ドルを求めているわけではない」と述べている(いずれも報道ベース)。
- AI投資に対応する新しい売上ラインがまだ独立表示されていない。投資の成果は広告ランキングの改善という既存ラインの中に埋もれており、投資額と並べて示せる数字がない。クラウド売上を持つ競合との開示上の差になっている(筆者の解釈)。
- DAPの伸びが3%まで鈍化した。2025年第4四半期は+7%、2026年第1四半期は+4%。会社は第1四半期の前四半期比の減少をイランの通信障害とロシアでのWhatsApp規制と説明しており外部要因を含むが、売上の伸びに対しては利用者増よりも広告表示数と単価の寄与が大きい点は変わらない。なお本稿が確認した決算資料の範囲では、通期営業利益が前年を上回るという点以外に複数年の財務目標は示されていない。
6. 決算の一言評価は「mixed」。翌営業日に株価が7.95%下落した局面で報道が嫌気材料として挙げたのは、EPSの未達よりも軽い売上ガイダンスとフリーキャッシュフローの縮小だった
確定事実で総括すると、当四半期は売上が市場予想と会社ガイダンスの双方を上回り、EPSが市場予想を下回り、次期ガイダンスの中心値が市場予想をわずかに下回った。「beat-and-lower-guide」に近いが、メタは通期売上ガイダンスを出さないため、ここでの「lower-guide」は次期四半期のガイダンスが市場予想を下回ったことを指す。
株価の動きは実額で追える。決算前日の7月28日終値は593.41ドル。発表当日の7月29日は引け後の開示で、同日終値は585.61ドル(前日比1.31%安)。時間外は取得時刻により値が異なり、Fortuneは一時10%安から7%安まで戻したと伝え、別の報道は529ドル前後(終値比約9.7%安)としている。翌7月30日の終値は539.03ドル(7.95%安)、翌々営業日の7月31日は556.71ドルまで3.28%戻している。
売られた理由は一つには絞れない。一時費用を戻した試算値が市場予想を上回る以上、EPS未達だけでは下落幅を説明しにくい。決算当日の報道が嫌気材料として見出しに掲げたのは、軽い売上ガイダンスとフリーキャッシュフローの縮小だった(CNBC)。フリーキャッシュフローがほぼ消えた直後に通期設備投資の下限が引き上げられたという組み合わせが主因とみられる(筆者の解釈)。第3四半期の売上ガイダンス中心値が市場予想を約1%下回った点も重なった。なお決算前の株価はすでに下げ基調にあり、7月15日終値681.31ドルから7月29日終値まで14.0%下げていた(筆者計算)。ただしこの事実は、決算への期待水準が高かった可能性を否定するものではない。
報道の読み方も一点だけ整理しておく。「純利益が14%減」と「フリーキャッシュフローが91%減」を同じ現象として並べる記述を見かけるが、前者には一時費用が大きく影響しているものの人件費やインフラ費の継続的な増加も含まれ、後者は主として設備投資の増加による。分子も分母も異なる二つの現象である。
表5:株価とバリュエーション指標
項目 | 数値 | 前日比 |
|---|---|---|
2026年7月28日 終値(決算前日) | 593.41ドル | ▲0.08% |
2026年7月29日 終値(決算発表当日、引け後発表) | 585.61ドル | ▲1.31% |
2026年7月29日 時間外 | 約529ドル(取得時刻により幅あり) | 約▲7〜10% |
2026年7月30日 終値(決算翌営業日) | 539.03ドル | ▲7.95% |
2026年7月31日 終値 | 556.71ドル | +3.28% |
2026年8月21日 終値 | 549.90ドル | +0.75% |
時価総額 | 1.40兆ドル | --- |
実績PER(TTM) | 20.7倍 | --- |
参考:実績PER(税金の一時要因を調整、会社非公認の筆者試算) | 約18.6倍 | --- |
予想PER | 17.2倍 | --- |
PEG | 0.88倍 | --- |
配当利回り | 0.38%(年2.10ドル) | --- |
株価騰落率(過去52週) | ▲26.46% | --- |
引用:株価はstockanalysis.com(S&P Global Market Intelligenceデータ)、バリュエーション指標は同サイトの統計ページ。いずれも2026年8月21日終値時点の値を2026年8月22日に取得。時間外の価格水準は決算当時の報道ベース
注1:TTM(直近12か月)は2025年第3四半期・第4四半期および2026年第1・第2四半期で構成される。2025年第2四半期は含まれない。この4四半期にはOBBBA関連の159.3億ドルの税費用(2025年第3四半期)と80.3億ドルの税ベネフィット(2026年第1四半期)が両方入っており、差引79.0億ドルが純利益を押し下げている。
注2:「参考:実績PER(税金の一時要因を調整)」は会社が開示・公認する指標ではなく、TTM純利益680.98億ドルに上記差引79.0億ドルを戻した759.98億ドルを、希薄化後株式数約25.67億株で割った調整後EPS約29.61ドルに基づく筆者試算。税項目を全額一時要因として戻す判断自体が分析上の仮定である。
注3:時価総額・PER・PEG・配当利回り・52週騰落率はいずれもstockanalysis.com(S&P Global Market Intelligenceデータ)の2026年8月21日終値時点の集計値で、指標ごとの集計元は同サイトに一本化した。予想PERとPEGは予想値の更新により変動し、基準年度は明示されていない。他の集計元では時価総額1.50兆ドル、予想PER18.61倍(2026年8月15日時点)といった値も存在する。
注4:フリーキャッシュフローの倍率は集計元と会社定義で異なる。集計元のP/FCF34.2倍は有形固定資産の取得のみを控除した計算で、ファイナンスリース元本返済を含む会社定義(TTM378.72億ドル)で計算すると約37.0倍になる(筆者計算)。
注5:直近の値動きの参考として、2026年6月11日から8月21日までの終値では7月15日の681.31ドルが最高、6月25日の542.87ドルが最安だった。52週高値・安値の実額と日付は本稿執筆時点で一次情報から確認できなかったため記載しない。
注6:アナリストの目標株価コンセンサスは、筆者の見解と混同されうるため記載しない。
注7:当サイトは投資助言を行わないため、割安・割高の判断や目標株価は提示しない。
バリュエーションは、どの利益を分母に置くかで見え方が変わる。8月21日終値549.90ドルに対する実績PERは20.7倍だが、TTMに含まれる2025年第3四半期の巨額の税費用と2026年第1四半期の税ベネフィットを相殺調整すると約18.6倍になる。予想PERは17.2倍、PEGは0.88倍。ただし予想EPSの基準年度は明示されておらず、指標の数だけ並べても解像度は上がらない局面である。
筆者の見方を書いておく。この決算が突きつけたのは「広告事業が良いかどうか」ではなく、稼いだ現金を全部使い切る経営を株主がどこまで許容するか、という問いだと考えている。営業キャッシュフローが伸びているのに手元に何も残らない状態は、投資が収益に転化する証拠が出るまで、株価をガイダンスの改定に人質として差し出すことを意味する。
次回決算までの確認ポイント
- 第3四半期のフリーキャッシュフローが黒字を維持できるか。通期設備投資ガイダンスは下期にさらに増える設計になっており、営業キャッシュフローの伸びが追いつくかが分岐点になる。
- Family of Appsの「その他収益」が10億ドルを超えて伸び続けるか。AI関連の売上が独立して見える最初の場所になる可能性がある。
- 開始前のリース債務と解約不能の契約コミットメントが、第3四半期の四半期報告書でどこまで積み上がるか。7月契約分の約680億ドルが反映される。
- 8月18日に始まった州司法長官による審理の進行と、追加の訴訟関連費用の計上の有無。会社は通期総費用ガイダンスの下限をすでに引き上げている。
- 通期設備投資ガイダンスの下限が3四半期連続で切り上がるか。上限1,450億ドルが2四半期連続で据え置かれている点も合わせて見たい。
出典
- メタ「Meta Reports Second Quarter 2026 Results」(2026年7月29日)
- 同プレスリリース(PR Newswire版、財務諸表・セグメント情報・非GAAP調整表を含む)
- メタ「2026年第2四半期 決算説明会 書き起こし」(2026年7月29日、PDF)
- メタ「Meta Reports First Quarter 2026 Results」(Form 8-K Exhibit 99.1、2026年4月29日)
- メタ「Meta Reports Fourth Quarter and Full Year 2025 Results」(Form 8-K Exhibit 99.1、2026年1月28日)
- メタ「Meta Reports Third Quarter 2025 Results」(Exhibit 99.1、2025年10月29日、PDF)
- メタ「Meta Reports Second Quarter 2025 Results」(Exhibit 99.1、2025年7月30日、PDF)
- メタ Form 10-Q(2026年6月30日期、2026年7月30日提出)
- CNBC「Meta's stock plunges on light revenue guidance, dwindling free cash flow」(2026年7月29日)
- Fortune「Meta stock drops as free cash flow gets crushed」(2026年7月29日)
- Digital Applied「Meta Q2 2026: Ad Machine Strong, Capex Spooks the Street」(2026年7月30日、市場予想の集計値を引用)
- AlphaStreet「Meta Platforms (META) Q2 2026 Preview: EPS Est. $7.23」(2026年7月、アナリスト45人の集計値)
- CNBC「California AG Bonta says case against Meta is about 'restitution and distortion,' not damages」(2026年8月18日)
- NPR「The child safety trial against Meta kicks off in federal court」(2026年8月18日)
- The Oaklandside「Meta trial claiming platforms addicted children begins in Oakland」(2026年8月18日)
- Courthouse News Service「Jury selection begins in states' trial against Meta over youth social media harms」(2026年8月12日)
- The Washington Post「Meta faces federal trial demanding $1.4 trillion for alleged teen harms」(2026年8月17日)
- stockanalysis.com「Meta Platforms 株価履歴」(2026年8月21日終値時点)
- stockanalysis.com「Meta Platforms 統計・バリュエーション」(2026年8月21日終値時点)
免責
本記事は筆者が公開情報を整理したもので、特定の銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。金額はすべて米ドル建てで、メタ・プラットフォームズの会計基準はUS GAAP、会計年度は暦年(1月1日〜12月31日)であり、本記事が対象とする2026年第2四半期の締め日は2026年6月30日です。同社は非GAAP EPSを開示しておらず、非GAAP指標は恒常通貨ベースの売上高・広告収入とフリーキャッシュフローの3つに限られます。株価・時価総額・PER等の市場指標は2026年8月21日終値時点のもので、日々変動します。市場予想は集計元と取得時点により差があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。